各種統計も含まれており,外国人のおかれた法的状態の概要を知るには手頃な本だろう.
昨今のナショナリズムのたかまりや不況の影響を受けて,社会の外国人に対する寛容さが失われつつあるように思う.安易に特定国民の好き嫌いを表明する前に,まずは彼らの置かれた状態について理解することからはじめたいものだ.
外国人登録法の意義として挙げれる点は、入管法を遵守せずに入国するもの、つまり不法入国者や不法残留者を浮かび上がらせることが可能となるという制定当初の目的、そして、在留外国人の統計的把握に貢献しているということであろう。
特に、日本のように、日本出生外国人、つまり日本人と同様に行政需要がある人々が依然多くを占めている現在、さらに、非日本出生者でも定住してるものが増加した現在においては、その意義は再確認されるべきである。
オーストラリアでは、外国人登録というものはなく、国勢調査がそのときオーストラリアにいる全人口を対象としてることから把握しようとしてるが、その調査のスパンが長いことからも、外国人登録制度は確かに優れているといえる。(その点、統計報告の法律上の明文化を行ってもよかろう)
あと、興味深い点は、立法過程で、最初の外国人登録令によって外国人登録が市町村により行われることとされたが、それは、内務大臣にその権限を与えたことに由来する。これは制定時の1947年には入管機構はなかった点が理由であり、その後法務府設置後民事局に移管ち?れている。ここに内務省の解体過程の問題があり、その中で外国人登録も位置付けなければならないであろう。そしてこの点は、入管機構の法務省移管という点にも関連するものである。戦前の帰化事務の検討と共に、内務省関連の基礎知識や、その解体過程は押さえておく必要がある。