誤植は以下の通り。・p.57 式(4.25)のCは3X1ではなく1X3,C=[0 0 1] ・p.57 式(4.28)のC*は3X1ではなく1X3,C*=[3 1 3] ・p.63 式(4.29) (i=1,l)→(i=1,2,3・・n) ・p.87 図5.23 G。=Gr・G。とあるが、両辺にG。があり意味不明 ・p.101 式(6.9) Bu=[0 1]' →Bu=[-1 1]' (ここでprimeは転置) ・p.101 図6.12の図中 z2→z ・p.102 図6.13の図中 k1=3EI/e^3 e→l(エル) ・p.103 [4-5] m1=33m。/140は戴けない!円周率を22/7や311/99で代用するが如し。 ・pp.167-170 xtとvtが混乱 [6-7]のコメント 定義xt,at→定義vt,at ,[8-9]のコメント at=aa xt+b2 {η1,η2}→at=aa vt+b2 {η1,η2} ,[24-25]のコメント at=(aa+sas)xt+b2{η1,η2} → at=(aa+sas)vt+b2{η1,η2}
Meriumの教科書Dynamicsは1975年の第2版から色刷りで紙面に踊る立体感のある絵に驚ろいた。何年か前から日本の教科書にも立体感を出す陰影法などが取り入れられ始めた。本書も紙面に諸種の工夫の跡があり、メリハリがきいていて読みやすい。肌理の細かい説明、最近久しく出会っていない優良教科書と言える。
初心者にとっては読みやすくとっつきやすい本である。初心者がMATLAB/Simulinkを併用して、理論と実践(計算、本来であれば実験であるべきだが数値実験で代用)の両輪を進めうることは時代の恩恵であり素晴らしいことである。しかし一方、シミュレーション・ツールのブラック・ボックス化の流れを加速しかねない危険と背中合わせとも言える。教科書としての採用であれば、教師のフィードバックにより問題は最小化できよう。
私はMATLABクローンのフリーソフトScilabのSimulink版とも言えるSCICOSの導入本として読んだ。したがって手元にMATLAB/Simulinkはないがその代替ソフトで例題を進めていった。この目的に対しては頁数も多くなく典型的な例題が載っており良かった。内容的にはSISOに限定しており少なからず物足りなさも感じた。ソフトがないと例題の種類も多くなくつまみ食いの感は免れないのではないか。
しかし本書には、システム同定理論の系統だった説明がない。つまりシステム同定ツールをBlack Boxとして取扱っている。また用語も本書のみでは閉じていない。MATLABのSystem Identification Toolboxをフル活用し、かつhelpの活用を前提としている。当然のことだがMATLABは必須である。
なお同著者の「制御のための上級システム同定」(東京電機大学出版局、2004年3月)の第Ⅱ部(11-13章)にはシステム同定理論の系統立った説明がある。
本書でのBlack Boxとしてのシステムの同定法習得のみではなく、White Box化に努めることが重要であると思う。