雑学
スイングバイは時間対称なのに加速?
宇宙船を天王星や海王星や冥王星に向かわせるとき、
よく、途中の惑星でスイングバイの技法を使って加速させるというが、
よく考えると加速させることなんかできないように思える。
その惑星に最も近づく時点の前と後で、時間的に完全に対称になり、速度も対称になる筈だから、
その惑星に近づいて行くときの速さと、その惑星から離れて行くときの速さは同じになり、
全然、加速されないように思えるからだ。
しかし、実際にはちゃんと加速されている。一体どうなっているのだろうか?
それは、近づいて行くときの速さと、離れて行くときの速さが同じとはいっても、
その惑星を基準にしたときの速さのことをいっているだけであって、
太陽系全体を基準にしたときは、その惑星自体が動いているので、
近づいて行くときの速さと、離れて行くときの速さは同じにはならないからだ。
.→→→→→→→→
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↑● ⇒
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'←←←←←←←←
例えば、惑星(●で表されている)の動きと宇宙船の動きの関係が上図のようになっている場合、
近づいて行くときの速さより、離れて行くときの速さの方が、丁度、惑星の運動速度の2倍分速い。
要するに、スイングバイというのは、惑星の運動の一部を奪うことなのだ。
(とはいっても、惑星は宇宙船に比べると桁外れに重いので、惑星の運動の変化はほとんどゼロ)
しかしまあ、スイングバイが惑星の運動の一部を奪うことだったとは、気づきませんでした (^_^)