主な理由は2つあります。
第1に、他のCDとのダブりがないこと。
他の軍歌CD集だと、その会社がばら売りしているCDに
収録されている音源が混ざっており、
手持ちのCDの音源とダブってしまう事が多々あります。
ところがこのCDの場合それがありません。
ビクターが戦前録音をばら売りCDとして売ってない為です。
その結果、収録されている音源も珍しいものが揃っており、損のしない内容となっています。
第2に、録音状態が凄く良い事。
このCDの音源は全て戦前録音ですが、あの戦前録音特有のノイズが殆どありません。
戦後録音並のクリアさは期待できませんが、
キングやコロムビアの戦前録音に比べれば格段に音質が高いといえます。
戦前の録音が、これだけの音質で聴けるのは貴重なことです。
ちなみにこの軍歌集には、東条英機朗読の「戦陣訓」や
乃木大将、東郷元帥の肉声も入っています。
乃木大将に関しては「私は乃木希典であります」だけですし、
東郷元帥もかなり老齢の頃の録音なのでイメージと違うかもしれませんが。
曲目をご覧になれば分かるとおり様々な部隊の公式歌があり、
歴史資料としても価値があります。
ただし戦後録音の割合が多いのに注意。
具体的に言えば、1,4,5,8,9,13,14,16が戦後録音。
要するに内部向けの歌ですから、戦前はコードに収録されなかったわけですね。
とはいえ、戦後録音も「男声合唱団」の録音ですから、
下手な編曲でイメージが崩れるという心配はありません。
特に「台湾軍の歌」はかなり優れた録音だといえます。
なお、17番以下は歌い手が軍楽隊ではなく、
当時の歌手(霧島昇、伊藤久男など)になっています。
支那事変に突入した為、軍楽隊が録音している場合じゃなくなったのでしょうか。
どちらにせよ、17以下は「軍歌」というよりも、「戦時歌謡」色が強くなっています。
さて、優秀な録音を挙げれば、
「陸軍行進曲」「大陸軍の歌」、先述の「台湾軍の歌」
「大東亜戦争陸軍の歌」「大東亜戦争海軍の歌」などでしょうか。
やはり時の試練を経てないだけ、
「明治・大正の軍歌」に比べて質は落ちます。
勿論、軍歌CDとしては優良な部類には入りますが。