イメージだけが脳裏を駆けめぐる。「サラリーマン」という職業なのか?
「サラリーマン」という生き方があるのか、ないのか。山で木を切る仕事とは何が違うのか?舟に乗って魚を獲る仕事とは違うのか?飛行機を操縦するのは?宅急便を届けるのは? あれも仕事、これも仕事。いずれも生きる糧。サラリーマンと企業戦士は違う?そういうことがさっぱり分かっていない私に、ほんの少しだけ「サラリーマン人生」を垣間見せてくれるのがこの本。
慶応大学Kゼミという出発点を同じくする35才から40才までのサラリーマン24人に淡々とインタビューをしていく。なお、そこからインタビュアーの表情はうかがうことはできない。
サラリーマン生活の中間地点に立った彼らの発話内容は悲喜交々。アブラのみなぎる額が臭ってきそうなオッサンから、スマートなジェントルマンまで十人十色。どの人生が一番幸福かなんて答えは出せないし、点数なんか付けられるわけがない。結局、読み終えても「サラリーマンって何?」の答えは見つからない。敢えて言うなら、サラリーマンという生き方からは土の匂いもしないし、潮風は頬をなでないということ。スポットライトもないし、太陽も照りつけないということ。エアコンから吹き出るヤニ臭い微風と電話の音、キーボードの音が聞こえてくる。そして待ちかまえる「老後」・・・・・。
それにしても「サラリーマンは~気楽な稼業ときたも~んだ♪」と歌ってたら、「24時間、戦えますかっ!」って鼓舞されて、最近じゃ「リストラ・失業・不況」の代名詞になってます。世の中全部背負い込んじゃってる感じです。サラリーマンって大変みたいです。日本で一番、この言葉が似合ってるお仕事なのかも。「ご苦労様です・・・」。