静的な問題事例として釣り竿と蜘蛛の巣の力学を扱うと言う粋な計らいがあり、動的な事例として弾性支持を受ける梁の大変形、膜の大変形挙動の例として「ふろしき衛星」、「テニスボールの衝突解析」、[柔軟メカニズムの運動解析]、さらには「構造物の最適化、推定問第」、「宇宙展開構造物のパラメータ推定問題」へと到る。興味尽きないテーマ群だ。
宇宙空間では重力は作用せず慣性力が支配的となる。また宇宙機では軽量化が絶対条件であり、展開する大型アンテナに代表されるように大規模でその形態が時間経過と共に変化する対象を扱う必要がある。軽量で大規模構造物の常として固有振動数の低下、大変形挙動の誘発となる。
これらは拘束条件を有する運動方程式で定式化されるが、本書では有限要素モデルによる空間離散化により非線形常微分方程式を導出し、数値積分法で挙動を解析する。
・本書の構成に関して
4百頁弱の前半は本文、後半は前半のFORTRANプログラムのダラダラと載っている。これはもったいない。著者か出版社のHPにプログラムをおいて公開すれば必要なものがダウンロードすればよいのでは。
・FORTRAN?
パーソナルコンピューティング時代に全面的に突入と言う著者の意見に全面的な賛成をするも、FORTRANでの展開は腑に落ちない。mathematica,MAPLEのような数式処理言語,C言語,Visual Basic,EXCELのVBAなど考えられるからである。
なお、数値シミュレーションの書籍では、木村欽一著「エクセルで解く線形・非線形方程式の数値計算」(丸善)や河野 光雄 (著), 佐野 健一 (著) 、「社会現象の計算機実験―MathematicaとExcelを使って」 (中大出版部)などを薦めたい。