和書 507216 (266)

愛して殺してマイアミで (文春文庫)

愛して盗んで (講談社ノベルス)

愛して盗んで (講談社文庫)

愛しても、獣

同じ作者による『たまらなく孤独で、熱い街』や『氷雨』に近い感じで、ミステリーというほどのトリックやプロットの豪快なひねりはありません。とはいえ、作者独特の乾いた文体が乾いた世間を描くテーマにマッチしてどんどん読ませるし、事件の真相だけでも充分引っ張ってくれます。

タイトルは女性から見た“男”の姿ですが、「（略）どんな女でもよかった。とにかく女と寝たかった。いまから考えれば、ぼくは寂しかったのかもしれません。女と寝たところで、その淋しさがまぎれるはずがないのに、女と寝ることしか考えていなかった」というのももうひとつの本作のテーマといえるでしょう。

それら２つのテーマと対立するように、よりどころの柱として、父と妻・息子の家族と社会、というのが描かれ、相克しながら、結論を出すことなく幕切れとなります。
他の山田作品と同じく、心にずしんと響く作品。

哀愁時代 (角川文庫)

哀愁変奏曲 (集英社文庫)

哀愁変奏曲

哀愁時代 改版 (角川文庫 あ 6-509 赤川次郎ベストセレクション 9)

相性判断―この人があなたの幸運を招く (光文社文庫)

相性判断―この人があなたに幸運を招く (カッパ・ブックス)