巻頭の注釈によれば、本書は「NHK楽しいスペイン語」(芸林書房/92年)に加筆、ユーロ表記等の修正をしたものとのことです。私自身の経験から言えば、NHKのラジオ講座ほどよくできた入門語学教材はないと思っていますので、本書が良質な教材であるのもむべなるかなと思います。
付属のCDには日本語の文章を読み上げてからそれに相当するスペイン語の文章を読み上げるというスタイルをとっています。手元にテキストがなくても、文字でいちいち和訳を確認する手間が必要ありませんので、私はこうした対訳形式の吹き込みには大いに賛成します。吹き込みスピードも入門者には無理のない速さですから安心できます。
スペイン語の入門書という類いの本を随分手にしてきましたが、多くは接続法を粗末に扱うか、さもなければ全く省いた構成をとる場合がまれではありません。しかし本書は接続法の過去までかなり丁寧に解説しています。ひとつひとつ丁寧に読み込んでいくことで、スペイン語の文法を身につけられると思います。
また本書には慣用句的表現が随所に散りばめられています。この点も私は高く評価します。
惜しむらくは接続法過去完了(「もし~していたら、~したところだったのに」という仮定を説明するための文法項目)が欠落しています。画竜点睛を欠くとまでは言いませんが、101番目のステップが必要だったといえるでしょう。
ミスが多すぎます...。
いきなり人称代名詞からアクセントが抜けてます。
文字が抜けてるところもあります。
一番困るのは、練習問題の解答が間違ってるところです。
練習問題の解説はないので、「例外的にこうなるのかな」なんてあいまいに納得してましたが、度重なる誤りに他の参考書や辞書を調べて「本当に間違ってる!」と確認したら、なんだか全体に信用できないような気がしてきました。
私も決して上級者ではないのにこんなに多くのミスが見つかるなんて、復習として再確認した部分も誤って理解してしまったのかも、なんて不安になったりします。
解説自体は、わかりやすいし悪くないと思います。ただ、不規則動詞は現在形の活用以外は載っていないのは、どうかと思います。不規則だから覚えるしかないとは書いてありますけど、serとかterとかirとか使用頻度が高いものが多いですから、まとめて表だけでも載せて欲しかったです。