和書 467266 (293)

ニーベルンゲンの指環〈1〉ラインの黄金 (ワーグナーオペラシリーズ)

ワルキューレ (ニーベルンゲンの指環 2)

ニーベルンゲンの指環 (〔4〕) (ニーベルンゲンの指環 4)

肉体改造クラブ・女子高生版

肉体の清算

戯曲 二十世紀

　彼女の二度めの夫は「タバコ・ロード」で有名になった作家アースキン・コールドウェルだった。彼と南部の旅をして、彼女の写真にはじめて、等身大の、同じ目の高さで撮られた人間の姿があらわれる。しかし彼女の目は、時代を動かす戦争や英雄、無名の兵士や死体に向けられる。目の前に絶好の被写体があるではないか。「写真家は世界と寝たがってると言ってたけど、私、そうかもしれないと思うわ」。朝鮮戦争をへて大衆化の時代に入り、写真はジャーナリズムの王座を占める。しかし彼女は、時代の記念写真をとるという自分の作った役から、降りられない。東奔西走し、当然のごとく結婚生活は破綻する。

　生涯の終わりに彼女はパーキンソン氏病にかかる。もう一度カメラを持ちたいという一心で何度か手術を受けるが、車椅子で衰弱死を待つだけの存在となったとき、この世界には卑小な存在があるということに気がつく。人生の真実の大部分は、歴史に残らないところにあったのだと悟る。「撮った写真は今でも誇りにしてるわ。でも、撮っているとき、一度も人と結ばれたという安心はなかった」。それまでかたくなに撮られることを拒んできた彼女だが、人生の（そしてこの劇の）終幕で、自分の醜い姿を撮らせることを決意する。みずからの意志で被写体となって、カメラの前に立つ。これまで自分がとってきたような、記念写真ではない写真のために。

　舞台の紗幕に写真を投影するという方法は、彼女のダイナミックで構成的な写真をより魅力的なものにしたことだろう。後半に微妙なかたちで日本がからんでくるが、それは見ての、あるいは読んでのお楽しみとしておこう。読みおわると、人間のドラマを見させてもらったという心地いい余韻に浸ることができる。初演でマーガレットを演じたのは麻実れいだそうだ。麻実れいのきりりとした容姿は、この自己顕示欲の強い個性的な女性にぴったりである。

　劇中、難民を被写体としか思わず、無遠慮にカメラを向けたとき、こう聞き返される。「ひとつ聞くけど、あんたのその写真機、人間の考え方を写すことはできるの？」このセリフは、写真の時代であった20世紀への痛烈な批評になっている。

二十世紀 病める人の館

二十一世紀最初の戯曲集

日輪月輪 良寛上人と聖フランチェスコ

日本におけるシェイクスピア