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和書 554314 (108)



大往生の島 (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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周防大島はこの世の楽園かに思われた。20年近く前、職場の友人の実家があったこの島に盆休みを利用して9連泊したことがある。夜が深い。主産品のミカン山と畑、蚊帳越しに縁側から見る夜の外は緑色の光が幾つか。狸の目だという。作物が喰われるとは聞かなかった。
日中は海遊び三昧だ。美しい海。地元の名人が首まで海に浸かり、手持ちの糸車を静かに引くようにチヌ(黒鯛)を釣るのだという。敏感なチヌは人の影が水面に映るだけで警戒して、まったく釣れなくなるという。素人は岩場から浮きやルアーで釣る。入れ食いだ。砂浜から針を落としてもコチがバンバン釣れる。

本書は周防大島の来歴と文化、そこに見るあらまほしき故郷の姿を捉えて余すところがない。
当時、2万人と言われた島民は、盆暮れに20万人となる。島から出て行った若者たちは、必ず帰ってくる。ブラジル移民が多く、人口比率では驚異的な移民率だったということである。
「旅する巨人」宮本常一は、この島を拠点に、全国を歩く(因みに、宮本の出身地は周防大島本島の東和町長崎であり、沖家室島ではない。評者はまさに東和町長崎に滞在した)。

ここに限界集落の負のイメージは乏しい。「若い者はドンドン外へ出て行け」という心性が根付いているとみえる。沖家室島では、戦後も早い時期からコーヒー、パンの朝食が当たり前と言う「ハイカラ」ぶりだったという。外部の文化を取り入れることに柔軟で、「外へ行け」というエートスが息づいていることがわかる。
しかも彼らは帰ってくる。そして様々な物を持ち帰る。しかし、生活スタイルは手放さない。海とミカンと太陽を目いっぱい浴びた野菜類である。夜は8時には眠る。4時ごろには目が覚める。温暖な気候、豊かな海山、米は乏しいが多彩な野菜類。

さて、あの滞在から20年が経とうとしている。周防大島はどうかわったのだろうか。佐野眞一には是非再訪してもらいたい。それは改めて限界集落の概念を問い直すものになるだろう。




大往生の島
販売元: 文藝春秋

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 この作品の舞台となっている日本一の高齢化率日本一の島(山口県周防大島・沖家室島)は、著者の敬愛する民俗学者宮本常一の生まれ故郷である。そして、描かれているのはこの島で暮らす老人達の生き生きとした姿である。
 著者はあとがきで、『…暗い予断を導き出すだけで終わる”高齢化社会論”を避け、…人びとの姿形と息づかいだけを書こうと心がけたのは、宮本の教えを忠実に守ろうと思ったからである』と記している。宮本の取材方法は、徹底的に「歩くこと」「見ること」「聞くこと」である。そういった意味では、この作品は成功している。
 著者はこの作品を現代版『忘れられた日本人(宮本常一の著作)』と位置づけたのだろうが、そのような作品になりきれていない部分もある。宮本にあって彼にないもの、いい意味での文体の軽さである。
 著者は高齢化社会論を避けたと述べているが、彼の文体は重めでありどうしても批評性が滲み出てしまうのである。私は彼のそういう文体が好きなのであるが、この作品ではそこがちょっとマイナスになっていると感じられた。
 しかし、問題を抱えながらも明るく生きる老人達の姿を描いた貴重な作品であり読む価値のある作品である。
 






洟をたらした神 (大活字本シリーズ)
販売元: 埼玉福祉会

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リターンマッチ (上) (大活字本シリーズ)
販売元: 埼玉福祉会

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リターンマッチ (下) (大活字本シリーズ)
販売元: 埼玉福祉会

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代議士の妻たち (文春文庫)
販売元: 文藝春秋

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代議士の妻たち
販売元: 文芸春秋

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大議論―政治的冒険のために
販売元: 朝日新聞

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大災害!
販売元: 岩波書店

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大丈夫。
販売元: 主婦の友社

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