気に入った小説を読むと、作家についてもっと知りたくなるのと同じことだと思うのだが、そうした情報はこれまでほとんどなかった。「フラーニャと私」の中で、初めて彼自身によって、彼の実像が 多少はあかされたのではあるが。この小型漫画本を読んで、彼の人となり、スタジオの雰囲気がおぼろげながらわかったような気がする。
ノルシュテインに、モーツアルトばりの即興、湧き出るアイデアといわしめた作者で、彼の弟子である、ターニャの人柄も想像できそうなほのぼのとしたタッチだ。日本人には全く違和感なくわかる。
ロシア人の感性は、意外に日本人の感性と近そうだ。新訳チェブラーシュカの美しい挿絵は彼女の手によるものだ。
作者は確か今冬来日したので、次は「ノルシュテインとの日本珍道中」ができるのではなかろうか?
日本語に加え、英語、ロシア語まで入っているのは、本格的海外輸出の為だろうか?決して目障りにはならないが、大変な手間のかけかたにびっくりした。そういえば台湾の書店では、日本語雑誌がそのまま売られていたりする。本書が海外の書店にならぶことを想像するのも愉快だ。大手銀行を始めとして、日の丸を背負って偉そうにしていた大企業が続々沈没してゆく中、せめて自主独立のアニメくらいはがんばって欲しいものである。
物事を極めに極めて歳を重ねていった人の表情は本当に、それだけで感動してしまいます。
齢40にして悟りきった夏目漱石しかり、数十年を畑に投入した人しかり。山崎努はその中でも特一級の部類に入る
表情の持ち主だと思います。本当にかっこいい。
この本は、もはや前世紀の話、山崎努60歳、新国立劇場での『リア王』の役作りから稽古、公演の日々を綴った
凄絶な日記です。
山崎努は感情豊かです。完璧を追求し、追求し、追求し、生活をリアに費やし、そうした凄絶かつ地道な役作りの中に
見せる人間くさい感情、これも素晴らしく、おもしろい。リア王の解釈も読み進めるたびどんどん深くなっていき、
これほどまでなのか、とびっくりしてしまう。山崎努の考える過程が一つ一つ丁寧に示されていておもしろい。
本当に物語というものは何度も読まねばならない。
かなり厚めの本なのだが、あまりにおもしろいので2日間で一気に読んでしまいました。
これだけ一人ひとりの俳優さんたちのホンモノの追究の結果に生まれた『リア王』の世界、見なかったことを本当に
後悔してしまいました。
また、この本の数年の過程の中で多くの役者さん、監督さんなどが亡くなっていったことが触れられていて、
改めて素晴らしい方々を失ったのだ、と思いました。
山崎努さんにはまだまだ多くの演技を見せていただきたいと思います。
多くのことを学ばせていただきました。本当に興奮してしまいました。この本はほんとうに素晴らしいです。
乱文失礼いたしました。