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和書 529056 (140)



特命全権大使米欧回覧実記 (4) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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ヨーロッパ編中巻。ロシア、デンマーク、スウェーデン、ドイツ(再訪)、イタリア、オーストリアを巡る。

この旅では、まず、ロシアの皇帝をはじめとした貴族と国民大衆との貧富の差の凄まじさに注目する。それはヨーロッパのどこよりも上は高く下は低く、その差は耐え難い程との印象を記している。それから半世紀もたたずにロシア革命が起こるのだが、その背景を正確に読みとっている。イタリアでは、文明の栄枯盛衰を目の当たりにする。

前巻のベルギーやオランダを含めた小国を他の大国と比較考察し、小国の生きる道が自主の精神と営業力にある、と結論している。その考察を読むと、明治以後のわが国の歴史を想い、具体的にはともかくも、使節団がその進む方向をしっかりと予測していたと思わずにいられない。

岩倉使節団または久米邦武の鋭い洞察力に驚くとともに、現在も、各級議会の議員さんなどが外国視察に行かれるが、この本をその際の必読書に推薦したら、とふと思った。




特命全権大使米欧回覧実記 (5) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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最終巻では、ウィーン万国博からスイスを回覧、帰国命令を受けてマルセーユを発ち海路横浜に帰るまで。ヨーロッパを発つ前には、「総論」と称して全回覧の総括を地理、政治、経済につき展開する。

まず、万国博をつぶさに見て各国比較文明論を展開する。スイスでは、学校教育、農業や時計製造に見られる工業など、国民の自主を育てる国策に感嘆するとともに、その景観が何よりも何処よりも素晴らしいと驚きの声を連発している。その驚きは、現代の我々に比べ、触れるに新鮮なだけ何層倍だっただろうことが伝わってくる。

スエズでは運河開削のレセップスの苦労話なども織り交ぜて、途次立ち寄ったセイロン、サイゴン、上海等のアジア各地の見聞を記録する。その中で、アジア人民をしばしばあたかも野蛮人と描いているのは、多分、自分の目で見ずに伝聞を記しているためではないか、と思われる。自分の目で見た自然環境については、その豊穣さを高く評価し「極楽界ト覚フカコトシ」と記すが、同時に人民を「怠惰」とも観察し、実態をリアルに観て判断を下している。

使節団、とりわけ久米のリアリズムと、そこに流れる潮流を読みとる透徹した考察力のすごさは全巻を通じ強く印象に残り、現代人にとっても刺激的な書物である。

他方で、久米は「総論」などで、特に近代において、自然環境が厳しく、衣食住生産力が必ずしも高くない米欧が、「欲深キ・・・人種風俗の習慣」を以てハングリー精神をバネに競争琢磨をくり返し、高い文明を築いてきた、との考察をくり返す。それは、それ以後の「脱亜入欧」を成し遂げアジアを侵襲する道を選ぶ近代日本指導層の代表的世界観につながる危うさを感じさせる。久米のリアリズムに接して、少なくとも、核兵器や地球環境問題をかかえてEUなどが協働の輪を拡げようとしている現代において違った読み方、結論の導出も可能と思うのだが・・・。読書子の評や如何?




ドイツ・イデオロギー 新編輯版 岩波文庫
販売元: 岩波書店

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もともとマルクス・エンゲルスの生前には刊行されず、二人の死後、草稿・原稿の
集積であったものを編集刊行したわけですが、問題はこれらの草稿をどのような形
で出版するかということで、編集者それぞれの意図によってそれぞれ違う「ドイ
ツ・イデオロギー」が出版されるわけです。
この本はマルクスを
・マルクス主義の経典としてではなく古典的遺産として
・マルクスを完成されたドグマとしてではなく未完の体系として
捉えようとする「一つの試みの書」として高く評価することができます。
ちなみに、そういった姿勢をとる訳者達にとって、整合性の取れたものとなるよう
に不完全・余計なものを省き、あれこれ「恣意的」な編集を行った旧訳のアドラツ
キー版は偽書とさえ断じています。
また、補訳者の言葉によると、河出書房版をベースに文庫化したものだが、単なる
文庫化ではなくその後の研究成果も反映されているとのことです。

この本に対しては復元の仕方に批判があるようで、無論、この本が無謬だとか決定
本とか言うつもりもないですし、読みづらいのは確かですど、過去のマルクス読解
の教条性、硬直性の歴史を鑑みると、これを文庫にしたということ自体結構すごい
ことかと。
ちなみに1994年4月に出版が正式決定、そして8月に訳者の廣松氏死去。合掌。




道徳感情論〈上〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 同感/共感sympathyとはなんぞや。
 私がもしAさんの境遇にあったと想像してみたときに、そのAさんと私が全く同じように
感じるか、否か、まさに共感できるか、できないか、に従って測られるべきものなのか。
 アダム・スミスの用語法に従えば、それは半分正しく、半分間違えている。すなわち、
公正な観察者の視点から見て、その状況にあったときに、いかなる感情が引き出される
だろうか、との思考に基づいて導き出されるべきものがスミスの「共感」なのだから。
 この発想、ルソーの一般意志・全体意志の議論と比較して読んでみると面白いかも
しれない。挑戦なさりたい方はぜひ。

 そう、端的な例を語ろう。電車の中で財布を盗まれ苛立ったAさんがその盗人の死刑を
求め、私もまた想像の上において同様の怒りを抱いたとして、私とAさんの間に果たして
共感はあるといえるのだろうか。
 一般の用語法に従えばある。けれども、スミスに言わせればたぶんない。いくらなんでも
フツーに考えてやりすぎだ。そんな「フツー」について語った一冊がこの『道徳感情論』。

 翻訳についてはややもすると硬すぎるような気もする。幸い、スミスの英語は比較的読み
易いものなので、原点に直接当たるのもひとつの手かもしれない。

 スミスといえばなんといっても、『国富論』の書き手として知られる人。ところで、その
中に登場するあの「神の見えざる手」とて、この「共感」を知らずしては理解できまい。
 そんな点から見ても必読の一冊。




道徳感情論〈下〉 岩波文庫 白 105-7
販売元: 岩波書店

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何を言っているのかさっぱり。学術的に究めるには、これがいいんでしょうか??
後で、未来社から出ている『道徳情操論』を見つけました。こちらの方が一般人には格段に理解しやすいのではないかと思います・・・。




内地雑居後之日本―他一篇 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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中江兆民評論集 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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人間不平等起原論 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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この書は、「社会契約論」より早い時期に書かれています。そういう意味で「社会契約論」に通じるルソーの哲学の通過点として、「社会契約論」より先に読む価値はあると思います。また読者は本書を学問的に、そして歴史的価値として精読するべきというよりか、それを通り越して、率直に読み物として力をぬいて楽しめるのではないかと思います。

本書は、人間はいかに原始状態で、つまり自然状態において自由で平等であったのか、そしてそこから人間や文化の進歩にしたがって、どのように私有財産や法律などの概念を生み、不平等化による奴隷などの弊害をつくりながら国家を創出するにいたったのかの過程を論じています。その中でルソーは、理性、感情、欲求、自尊心といった人間の性質から、動物、農業、食事、病気、健康、恋愛、アフリカの未開人の生活様式、家族、教育といったものまで、様々な具体例をとりあげつつそれらを組み合わせて人間について熱く述べており、タイトルは堅苦しいですが、ルソー版人類学の側面としておおいに注目できます。個人的には、後半の政治や社会制度の進化と成立の過程論以上に、多くを占めるそういった人類学的な論述の方が興味深くて種々の発見と共に楽しく読めました。少し長いですが原注も必読です。
最後に、もちろん「社会契約論」とセットでお勧めします。






被差別部落一千年史 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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手にとって開き、文字に目を落とすと、若く熱い血と涙が顔面にふりかかってくる。差別の根を見据え、平等の実現を願う思いは純粋で、胸に迫る。1924年出版で、2006年の現在から見れば学問的に間違っている記述もあるらしいが、本書の熱はいささかもおとろえていない。




文明論之概略 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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福沢の文明の定義はギゾーの文明論を下敷きにして成立している。文明は相対的であるが、それは野蛮あるいは非文明に対するものとして文明を考える点で構造的であると子安はいう。野蛮や非文明がなければ、文明もない。これがギゾーと共有する文明の定義である。また、家族は市民社会と対立し、家族は否定的前提として市民社会に対立する自然的結合体である。家族から国家へという人倫体の展開過程として捉えられる和辻倫理学とも違う。
文明は文明的な社会であり、国家である。それはつねに野蛮や未開、非文明と対置される文明である。ここで言われている非文明、反文明はなによりもまず東洋の文明である。西洋文明の成立は後進アジアとともにはじまる。だからその叙述も東洋をもってはじまる。その東洋とは、インドであり、中国であった。



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