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和書 508082 (153)



孤独な散歩者の夢想 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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ルソーを晩年狂人であった、とする者は多い。ジイドは良き彼の理解者であったものの、ヒューム等の諸友を失い、また、ボルテールをして“狂犬病にかかったデイオゼネスの犬”といわせしめた。ビュリンチエールは“告白録、対話録、夢想これらは狂人の書”と、ピエール・ラセールにあっては“彼を理解する頭をもちあわせてはいない”と述べたという。一方、ゲーテは言った、“君自身に戻りたまえ。そうすれば君はそこに、高貴な精神の持ち主なら、その存在を疑い得ない中心点を見いだすだろう” (同名著:福島瑞穂訳より)。私が最初に本書を手に取ったのは、研究者への一歩を踏み出しはじめた三十歳前であった。その時分は、同著に“一見”観覧さる彼の異様な自己執着に嫌悪を催し、中途で投げ出した記憶がある。私も当初、彼を“狂人”とみなしたのだ。それより十年ほどが経過し、本年四十歳を迎えた私は、本著に“何か置き忘れたもの”を直覚したのであろう、今一度同著を紐解いてみたのである。結果、私は“かつて置き忘れたもの”、すなわち、古今東西の哲人・賢人が喝破してきた“真理”への道程を、私はそこに読み取ることができたのであった。私はルソーが述べようとした“本質”を、三十前後の未熟な感性では読み取ることができなかった不明を恥じつつも、一方では、不惑にしてそれを拝受できる受容体が自身に発現していた喜びに大いに感じいったのであった。考えてもみよ。エミールなどの不滅の名著を記した偉者が、いわゆる巷間でいう“狂人”であろうはずがないではないか。ルソーは人間を真に愛するがゆえに、“俗人”が蔓延る俗世を離れ、孤独に回帰、そして自己沈潜したのである。これは釈尊、トルストイやヘッセにも通じる真理への道筋なのであり、エマソンを経たのち、そしてソローへと継承されるのである。この魂の書を後世に遺したジャン・ジャックという人間が心から好きになった。




古琉球 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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伊波普猷とは、沖縄学の創始者である。伊波は沖縄の文学や歴史、民俗を研究した人である。伊波の研究で、最も意義のあったものと言えば、やはり「おもろさうし」であろう。「おもろさうし」は、沖縄最古の文献の事で、沖縄の古謡が多く収められているものです。民俗学界の巨人、柳田國男や折口信夫も彼から多大な影響を受けた。古琉球の文化とは、すなわち日本文化の原点であるといえるでしょう。




四季をめぐる51のプロポ (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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思想と動くもの (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 訳者である河野与一はベルクソンの述べていることを哲学の初学者が鵜呑みにするのは危険だと言った。しかし、構造主義、ポスト構造主義後の思想的不作時期からみれば、ベルクソンの思想は至極まっとうであるように見える。その自由論にしてもサルトルらの政治的な観点からのものに解消されてしまったようにみえるが、ベルクソンのほうが透明性が高くて、時代を超えていそうな気がする。

 ベルクソンにとって哲学とは対象との知的な共感によって、その持続を認識することであった。直観によって、対象の生命を一挙に把握するものである。この本はそういうベルクソンの独創的な思想をわかりやすく説いた諸編で構成されている。中では「哲学入門」が秀逸だが、二つの緒論やラヴェソン論なども良い。河野与一の訳も全然古びていないのは驚くほどである。




市民の国について (上) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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ヒュームの政治・経済に関するエッセイを集めた本。
上巻が政治、下巻が経済となっている。

上巻には、有名な原始契約批判が入っている。
ヒュームの主張は、
・過去に政府が擁立されるときは、いつも契約ではなくて暴力によって出来ていた。
・遠く昔に契約があったとして、それは現在に何の意味も成さない
・政府を支えているのは、そして政府に従うべきなのは、原始契約があるからではなくて、現在の私たちに社会の維持が必要であり、政府に従うしか社会を維持できないから。

学校の社会科や倫理ではヒュームの名はあまり目にしないが、社会契約を扱うならヒュームも忘れずに扱っておきたいと思う。


最後に、目次を載せておく

上巻
勢力均衡について
法慣習三題
古代人口論
原始契約について
絶対服従について
党派の歩みよりについて
王位継承について
理想共和国についての一案
政治を科学に高めるために
政府の第一原理について
政治的社会について


下巻
商業について
技芸の洗練と進歩について
貨幣について
利子について
貿易収支について
貿易をめぐる猜疑心について
租税について
公信用について
(追補)
政治的支配の起源について
議会の独立について
党派論
グレート・ブリテンの党派について
市民的自由について
言論・印刷・出版の自由について
芸術および学問の生成と進展について




市民の国について (下) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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省察と箴言 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 ドイツを代表する教理史家ハルナックによるアウグスティヌスの選集。
 テーマごとにアウグスティヌスの言葉がまとめられており、アウグスティヌス思想・哲学の概観をつかむのに便利です。
 アウグスティヌス入門書・復習書としてアウグスティヌスの著作を読む前に、あるいは読んだ後に目を通してください。




職業としての政治 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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「正当な暴力の独占主体」としての国家、とのあまりに有名な定義が披露される講演記録。

 しかし、当のヴェーバーはそうした定義もそこそこに、各々の政体の、各々の時代における
種々の「職業」のありようへとその議論を移していく。
 それらを極めて丹念に吟味したその後に、テーマは再び政治家たる者の資質の問題、暴力の
問題へと帰着する。
「心情倫理」と「責任倫理」の耐え難き分裂、しかし、そこで立ち尽くすものに政治家たる
資質などあろうはずもない。
 成熟の末、双方を併せ持ち、あまりに悲惨な状況を前にして、「それでもなおdennoch」、
この世界に情熱と判断力をもって立ち向かうもののみが「天職 Beruf」として、政治へと挑み
得る、この社会学者は聴衆を前にそう断言する。

 第一次世界大戦直後のドイツにおいて放たれたこれらヴェーバーのことばは、単にその
時代において解釈されるべきものではない。暴力の問題、責任の問題はすなわち人類史に
他ならない。ゆえにこそ、彼の熱き意志は今なお、深き洞察を有する生きたことばとして
語り継がれる価値を持つ。




新編 学問の曲り角 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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哲学史家でも読書人でも教師でも翻訳家でも、肩書きは、まあどうでもいいでしょう。希代の知識人というにふさわしい河野与一が1896年生まれだと思うと、同年だった林達夫のことが思い出されます。いかにも処世術にたけ、レトリカルに自分の地位を築く方策を心得ていた林にくらべ、河野の天真爛漫な人柄とすさまじいばかりの実力が、この雑簒にはみちみちている。いくつもの言語を読み、みずからを鍛えつづけた人物ですが、やはり異彩を放つのはギリシャ、ラテン哲学関係のエッセーです。本書でいえば「ローマの響宴」が白眉。おもしろい。他は、世代的というか、むかしの「帝大教授」たちの内輪話的部分は非常に鼻につきますが、それもまた日本近代思想史の一部と見ればめくじらをたてることもないのかもしれません。好きな本を真剣に好きなように読み幸福に生きた。それだけで、それ以上を求めるのは、後世のわがままだと思い定めれば、それでいいのでしょう。つまらない文章もいくつもありますが、たとえば「ベルクソンの洗礼」などはわずか3ページの何気ない文なれど、非常に本質的な問題にふれていると思います。「正誤表の話」も興味深かった。そしてすべての外国語読みが心すべき、「翻訳と字引」。プルタルコスやモンテーニュをただちに読みたくなるのが、大きな歓迎すべき副作用でした。




新編美の法門 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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浄土思想と美と民芸の癒合をはかり、民芸の価値復興をはかったのが柳宗悦の功績の大きなものの一つである。その柳の根にある思想がわかりやすく説明されている。「美醜」の区別をしようとする判断そのものが「美」の妨げであり、そのような判断を越え、全てに仏の美を読み取り感受することこそが本当の美の世界を築きあげる。日本人にとっては彼の展開する「無」の思想はそれほど違和感なく了解できるのではないだろうか。記述もわかりやすくすっとのみこむことができる。しかし我々はそこにとどまらず、柳の到達点を正確に評価し、なおかつ批判的にのりこえる方向を探求する必要がある気がしてならない。


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