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和書 507300 (230)



火車―All she was worth
販売元: 講談社インターナショナル

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

 宮部みゆきは、さすがに面白い。途中で止めるのが難しいくらいに、クライマックスまで引っ張っていく。登場人物の心理も、繊細に表現されている。
 私は時々、日本の作家の英語訳を読む。英米の作家の場合には、描かれている状況を飲み込むまでに、苦労が必要なことがあり、仕事に疲れた頭には辛いことがある。
 それに比べて、日本の作家の場合は、たいてい舞台が日本であるから、状況がよく分かり、理解しやすいので、楽しみながら英語の勉強ができる。そして、英語に訳されているものは、かなり定評がある本なので、内容については、当たりはずれが少ない。
 ただ、翻訳に素晴らしい文章を期待することはできない。多くの場合、原文に忠実に意味を伝えるだけでも大変で、美しい文章に直すことは至難である。素晴らしい文章を味わいたい時は、英米の作家の中から探す方が良い。
 そのようなことを割り引いても、この本ほどに楽しめるミステリーはそれほど多くないと思う。




風車祭(カジマヤー) (文春エンターテインメント)
販売元: 文藝春秋

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

沖縄八重山諸島、石垣島の魅力がとっても色鮮やかに描かれている。97歳を迎えるファンキーなおばぁ、青くも瑞々しい島の高校生、琉球王朝の香りを残す美女の幽霊(?)、そしておちゃめで一途な豚の妖怪。彼/彼女らが中心となって、神々が宿る南の島を舞台に、初恋のせつなさ、祭りの興奮、豊穣の喜び、自然への畏怖、そして世代を越えて受け継がれる知恵への畏敬、などなど普段なかなか感じられなくった感情が、海や森に優しく包まれた石垣島の1年間の移り変わりとともに実に綺麗に、活き活きと、そして面白く物語られている。700ページを越える大作であるが、どんどんその物語の中に引き込まれていき、あっという間に「1年間」が終わってしまう。物語が終わってしまって残念だが、心には爽やかな海風が吹き渡り、人間と自然が持つ強く優しい気持ちが温かく感じられるような、そんな読後感でいっぱいになる。





数のファンタジー (SINGPOO BOOKS)
販売元: 新風舎

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宮沢賢治の文体を自家薬籠中のものとしたかのような文体。余程読み込んでいるのだろう。しかし、エピゴーネンではない。著者の専門らしい数学が賢治ワールド的に展開して楽しい。ツイスター時空理論もこの文体に乗せて欲しいと思う。




カズムシティ (ハヤカワ文庫SF)
販売元: 早川書房

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道具立てはしっかりSFですが、あくまでも、良くできたハードボイルドだと思って買ってください。
ナノマシン、軌道エレベータ、冷凍睡眠、反物質推進エンジン、等々SFガジェットてんこ盛りですが、愛した女の仇を討ちにどこまでも敵を追いかけていくタフガイのお話。危機になると、次々に謎の女性が出現して助かるのも、お約束。
途中から全く別の男の物語が出てきますが、これがどう主人公と関わりがあるのか、この謎を追っていくと、厚さ45mm以上のこの一冊も短く感じられました。
作品の評価は星4つですが、上下2巻に分けずに一冊で、こんなに厚くした早川書房に、抗議の意味で星3つとしました。




葛橋 (角川文庫)
販売元: 角川書店

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中編3篇からなる小説集です。収録作品は<一本樒>、<恵比須>、そして表題の<葛橋>。<葛橋>も良いのだけれど、<一本樒>も光る魅力。

<一本樒>
良人に忠実に、真面目に生きてきた人妻・志野に訪れる転機を描きます。DVを振るう夫から逃れてきた実の妹を庇い、匿うことから生まれる悲劇。

私は、忠義が踏みにじられるのを見ると、悔しくてやるせなくて仕方ありません。志野の運命に呆気に取られつつ、この運命をもたらした人間たちへの因果を願わずにはいられません。

物語の運びで堪らない、スゴイ!と思うのは、彼らの破滅カウントダウンが、着実に行われていることです。登場人物たちの特性や<樒>を随所で効果的に絡ませながら、最後の仕上げに向かわせるこの構成・・。良く練られていると感激します。

<葛橋>
古事記によると、黄泉の国とこの世をつなぐのが“葛”。その葛で編まれた吊り橋の「あちら」と「こちら」の危うい交わりを描いた中編。夢とも現ともつかぬ世界が展開され、気持ちよく酔える小説です。

実際には、怪奇現象だとか錯覚と思われる描写なのだけれど、それらは妖しの魅力があって、坂東氏の世界に入り込んでしまう。

葛の向こうの「あちら」の世界に魅了されてしまう男の、焦燥感が伝わってきます。「あちら」には、何らかの救いがあるかもしれない、現状を変えられる何かがあるかもしれないと、期待するのは分かる気がします。

それにしては、篤子の人格に厚みがないかな。「あちら」と「こちら」の橋渡し役にしては、ちょっと薄い気がします。




葛橋
販売元: 角川書店

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中編3篇からなる小説集です。収録作品は<一本樒>、<恵比須>、そして表題の<葛橋>。<葛橋>も良いのだけれど、<一本樒>も光る魅力。

<一本樒>
良人に忠実に、真面目に生きてきた人妻・志野に訪れる転機を描きます。DVを振るう夫から逃れてきた実の妹を庇い、匿うことから生まれる悲劇。

私は、忠義が踏みにじられるのを見ると、悔しくてやるせなくて仕方ありません。志野の運命に呆気に取られつつ、この運命をもたらした人間たちへの因果を願わずにはいられません。

物語の運びで堪らない、スゴイ!と思うのは、彼らの破滅カウントダウンが、着実に行われていることです。登場人物たちの特性や<樒>を随所で効果的に絡ませながら、最後の仕上げに向かわせるこの構成・・。良く練られていると感激します。

<葛橋>
古事記によると、黄泉の国とこの世をつなぐのが“葛”。その葛で編まれた吊り橋の「あちら」と「こちら」の危うい交わりを描いた中編。夢とも現ともつかぬ世界が展開され、気持ちよく酔える小説です。

実際には、怪奇現象だとか錯覚と思われる描写なのだけれど、それらは妖しの魅力があって、坂東氏の世界に入り込んでしまう。

葛の向こうの「あちら」の世界に魅了されてしまう男の、焦燥感が伝わってきます。「あちら」には、何らかの救いがあるかもしれない、現状を変えられる何かがあるかもしれないと、期待するのは分かる気がします。

それにしては、篤子の人格に厚みがないかな。「あちら」と「こちら」の橋渡し役にしては、ちょっと薄い気がします。




火星の秘密兵器―合本版・火星シリーズ〈第3集〉 (創元SF文庫)
販売元: 東京創元社

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E・R・バローズによる火星シリーズの合本版第三集。
表題作になっている「火星の秘密兵器」は、第一作「火星のプリンセス」を別格とすればシリーズ中、最も好きな作品だ。

美女がさらわれ、それを追う勇敢な戦士が幾多の困難を乗り越え、マッドサイエンティストや独裁者の野望を打ち砕き、最後は勝利と愛を勝ち取る、というバローズお得意のパターンの作品ではあるが、本作はややひねりがくわえられている。

青年士官ハドロンは美しい王女サノマ・トーラを敬愛するが、傲慢な彼女には見向きもされない。そうこうするうち(例によって)サノマ・トーラは悪玉にさらわれ、ハドロンは勇躍捜索に向かう。捜索の途上、緑色人に囚われていた女奴隷タヴィアに出会う。二人は協力し、サノマ・トーラを助けるが、彼女は悪玉の誘いに乗り、二人を裏切る。荒野に取り残され凶暴な原人に包囲されるハドロンとタヴィア・・・、絶体絶命のピンチ!
サービス精神旺盛なバローズらしくその後もいろいろ紆余曲折があり、結果サノマ・トーラを救出するが、またもやサノマ・トーラは目先の利益に目がくらみ、ハドロンを裏切る。そればかりか、タヴィアまで奪ってしまう・・・。

高貴な身分で美しいが、一度ならず二度三度と主人公を裏切り続ける軽薄な女性と、いじらしくも健気に主人公を助け続けるヒロイン、最後の最後になってヒロインが寄せる愛情に気づく主人公というありがちな展開だが、ここまで真正面からやられると単純に感動してしまう。何度読んでも胸がせつなくなる。

併録の「火星の透明人間」と「火星の合成人間」も、バローズの黄金パターンの作品。特に後者は、クローン人間の製造工場が暴走し、何十万体もの合成人間を製造しはじめるというシーンに不気味なものがある。
落としてはならないのは、オリジナルにあった武部本一郎の華麗な表紙・イラストは残らず収録されていること(評価高し)。




火星航路SOS (ハヤカワ文庫SF)
販売元: 早川書房

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ドク・スミスの初期の作品で範囲が太陽系内に限定されることから、後のシリーズと比べると見劣りされていたが、中身自体はとてもおもしろい。現代となってはさすがに真空管はいただけないが、それに我慢すれば現代のSF小説よりより完成度の高い作品ではないかと思う。真空管やエーテルや太陽系内の生物という古典世界に耐えられない人はだめでも、かつてドクの世界にはまっていたがいつのまにか本がなくなってしまった方。買いですよ。




火星縦断 (ハヤカワ文庫SF)
販売元: 早川書房

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久し振りのオーソドックスなSFです。
タイトルの通り、火星探検隊が火星を縦断するストーリーです。
火星の物語というと、近年では、「火星転移」や、「レッド・マーズ」を思い出します。
2000年に献辞された本書は、さらにアップデートされた、火星の情報で記述されています。
なぜなら、ジェフリー・A.ランディス氏が、マーズ・パス・ファインダーの設計者の一人である、現役のNASAの科学者だったりするからです。
確かに、火星の砂嵐の描写は、前述の2冊と様変わりしています。
火星の探検方法も、突飛なものでなく、科学的に裏打ちされているものです。
本書は、雄大な火星の自然と闘いながら、火星の縦断を行う旅の中で、隊員それぞれの過去が明らかになる形でストーリーが展開します。このフォーマットは、「ハイペリオン」を彷彿させます。
もっとも、NASAの隊員なので、「ハイペリオン」の巡礼者のような驚きはありませんが。
本書は、科学的なギミックに富み、最新の知識で裏打ちされた、正しい火星探検物です。
たまには、こんなストレートなSFも良いものです。





火星ダーク・バラード
販売元: 角川春樹事務所

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ものすごくスピーディーで一気に読めてしまいました。本当に時間がたつのを忘れてしまいました。
火星を舞台にした映画「トータル・リコール」(ディックの原作とは切り離して考えています)は奇想天外な作品でしたが、この小説は映画「トータル・リコール」の痛快さとスピーディーな展開にしっかりと科学考証がされたような快作です。文章も読みやすくて本当に面白かったです。


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