個人的な聴き所は、もうダントツにディスク1~4のA面曲群。先ず1~2の「純情美少年路線」に着目すると「男の子女の子」「よろしく哀愁」は言うに及ばず、1-3、1-9、1-15、1-23、2-1、2-11、2-17、2-19、2-22といった重要曲が目白押し!特に「裸のビーナス」「悲しきメモリー」「お化けのロック」の軽やかさが大好きです。
ディスク3~4の充実振りには茫然自失!郷さんが少年から青年へと鮮やかに変貌を遂げた「禁猟区」を皮切りに、3-3、3-7、3-11、3-13、3-15、そして大傑作バラード「マイレディー」。さらに4面のA面曲に至っては、その全てが高レベルの完成度で身震いするほど。筒美京平との蜜月時代以上に、網倉一也・都倉俊一作の楽曲との相性の良さが際立ちすぎです。
「タブー」「若さのカタルシス」「未完成」、極めつけの二部作「哀愁ヒーロー」で中期の総決算を果たした後も、節目節目で5-1、5-9、5-15、8-1、8-3の様な重要曲を残していく飽くなき活力。我が国屈指のエンターティナーが歩んだ道程を俯瞰するに、これ以上のツールはありません。全曲の歌詞、LP・シングルジャケット写真を含めたブックレットも含め、大人買いする価値ありの本BOXセット。廃盤にならない内にゲットして下さい!
ベストはBMGジャパンを離れる時にも出している(The V.D.C.)ので、これが二枚目です。
とは言え、どのレコード会社所属時代の楽曲が多いと言う事も無く、各アルバムからバランスよく選曲されていますが、選ばれている楽曲自体は先に出たベストアルバムとは雰囲気が違い、バンド後期のような骨太かつシンプルな感じのロックで飾らないメッセージを乗せた楽曲が中心になっています。
『I Can See You.』のアコースティックバージョンと、カーテンコールのB面でアルバム未収録曲だった『Can I Fly?』のライブバージョンがボーナストラックとして収録されています。
バンド自体はもう一歩というところで大きなヒットに恵まれないまま解散してしまったのですが、このアルバムを聴くと、その高い演奏能力やボーカルの歌唱力、ストレートな楽曲の数々に良いバンドだったなぁと感じます。
バンドの方向性の変化の中で離れてしまったファンの方も、ぜひこのアルバムは手にしてほしいと思います。