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和書 1094378 (87)



マレーの虎ハリマオ伝説 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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現在、中野不二男氏は科学技術ライターとして、最先端の科学技術をわかり易く解説する日本では貴重な存在である。その科学技術に取り組む姿勢は、著者の初期の作品にも色濃く映し出されている。私個人としては本書よりも、無名の日本人捕虜の心理状態を再現した前作「カウラの突撃ラッパ-零戦パイロットはなぜ死んだか-」の方が好きではあるが、一般に有名で広く伝説として(あるいはテレビ番組として)知られているハリマオの意外な真実を記した本ルポも、魅力的な題材である。

中野氏のマレーシア、福岡での取材活動にも眼を見張るものがある。最近なかなかお目にかかれない行動力+洞察力である。ルポライター養成の教科書としても使用できるのではないだろうか。




宮沢賢治殺人事件 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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賢治=聖人伝説を覆す問題作。
たぶん、これが本当の賢治像なんだろうね。
で、
この本を読んで、
賢治が嫌いになるか、
好きになるか。

僕はむしろ好きになったよ。




メディアの興亡〈上〉 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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「コンピュータで新聞を作る」

 という、コンピュータがここまで発達・普及した現在だと普通に考えられることが、
昭和40年当時、「アポロ宇宙計画に匹敵する難事業」であったこと。

 そして、昭和40年といえば、山陽特殊鋼や山一證券の経営破綻という前年までの好景気から一転した
大不況の真っ最中・・・新聞社もその例外ではなく、
どこも経常利益1〜2億/年の頃、全国展開のための営業費増と新社屋建設ラッシュの結果、
毎日新聞社は200億余の借金、日本経済新聞社も100億余の借金を抱え、青息吐息の中で
産声をあげたプロジェクト。

700ページ余の大分の本書、コンピュータ導入による活字・職工の全廃という
「革命」を狂言回しにした
 昭和40年代〜52年に毎日新聞が新旧会社に分離するまでの新聞業界史でした。




メディアの興亡〈下〉 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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「コンピュータで新聞を作る」

 という、コンピュータがここまで発達・普及した現在だと普通に考えられることが、
昭和40年当時、「アポロ宇宙計画に匹敵する難事業」であったこと。

 そして、昭和40年といえば、山陽特殊鋼や山一證券の経営破綻という前年までの好景気から一転した
大不況の真っ最中・・・新聞社もその例外ではなく、
どこも経常利益1〜2億/年の頃、全国展開のための営業費増と新社屋建設ラッシュの結果、
毎日新聞社は200億余の借金、日本経済新聞社も100億余の借金を抱え、青息吐息の中で
産声をあげたプロジェクト。

700ページ余の大分の本書、コンピュータ導入による活字・職工の全廃という
「革命」を狂言回しにした
 昭和40年代〜52年に毎日新聞が新旧会社に分離するまでの新聞業界史でした。
 





目撃者―「近藤紘一全軌跡1971~1986」より (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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近藤紘一の一周忌(87年)に単行本として刊行された作品の文庫版。

単行本は、著者の執筆活動を「記事」「ルポ」「評論」「エッセイ」「創作」の五つに分類、生前単行本として刊行されなかった作品(ただし「創作」に収められた「仏陀を買う」を除く)が収められていたが、文庫本ではこの中の「エッセイ」と「創作=小説」だけが収録されている。

「創作」に収録されている「夏の海」が印象に残った。不幸にも死に別れてしまった前夫人の遺稿集に寄せた、彼女との思い出を綴った文章なのだが、弔辞と考えればこれ程美しい弔辞はないと思える。解説の沢木耕太郎が「詩的随想」と記したのも頷ける。

著者と彼女の不幸な別れについては、彼の多くの作品で断片的に触れられてはいたが、それは彼女が不幸な亡くなり方をしたという事実、それによって彼が心に深い傷を負ったという事実が大部分であり、彼女との思い出が直接語られる場面はなかったはずである。

もともとこういった感傷的な文章はあまり好きではないのだが、近藤紘一の作品のほとんどを読んできた私にとって、この「夏の海」は、好き嫌い以前に読まなければならなかった作品なのだと思う。文章が美しければ美しいと感じるほど、彼に対する痛々しも増してきてしまった。

もちろん、初めて手に取る著者の作品がこの「目撃者」であっても悪くはないが、他の方も書かれているとおり、彼の原点ともいえる著作(「サイゴンのいちばん長い日」「妻と娘シリーズ」)読み、彼の背景にあるものを知ってから手に取ることをお奨めしたい。そうすればこの作品の良さがもっと分かるはずだ。





敗れざる者たち (文春文庫)
販売元: 文芸春秋

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 敗れるためには誰かにあるいは何かに倒されなければならない。彼は一体何に倒されたのか。さらに重要なことは、敗れる為にはそこにその場に立たなければならない、恐怖と孤独のただ中に、運命を決する場に。彼はどうやってその場にたどりついたのか。あるいはたどりつけなかったのか。一生「その場」に立たないであろう大多数の男達の一人として沢木耕太郎はその何故、いかにしてを見届けようとしている。
 「長距離走者の遺書」のなかでの円谷幸吉と斉藤勲司との「牧歌時代」が、おそらく全ての敗者の出発点なのだ。栄光のためでもなく金のためでもない。ただ走るのが楽しいから走っていた。走り続けた。ところがいつの間にかそれが変質してしまう。「何か」を得るために走るようになってしまう。「何か」のために走らされるようになってしまう。その極点において敗者は2つに分かれる。運命に選ばれてしまった者と運命を選び取った者とにだ。足を故障しても走り続けたアベベ、引退後もハードトレーニングをし続けた榎本喜八。かれらは結局老成しなかった者と言い換えることもできる。それは世間的にみれば敗者なのだ。だがそれは本当に敗者なのか?「あしたのジョー」に憧れた無数の若者達とともに沢木耕太郎は自らにそう問いかけている。




収容所(ラーゲリ)から来た遺書 文春文庫
販売元: 文藝春秋

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多くの人に慕われつつも、満鉄に所属していたことから日本に帰還することなくシベリアで亡くなった兵士、山本幡男氏のお話です。

このお話はラーゲリにおける日本人俘虜の生活、待遇についての詳細な記録です。その理不尽な扱いについての貴重な記憶になるのでしょう。

ですが、本書の白眉は、書名にあるとおり、山本氏が亡くなる前に家族に宛てた膨大な遺書でしょう。

収容所では日本人俘虜が何かを書き記すことが許されず、もし見つかれば重罪となってしまうために、遺書を託された人たちは、それを分割して暗記することにします。

結局遺族の許へは計7通の「遺書」が届けられます。ある遺書は書起されて持参され、ある遺書は郵送で。

多くの人たちから敬愛された山本氏です。その彼のために大変な労苦をおして届けられた遺書です。しかし、遺書を持ち帰った人たちは、必ずしも氏とは交流が深かった人たちばかりだったわけでもありません。何が彼等を突き動かしたのか。

引き受けた人の中には、この遺書を「新生日本の若者へのメッセージなのだ。山本は新しい世代の青年達と対座するような気持ちで書いたに違いない。」と感じて何度も書き写し、暗記をした人もいました。

きっとそれぞれが自分自身で解釈を加えながら、そしてそれを自身の希望に結び付けて山本氏の思いを持ち帰ったのだと思います。

私はとりわけ山本氏が妻と4人の子供たちに宛てたそれぞれの遺書を、涙なくしては読めませんでした。愛してやまない家族と二度と会えない人のあまりにも深い悲しみ、それが心に突き刺さりました。特にどうしても自分自身とダブらせてしまうのですよね。もし自分がそんなことになったら、悲しみのあまり胸が張り裂けてしまうでしょう。

「さよなら」。この一言にどれほどの悲しみが詰め込まれていたのでしょうか。




リターンマッチ (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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ボクシングノンフィクションといえば、沢木耕太郎の「一瞬の夏」が有名だが、こちらも新たな金字塔になりうる名著だ。

沢木氏の「一瞬の夏」は、筆者自身が主人公カシアス内藤の懐に飛び込み、一緒に夢を追うという「参加型」のノンフィクションだったのに対して、「リターン・マッチ」での後藤氏はジャーナリストとして適度な距離を置きながら、温かくも正確な目線で事実を追っている。

負け犬根性がしみ込んだ定時制高校の生徒が、ボクシングを通じて何かを学んでいく。当然、そこにはきれいごとだけでは済まされない現実がある。
誰の、何に対するリターンマッチなのか。
「一瞬」ではなく、静かに考えさせられる作品である。




黎明の世紀―大東亜会議とその主役たち (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過した一年の壮絶記録 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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これは、家田荘子が20年前に全夫とアメリカ本土に住んでいた頃のルポルタージュである。
日本では、この本を題材に、日本を舞台にしたフィクション映画が南野陽子主演で作成された。
が、原作であるこの本は、様々な描写が生々しさに満ちており、彼女の渾身の姿勢が良く伝わってくる。
アメリカでボランティアをやるという事はどういうことか。
20年前のエイズ患者に対し、あのアメリカでもこのような態度をとっていたのかという事。
貧困とは、マイノリティーとは。
抽象的な観念論ではない、彼女の生の実感が伝わってくる。

この本を読んで、日本のエイズの実態をネットで調べてみた。
何と、日本は先進国の中でエイズ感染率が非常な勢いで上昇し続けている唯一つの国だと言う事だ。

以前、水谷修さんの「夜回り先生」を読んだ時、家庭で受けた心の傷を持った少女が援助交際(売春)に走り、エイズに感染し、世を呪い、自分がエイズと知りつつ、復讐の為、援助交際をしつづけ、さらに悪性のエイズウィルスを別の男性からもらい、死んでしまったというエピソードがあった。
私の周囲でも、風俗の話は面白おかしく語られるが、エイズ感染率が上昇しつつけているのは日本では、どうも男性ばかりらしい。

20年前に家田荘子が知った知識が、ボランティア講習の内容として語られているが、この中で、日本人はどこまで知っているのか?と思うと暗澹たる気持ちがする。
「エイズの話題はもう、時代遅れだ」と20年前の日本で家田は言われたそうだ。
薬害エイズ問題で、クローズアップされたエイズだが、薬害以外の問題でのクローズアップはほとんどされていない。
エイズが増え続けているという現実の中、将来的に私達は、どういった心構えをすべきか、この本は、そんな一助となるように思う。



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