(左脳編)物理化学はもとより,無機化学(ウォルシュダイアグラム,配位子場理論など)・有機化学(ウッドワードーホフマン則,フロンティア軌道論など)の理論や反応のイメージも湧かせてくれる. 基礎的な量子化学の計算(環状ポリエンのエネルギー準位,対理論など)や金属結合ではヒューム-ロザリーの規則まで紹介. 10章の分子スペクトルと11章の物性測定の章は,懇切丁寧な記述が脳内の交通整理をしてくれます. 各章の例題や演習も味わい深い.各専門用語の英語表記も便利です. 図表も綺麗で理解の一助となった.
(右脳編)読み進めるのが,とても楽しかった. 不正確な例えで言えば,ミステリー小説よりも面白い.この本の次ページを繰るのが楽しみだった.バラバラだった知識が体系化されていくのが,楽しかった. タイトルは基礎~と付いているが,後半に行くに連れて本書の副題の真髄が現れてくる気がした.自分は6章以降からが特に面白く読めた.本書の第2巻が待ち遠しい.サイエンス社さん急いで下さい! ただ,並進運動を併進運動と書いてあるのは,何でだろう?
自分の専門以外も基礎でもいいので知りたい!学部時代のことがアヤフヤ!と思う方は楽しめる本と思います. あくまで基礎ですので,この本の後にマッカーリやアトキンスを読めば安心感が倍増すると思います.
Conclusion:お薦めです.