当時、エリック・クラプトンらの勧めで移籍したばかりの
RSOから1976年にリリースした第2弾アルバムで、
結局、これが生前最後の作品となってしまいました。
全9曲中3曲はスタジオ録音、残りはすべてライヴ録音という
やや変則的な構成ではありましたが、如何にも当時の音楽シーンを
アルバムの中に封じ込めたような懐かしい感じのする作品で、
いま聴いても全然違和感はない(ちょっと嘘ですけど)ですね。
発売当時はかなり不評でまったく売れなかったそうでありますが(笑)。
スタジオ録音に関しては、あのマイク・ヴァーノンがプロデュースを
行なっているため、当時最先端だったブルース音楽を取り巻く空気が
そのまま録音に出ていると思います。これはある意味貴重な音源ですね。
アルバム全体としてはブルースよりも、当時のトレンドを意識した
ディスコ・ミュージック寄りといいましょうか、非常にファンキーな演奏
が中心になっているのは事実で、かつての熱いブルースを望んでいた
正当な「フレディ・キング」ファンから総スカンを食ってしまったのは
ある意味、仕方がなかったのかもしれませんね‥‥。
いずれにしてもこの作品を最後にフレディは他界してしまったわけです
から、なんともバツの悪い遺作になってしまったのは事実でしょう。
それが今までCD化されなかった最大の原因だと思えます。
しかし、今聴いてみますとそれほど不評を買う作品にも思えませんし、
たしかに習作の域を出ていない感じは受けますが、これをこのまま
煮詰めていけば、新たなる領域に突入する可能性は大きかったと思えます。
できればこの次の作品が聴いてみたかったというのが本音ですね。
故フレディ・キング自身もきっと心残りで亡くなったと思いますし、
彼の無念さが音の向こう側から聴こえてくるような気がしましたね。合掌。