内容は主にメモリの話です。
第3章 文字列処理
第4章 メモリ
第5章 ポインタ
第6章 関数
第7章 構造体
が本書の中心部分ですが、C言語においてこれらのトピックは全てメモリが絡んでいます。そして、この本ではメモリの理解を通じて解説していきます。項目名だけ見てもバラバラのように見えますが、メモリを通じた統一的な理解ができます。「ポインタが分からなかった」という人にもおすすめです。
普通の解説書だと、メモリについては概念的な説明だけで流すことが多いのですが、この本では実際にアドレス・初期化前のゴミ・オーバーランの様子を記述してあり、極めて「生な」メモリを見せています。
プログラミングの初心者の場合、メモリはなんとなく「データの記憶場所」という程度の理解をしていることが多いようですが、本書でより具体的なイメージがつかめるはずです。
筆者の言う通りメモリの理解なしでC言語(とついでにC++)は使えないでしょう。それに、他の高水準言語(Javaとか)を使う場合でも、メモリについて理解をしていると動作の理屈が見えることもあります。覚えておいて損はないです。
あと、メモリの理解の副次的な効果として、アセンブリ言語を理解する助けになります。メモリのことだけでも知っておけば、新しく覚えることが少なくて済みます。
初心者の方にはプリプロセッサの話も参考になるでしょう。副作用についての常識とか、現在でも使われている定石などが紹介されています。
ただ、中には古くなってしまっている話もあります。例えば、浮動小数点まわりで現在では事情が変わっている話があります。10年も前の本なので仕方がないのですが…そのあたりで星4つとしました。
それでも、本書は私の知る限りC言語でメモリについて解説してるいる唯一の本です。入門者が読んで損のない一冊であることは変わりはないです。