戻る

前ページ   次ページ

和書 13384391 (90)



国文学 解釈と鑑賞 2007年 09月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

 伊藤一郎氏「寓話としての「河童」」について書こう。私には、以下の二点が気になった。
 一点目は、こうだ。芥川の小説「河童」には、生まれたときには老人で、年を経るごとに若返っていく河童が登場する。この特殊な一生を送る河童と、今年公開が予定されている映画「The Curious Case of Benjamin Button」(フィッツジェラルド原作、ブラッド・ピット主演、デビッド・フィンチャ−監督)の主人公が送る一生とに、伊藤氏は類似性を見出している。この映画の主人公もまた、老人として生を受け、年を経るごとに若返り、最期には揺り籠の中で消滅する、という。両者には母胎回帰のイメージが漂うと、伊藤氏は主張する。
 二点目は、こうだ。「河童」の世界に入り込んだ(と思い込んでいる)男が、発狂する以前は、事業において人を雇う側にいた、という事実を伊藤氏が「意味深い」としている点だ(私は伊藤氏の言う「意味深さ」とは違う次元で「意味深さ」を感じる)。
 以上の二点から私は以下のような仮説を得た。芥川は、父の事業と母の発狂とを下敷きにしつつ「河童」を書いたのではないか、と。私は「河童」を研究したことがないから、あるいは、このような説はすでに出ているかも知れないが、思ったことなので、書いてしまいたい。
 私のおぼろな記憶がもし確かならば、芥川の父は自身の事業に失敗してはいなかったか、そうして、その事業の失敗が母を発狂させた、と芥川が考えたとしたら、……芥川は「河童」という〈たとえばなし〉において、聖なる母の胎内に回帰することを実現させた。母から発狂の事実を取り除き、その属性を父にかぶせ、父をまた、無罪にするために、架空の精神病者を登場させたのではないか。
 以上は私のでたらめであるが、伊藤氏の論文は、「河童」を読み解く上で、重要な示唆を提供するに違いない、と私は考えている。





国文学 解釈と鑑賞 2007年 10月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2007年 11月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2007年 12月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 01月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 02月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 03月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 04月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 05月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






国文学 解釈と鑑賞 2008年 06月号 [雑誌]
販売元: 至文堂

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)




前ページ   次ページ

戻る

仮想世界 - シューティング/レース/電車ゲーム フライトシミュレータ