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和書 467270 (278)



あすなろ物語 (1955年) (小説文庫)
販売元: 新潮社

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あすなろ物語 (1958年)
販売元: 新潮社

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あすなろ物語 (1966年)
販売元: 旺文社

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あすなろ物語 (1981年)
販売元: 新潮社

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あすなろ物語 (1983年)
販売元: 埼玉福祉会

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あすなろ物語 (世界の名著 22)
販売元: ポプラ社

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ふとしたきっかけで、昔、少年の頃と青年の頃と2回読んでいた本書をまた読み直した。そして、気がついたことがあった。文庫本の宣伝文には自伝的小説としばしば書かれるが、それは、この本の特徴を誤解させている。井上さんは、明日は檜になろうという「人間全てあすなろ」仮説をもってこの本を書いたのである。そのことの意味を今回ようやく読みとったのである。

この本は六つの章からなるのだが、少年の頃読むと、少年鮎太を描く二章までが面白くあとは流してしまう。青年の頃読むと、最後まで一応、筋を追えるが、中高年時代を描く五章、六章あたりへの関心は薄れがちである。それに、各章に登場する個性的な女性を追って読むことも出来る。

しかし、今回読んみて、肝心なところが最終章にあることに気がついた。あすなろ仮説は、ここにおいて収束するのである。すなわち、終章の冒頭、こう書かれている:「明日は何ものかになろうというあすなろたちが、日本の都市という都市から全く姿を消してしまったのは、B29の爆撃が漸く熾烈を極め出した終戦の年の冬頃からである。日本人の誰もがもう明日と言う日を信じなくなっていた」と。終戦間際になると、戦争を遂行する日本という国の不条理を誰もが無意識のうちにでも感じていて、希望というエネルギー源を無駄に燃やし尽くしてしまい、夢をもてなくなっていたのである。

また、同じく終章で戦争が終った末尾近くでは次のごとくである:「気付いてみると、あすなろは今や、オシゲと並んで歩いて行く彼の周囲にもいっぱい氾濫していた。・・・人々は誰も彼も、自分をのし上がらせるために血みどろになっていた。僅か十ヵ月足らずの間に、すっかり世の中は変っていた」と。誰も彼も、多様な夢を持ち、新しい生活を作り出せることを喜んでいた。中には、抜け駆けして一攫千金をねらう輩もいたのだけれど、それに止まらず、檜になることが可能になったのであった。

終戦を挟んだこの大きなギャップをあすなろに掛けて描いて見せたこの本は、実は、極めて現代的なのかも知れない。あすなろが駆逐されようとする現代の閉塞を打ち破って、あすなろを氾濫させる必要がある。あの戦争直後の、夢と希望に満ちた時代を、現代風によみがえらせること、それがいかに重要かを、私は「あすなろ物語」を最後までしっかり読んで掴んだのである。六十歳の半ばにして、私はこの本をようやく読了した。






あすなろ物語 (愛と青春の名作集)
販売元: 旺文社

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あすなろ物語 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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ふとしたきっかけで、昔、少年の頃と青年の頃と2回読んでいた本書をまた読み直した。そして、気がついたことがあった。文庫本の宣伝文には自伝的小説としばしば書かれるが、それは、この本の特徴を誤解させている。井上さんは、明日は檜になろうという「人間全てあすなろ」仮説をもってこの本を書いたのである。そのことの意味を今回ようやく読みとったのである。

この本は六つの章からなるのだが、少年の頃読むと、少年鮎太を描く二章までが面白くあとは流してしまう。青年の頃読むと、最後まで一応、筋を追えるが、中高年時代を描く五章、六章あたりへの関心は薄れがちである。それに、各章に登場する個性的な女性を追って読むことも出来る。

しかし、今回読んみて、肝心なところが最終章にあることに気がついた。あすなろ仮説は、ここにおいて収束するのである。すなわち、終章の冒頭、こう書かれている:「明日は何ものかになろうというあすなろたちが、日本の都市という都市から全く姿を消してしまったのは、B29の爆撃が漸く熾烈を極め出した終戦の年の冬頃からである。日本人の誰もがもう明日と言う日を信じなくなっていた」と。終戦間際になると、戦争を遂行する日本という国の不条理を誰もが無意識のうちにでも感じていて、希望というエネルギー源を無駄に燃やし尽くしてしまい、夢をもてなくなっていたのである。

また、同じく終章で戦争が終った末尾近くでは次のごとくである:「気付いてみると、あすなろは今や、オシゲと並んで歩いて行く彼の周囲にもいっぱい氾濫していた。・・・人々は誰も彼も、自分をのし上がらせるために血みどろになっていた。僅か十ヵ月足らずの間に、すっかり世の中は変っていた」と。誰も彼も、多様な夢を持ち、新しい生活を作り出せることを喜んでいた。中には、抜け駆けして一攫千金をねらう輩もいたのだけれど、それに止まらず、檜になることが可能になったのであった。

終戦を挟んだこの大きなギャップをあすなろに掛けて描いて見せたこの本は、実は、極めて現代的なのかも知れない。あすなろが駆逐されようとする現代の閉塞を打ち破って、あすなろを氾濫させる必要がある。あの戦争直後の、夢と希望に満ちた時代を、現代風によみがえらせること、それがいかに重要かを、私は「あすなろ物語」を最後までしっかり読んで掴んだのである。六十歳の半ばにして、私はこの本をようやく読了した。






あすなろ物語 (新潮文庫―名作アニメシリーズ)
販売元: 新潮社

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あすなろ物語 他 (旺文社文庫 11-1)
販売元: 旺文社

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