雑学
対数って結局何なの?
世の中には、対数で表されているものが多い。
増幅率を表すデシベルも、地震のエネルギーの大きさを表すマグネチュードも、
星の明るさを表す1等星、2等星、3等星の1、2、3も、
みんな、対数で表したときの大きさである。
対数は指数の逆とはいうけれど、実感としてピンと来ない人も多いと思う。
対数って結局何なの?
対数を、もの凄ーく大雑把に言ってしまうと、対数とは桁数のことなのだ。
元々の大きさ 対数表現
――――――――――――――――
10 1
100 2
1000 3
10000 4
100000 5
つまり、10, 100, 1000, 10000, 100000 で表す代わりに、
1の後に並ぶゼロの個数、1, 2, 3, 4, 5 で表したもののことなのだ。
これを見て
「あれ? 増幅率のデシベルの定義と違うぞ」
「あれ? 地震のマグネチュードの定義と違うぞ」
「あれ? 星の明るさの何々等星の定義と違うぞ」
と思った人もいると思う。
そう。もの凄ーく大雑把に言った場合はこれでいいのだけれど、正確にいうと、もちろん違う。
どう違うかは、下の表を見ればわかる。
元々の大きさ 対数表現の例 デシベル マグネチュード 等星(0等星基準時)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1/100000 -5 -50 -3.3220 12.5
1/10000 -4 -40 -2.6576 10
1/1000 -3 -30 -1.9932 7.5
1/100 -2 -20 -1.3288 5
1/10 -1 -10 -0.6644 2.5
1 0 0 0 0
10 1 10 0.6644 -2.5
100 2 20 1.3288 -5
1000 3 30 1.9932 -7.5
10000 4 40 2.6576 -10
100000 5 50 3.3220 -12.5
桁数ではあるんだけれど、桁数を単純に 1, 2, 3, 4, 5 で表さずに、
10, 20, 30, 40, 50 で表したものがデシベルであり、
0.6644, 1.3288, 1.9932, 2.6576, 3.3220 で表したものがマグネチュードであり、
-2.5, -5, -7.5, -10, -12.5 で表したものが何々等星なのである。
マグネチュードと何々等星が、なぜこんな半端な値になっているのか疑問に思う人もいると思う。
マグネチュードの方は、元々の大きさが 32倍 になると対数表現が 1 増えるように決められているからだ。
元の大きさが 32, 1024, 32768, 1048576, 33554432 のものを列挙すれば 1, 2, 3, 4, 5 と綺麗に並ぶ。
何々等星の方は、
元々「星空を見て特に明るい星を1等星、肉眼で見える一番暗い星を6等星と呼ぶ」と決められたからで、
それを後で調べたら、6等星の明るさが1等星の 1/100 だとわかったからだ。
6等星と1等星の両方を1段階ずつ明るくしたとして、差はやっぱり 1/100 だから、
5等星の明るさは0等星の 1/100 ということになる。
そうなると、1/10 は0等星と5等星の中間の 2.5 等星になり、10 は -2.5 等星になる。
というわけで、対数は、感覚的には桁数に近いのだ。
ただし、桁数と言い切ってしまうと間違いなので、その辺が説明が複雑になる原因になっている。
しかしまあ、
従来の説明が複雑なのは、間違いを一切含まないことにこだわっていたからなんですねえ (^_^)