本文は二段で、やや小さな文字がぎっしり詰まっているので実質400ページ近い内容がある。写真資料は空母ホーネット、B-25を始めとした米軍艦船・飛行機は勿論、16機其々の搭乗員全員、日本側はキ-61新型機、九七式戦闘機、爆撃被害痕など豊富に盛り込まれている。
B-25、16機による被害(東京・横須賀・名古屋・神戸等の各都市等を爆撃)が一機ごとに詳細に書かれている。一部の機を除いて極めて誤爆が多く、攻撃目標を外れている。肝心の工場を逸れて民家に着弾したり、そもそも米軍の使用した地図が大正年間の物だったり、中でも痛ましいのは幼児や国民学校の学童などが機銃掃射で命を落としていることなど目を覆うばかりだ。米国本国や中国では実行者が英雄として称えられた作戦であったが、本書には触れられていなかったが、該当機は国籍を表すマークを予め日本軍の物で覆い、爆撃直前に取り外すなど国際法違反の行為があったと言われている。中国不時着時、捕虜になった8名のうち3名は一般市民殺傷の罪で銃殺刑となり、児童銃撃の機銃手1名はパラシュート降下に失敗して戦死している。
他に事前・事後に米軍機を発見した監視艇との戦闘・被害についても詳細に載録。
巻末には空襲経過表、機別の死傷者・家屋の被害軒数など。
共著で柴田氏の方は防衛庁教官とのことで、本書によって訴えたかったのは「備えあっても、憂いあること」だそうだ。平たく言えば軍備増強・警備強化ということになろうが、21世紀を迎え、もういい加減人間同士殺しあう戦争は止められないものだろうかと思えるのだが・・・。