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和書 508066 (77)



古代ギリシアの旅―創造の源をたずねて (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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何と言っても本書の最大の長所は、古典ギリシア語の母音の長短を明示しようと著者が努力している点でありましょう。近年とかくギリシア・ローマ史を専攻する学者も、ギリシア・ラテン語・文学などを専門とする西洋古典学者も、おろそかにして省略に付したがるというのに、煩瑣な労も厭わず固有名詞の表記をエラスムス式アッティケーの発音に近付けて記して居られるところは、全くもって感心の至りでございます。もちろん“NO BOOK IS PERFECT”なのは余儀なき次第ではありますが...。それにしても「ロドス島」を「ロードス島」とか、「トガ」を「トーガ」などと誤記して恥じない日本人が多いなかで、きちんとした古代ギリシア語の母音の長短を記そうと努力されている姿勢には好感をいだかざるを得ません。それだけで十分に5ツ星の資格あり、と申せましょう。




古代中国の文明観―儒家・墨家・道家の論争 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 書物の出版、執筆の動機が「あとがき」で次のように示されている。
 
 環境科学研究科に所属したのを契機に、これまでの思想史的手法から少し離れた立場で、古代中国文明について考えてみようと思い立ち、本書を執筆した。
 
 いわゆる「儒教思想」「老荘思想」と言われてきた思想・文化に属する精神面とは「ベクトルが逆」の(物質)文明の面から、これら在来の儒家・墨家・道家の文明観の位相差を論じることになる。簡単に言えば、儒家は「文明の全面肯定」、墨家は「節約型文明」、道家は「文明批判」である。本書の中軸をなす第3・4・5章に詳述されているのでそれらを読み取ればいいわけであるが、次のように要約できるだろう。
 儒家の立場は、あくまでも文明の高度な発展を全面的に肯定・是認する楽観主義である。
 墨家の立場は、文明社会を維持していく立場から、実用性に徹する節約主義である。  
 道家の立場は、文明に絶対の価値を認めず、一切を相対化する文明批判主義である。

 これら古代中国の文明観が、環境問題をかかえる現代に語りかける意味は大きい。著者はそのことを心に本書を執筆した。しかし、西欧近代文明の歪みから発した自然破壊・環境問題の視点で捉えて捉えきれない齟齬がありそうだ。新観点からの提言とみよう。まだまだ述べ尽くされていないところを発展・深化させるのは、これからの我々であるという思いしきりである。




古代ローマ帝国―その支配の実像 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 かなり無理をされています。タイトルからしてその苦しさを表しているかのようです。本書はシチリア総督ウェレスへのキケロによる弾劾演説を元にして、ローマによる属州支配の実像を描き出そうというのが主眼ですので「古代ローマ帝国」という題はかなり誤解を招いてしまうのではないかと思います。大体ローマ帝国というのに元首政期にすら入っていない時期について語られるのですから。ですが、内容をよく読んでいると、このタイトルが必ずしも的外れでないことが分かって来るのですが。本書の苦しさの一番の原因は、著者が平易な文章で、しかも概念から根本的に異なる古代ローマの実情を能う限り正確に記そうとされている事にあり、その努力が返って記述を複雑にして分かり難くしている所に在る様に感じました。例えば、シチリアにはそれぞれ違う権利を持った、色々な都市がローマ支配化で独立して存在していたと言われても、それだけでは混乱を誘うだけです。僅か二百ページそこそこで、価値観の根本から違う政治、法制、外交などの解説をしようというのはかなりの難事。古代ローマ史の入門書としては、たとえ数千ページあろうとも塩野七生氏の著書のほうがよく理解でき、私としてはそちらの方がお勧めです。
 むしろ本書は、ローマ史の基礎知識のある方にはとても興味深く読めるものになっているのではないかと思います。裁判方法の細かい説明、徴税方法の詳しい解説、そして本書の中心課題、属州統治のやり方など、入門から応用への橋渡しをしてくれるものとして絶好のものです。初めてローマと接する人には疑問を倍加させるであろう平易な文章も、この点から見ればありがたい。今までの知識を反芻しながら事例の細部についての知識を得ることが出来るので、その人のローマ理解はかなり深まることでしょう。各所に著者の心使いを感じ、質としてはとても良い物であります。




古都発掘―藤原京と平城京 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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西園寺公望―最後の元老 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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西園寺公望については、6巻にわたる大部な『西園寺公望伝』を立命館大学が出している。本書は、その編集委員長であった著者の手になるコンパクトな評伝である。西園寺は立命館の学祖ではあるが、直接的な創設者ではないので、この本にも顕彰色はあまりなく、意外なほど突き放した見方で締めくくられる。

西園寺公望は「最後の元老」として有名だが、どのような経歴と見解を持っていたかはあまり知られていないように思う。西園寺の目線から日本近代史を眺めると何が見えてくるか。薄い新書ながら、読者の歴史観に厚みをもたらしてくれる一冊である。




三国志の風景―写真紀行 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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主に写真を中心としていますが、
三国時代に栄えていた都市や、戦場と
なった土地に、今住んでいる人の表情や
生活を撮っている感じになっています☆
今と昔を比べるためには良いかも知れま
せんがその土地の写真が見たい人にはお
すすめしません。




思想検事 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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この本を要約すれば、思想の取り締まりという問題において従来、特高警察に比べてあまり注目されていなかった思想検事というポストに光を当て、治安維持法から破壊活動防止法に至る思想検察から公安検察への歴史的流れを実証的に追ったもの、とでもなろうか。文献資料を駆使して丁寧にまとめ上げられた研究である。

特高警察に比べて頭数的にははるかに少ない思想検察は、にもかかわらず治安維持法以前から無視できない影響力を行使し、様々な社会運動―社会主義・共産主義運動にとどまらず、宗教活動や学問言論に至るまで―への抑圧において主導権を握っていた。そうした「思想戦」「思想国防」のための検察サイドの体制整備過程が堅実に描き出されている。

もちろん、この本の意義はそれだけにとどまらない。当事者の言葉をふんだんに引きつつ、「思想を取り締まる」という使命を忠実に果たそうとする人間が、どのような心情と論理をもって職務に邁進したのか、そうした点が鮮やかに再現されているのも興味深い。特高警察に比べて敗戦に伴う公職追放の影響を小規模にとどめた思想検察人脈が戦後の公安体制に流れ込み、そうした人々が自省なきままに戦前と同じ言動を繰り返し、公安検察の整備に邁進していたという指摘は重い。

戦前と戦後の断絶と継承という問題を考えるに当たって、得るところのすこぶる多い一冊である。




上海1930年 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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実弟の手による尾崎秀美の一種の評伝である。
中でも尾崎秀美が上海に在った1930年前後を中心に編まれている。

1930年と云えば資本主義の華咲くオールド上海のイメージが強い。
しかし尾崎秀美の視点から語られるそれは
列強と浙江財閥に妥協した南京国民政府の弾圧下にある上海だ。

コミュニスト・左翼から見た場合、オールド上海の姿が
かくも変わるものかと感嘆させられる。





小国主義―日本の近代を読みなおす (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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米欧回覧実記での見聞をもとに、
戦前の日本人が欧米の小国を
どのように見て、
大国をどのようにみたかを
主に論じている。

石橋湛山については、
他著からの引用が目立ち、
著者自身の評価・検討は
語られない。

やや著者の思い入れに偏りあり。
勘弁してほしい。




正倉院 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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木簡学に造詣の深い著者が独自の立場で正倉院宝物のことを述べた本であり、正倉院宝物の概論的な解説書ではありません。
宝物は日本製か中国製か新羅製、かという問題。日本までの輸送ルートの問題が多く論じられています。南海ルート、中継貿易としての新羅ルート、渤海ルートの重要性が強調されています。


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