著者に会っていろいろ質問して、分からないことを理解する方法もあるでしょうが、この「ハンドブック」は、繰りかえし読むうちに、疑問点が明らかになるように作られています。素晴らしい仕上がりです。ふだん言語学には無縁の人は、せめて『広辞苑』を使いながら、読むと良いでしょう。とにかく、ふつうに浮かぶ疑念については、「ハンドブック」のどこかに、必ず、答えが載っています。
確かに、発音がいくらうまくても、ことばの中味が備わってなければ、コミュニケーションは成り立ちません。しかし、「音」が分からなければ、要するに「分かったつもり」のいい加減な理解で終わってしまいます。多くのブラジル人が、「なぜ、発音にカタカナを用いるのか。カタカナはポルトガル語ではない!」と怒る気持ちも、「ごまかして欲しくない」からでしょう。わたしも、苦手な音声記号に、チャレンジしましょう。この「ハンドブック」を使って。
この本に書かれている程度の文法説明では不十分とまでは言いませんが、これだけスペイン語の入門書が数多く出版されている中で、ぜひともこれを最初の一冊に選びたいと言うに足りる文法量かというと疑問です。
▼そもそも「“マドリードのスペイン語”の入門」というタイトルはどういう意図でつけられたものでしょうか?<マドリードに特有の特徴をもったスペイン語>というものにこの本で出会えるのかと思いましたが、どうもそういうことを目指したタイトルではないようです。しかしそれならばこのタイトルで一体どういう内容の本だということを伝えようとしているのでしょうか。
△付属のCDのスピードは可もなく不可もないスピードです。後半の接続法あたりの吹き込みスピードはもう少しゆっくりのほうが親切だったのではないかという気もしますが、極端に速すぎるということはないと思います。
ただし和訳は吹き込まれていないので、しばらくはテキストが手元にないと学習には不便かもしれません。