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和書 508082 (304)



現象学の視線―分散する理性 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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現象学の思想 (ちくま学芸文庫)
販売元: 筑摩書房

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ハイデガー研究者として名高い木田元氏の論文集である。氏には著作も多いが、この本は比較的入手しにくい論文ばかりを集めている。むかし読んだものも含めてあらためて読み直してみると、氏の学識には驚かされる。専門化が進んだいまの研究ではなかなかそうはいかないのだが、氏の論文は、個々の思想家の思想の紹介・研究に終わらず、その思想の背景を、他の思想家からの影響、そしてその超克までをも射程におさめて論じている。それゆえ、他との比較の上で、中心的に論じられている思想の特徴がより明確に浮き上がるようになっている。本書では、①「現象学」という思想運動の成立と特徴、②フッサールとハイデガーとの関係、③メルロ=ポンティの思想紹介が主になされている。

おさめられた論文のなかで一番新しいものでも1980年に書かれたものではあるが、いまだ古さをさほど感じさせないのも驚きである。いかに氏の研究がしっかりしたものであるかを物語っていると言えよう。また、どれも、よくこなれているので、おもしろく読めるであろう――そう、氏の論文は、論文であるにもかかわらず、いつもおもしろいのである。論文集ではあるものの、哲学を専攻とすることのないわれわれでも、気軽に読めるのではなかろうか。




現象学は思考の原理である
販売元: 筑摩書房

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「現象学?何それ?」という人もおそらく読み進めることができる内容だと思う。
そもそも私自身も、現象学について初めて手に取ったのがこの本だ。

ヨーロッパ哲学史において真理とは、キリスト教のカトリック/プロテスタントに始まり、唯物論/観念論、
資本主義/社会主義など、「俺が絶対的に正しくて相手が間違っている!」と自分の主張の普遍性を信じて
疑わない者同士による信念対立の連続だった。筆者によると、それらの対立が繰り返されたとしても、結局
根本的には真理にはたどり着けない。しかし、だからといってポストモダニズムや相対主義に逃げ込み、
反=体制的な思想を標榜するというのも後ろ向きな姿勢であるし、既存の思想を乗り越える新しい力には
なりがたい。

では、筆者が「思考の原理」と呼ぶ「現象学」はそれをどうか解決するか。
フッサール現象学のキーワード「還元」とは、そのような不可避的に多数存在する世界観や真理についての
信念を絶対視する前提を一端「停止」し、個々の世界観が成立させている、知らず知らずのうちに共有して
いた条件を探求する方法なのである。絶対的な真理や普遍的な信念、というものを想定して探求するのでは
なく、まず個々の差異を容認して、その中でもそれぞれが納得できる「共通ルール」を探すということである。
その意味でこの現象学的「還元」は、本書で筆者が論じているとおり現象学者ではないけれど哲学者ハー
バマスの「コミュニケーション理性」(要するにみんなで話し合って、みんなにとっての真理を見つけようとする理性)
の概念と似ている。

これだけみると、現象学という哲学は、「みんなケンカしないで、話し合おうよ!」という成績優秀な学級委員
のような学問に見えてくる。結局そういっている本人がいいとこ持って行くという雰囲気がどうも私に学生時代
の記憶をよみがえらせる(そもそもそんな現象学を思考の「原理」と呼ぶのはどうかとは思う。原理主義って
言葉、近頃はやばい雰囲気が漂っているし・・・)。

また筆者によると、現象学的に考えればウィトゲンシュタインが提起したことで始まる「言語の謎」も謎ではなくなる。
筆者は、「言語の謎」が生まれるのは言語を一般言語表象としてとらえているからだという。例えば「すべてのクレタ
島人は嘘つきである、と一人のクレタ島人が言った」という有名なパラドクス(クレタ島人がみな嘘つきなら話している
当のクレタ島人も嘘つきになるが、そうするとすべてのクレタ島人が嘘つきであるという彼の言明も嘘ということになる)。
これも既存の言語学者は一般的な記号として言語をとらえているから引きおこされる問題であり、現象学的に言えば
考える価値のない問題なのだそうだ。

なぜそうなるのか。現象学によれば、我々は言語によってコミュニケーションを取り交わす時言葉には、もともと
込められた意味(=一般意味)以外に、話し手自身がその言葉に込めた意味(=企投的意味)が乗っかっているの
である。だから、もし「すべてのクレタ島人は嘘つきである、と一人のクレタ島人が言った」という状況があった
としても、それを読むためには一般意味以外にも、前後の文脈や相手の表情によって伝えられている企投的意味も
読み込んでいるはずである。

これらのことをまとめると、現象学から見れば「言語の謎」は、極端な話「そんなの屁理屈だし、考える価値ない
よ」と言われているようなもんである。でも本当にそんな結論を出していいんだろか・・・。

現象学について、私はこの本である程度は理解できた(つもりでいる)。
でも、だからといってこれから現象学だけを頼っていこう、とは思わないが。





源氏物語 数秘学うらなひ (小学館文庫)
販売元: 小学館

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幻獣の話 (講談社現代新書)
販売元: 講談社

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幻想の未来―唯幻論序説 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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動物にはなく人間だけにある自我というものを根源的に探求し、人間存在の謎を分かりやすく解き明かした快著である。岸田秀はたくさんの本や翻訳書を出しているが、その中でもっとも優れていて、もっとも充実している。何度読んでも、どこから読んでも面白く、新しい発見がある。しかしこの岸田理論が多くの人に理解されるにはまだ時間がかかるかも知れない。分かりやすい文章とその内容を理解する事とは別な事なのだ。私自身、最初読んだ時は、部分的にしか分からなかった。岸田の別の本「日本がアメリカを赦す日」は英訳されたようだが、この本こそ各国語に翻訳して、世界中の人々に読んでもらいたいと思う。




性役割の心理 (現代心理学ブックス 74)
販売元: 大日本図書

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犯罪の心理 (現代心理学ブックス)
販売元: 大日本図書

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現代アラブの社会思想―終末論とイスラーム主義 (講談社現代新書)
販売元: 講談社

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アラブの文献を丹念に読み解き、その民衆の思想、現在の思想を浮き彫りにした、俊英の労作。
今アラブでどのような本が読まれているのか、そしてどのような本が読まれないのか。反ユダヤの
原因はどこにあるのかを論理的に記述していく。英語の文献だけでアラブを語る論者が多い昨今、
イスラームを理解するのに必読書と言えよう。




現代を生きる哲学〈上〉 (塙新書)
販売元: 塙書房

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