雑学
交流モータが首振りにならず回る理由
交流モータの仕組みを表す図として、よく、下図のようなものが描かれている。
永久磁石
↓
/N
∽∽ ● ∽∽
| |S/ | |
| | | |
| | | |
| | | |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 交流電源
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しかし、この図の通りに作ったら、回転せずに左右に首を振るだけになる筈だ。
回転させるには、一旦、外部から力を加えて、回してあげないといけない。
回転方向は、力を加えるときにどちら向きに力を加えたかで決まる。
力を加えるにしても、交流の波形の変化に逆らって加えても回らないので、タイミングが難しい。
ところが、実際には、
電源を入れると、外部から力を加えなくても回転し始めるし、回転方向も毎回同じだ。
一体どうなっているんだろうか?
それは、上の図が、仕組みの説明を簡単に済ませるために、一部、手抜きをして描いてあるからだ。
本当は、そういうことにならないように工夫してある。下図はその工夫の一例だ。
_________
§ |
§_______ |
| |
/N | |
∽∽ ● ∽∽ | |
| |S/ | | | |
| | | | | |
| | § ̄ ̄| ̄| ̄ ̄ |
| | §__|_|__ |
| | | | | |
| | | | | 〓 コンデンサ
| | | | | |
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 交流電源
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
コンデンサが入っている方は、交流の波形が3/4周期遅れる。
一周期毎に同じ波形が繰り返されるので、1/4周期進むと言い換えてもいい。
その結果、4つの電磁石の磁性は、以下の順で切り替わって行く。
N ・ S ・
・ ● ・ → S ● N → ・ ● ・ → N ● S
S ・ N ・
↑ |
| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
交流の周波数が一定なら、電磁石の磁性の切り替わって行く速さも一定だ。
中の棒は、静止状態から一気にその速さで回転することはできないので、
電磁石の磁性の状態と中の棒の位置関係によっては、回転を邪魔するように力が働く瞬間がある。
その結果、回転を助けるように力が働く瞬間と邪魔するように力が働く瞬間が交互にやって来る。
一見、回転を助ける効果と邪魔する効果が相殺されて、回転しないように思えるが、
実際には、平均したときに助ける効果の方が大きいので、中の棒は、徐々に回転速度を上げて行き、
最終的には、電磁石の切り替わって行く速さと同じになる。
しかしまあ、説明を簡単にするために手抜きをして描いてあるとは、思ってもみませんでした (^_^)