楽曲は聴きやすいものばかりなので、ジャズはどうも、という人でもすんなり聴けると思う。
テイク・ファイヴは、16ビートアレンジで、デズモンドとはかなり異なった趣になっている。
グッド・キングは、ウキウキ感のある演奏。ソロは途中までコード・ソロで、これはアファメイションでも聴ける彼のすごいテクニックのひとつだ。タイミング命だが、文句なし。途中からシングルノートに切り替えてたたみかけるところが心地よい。
なんといってもうなってしまうのが、ボディ・トークのファンキーなワンコード・ソロで、これはもう聴いてもらうしかないが、彼のピッキングのわざは、世界最高ランクであろう。フラットワウンドのギターはハマリングなどのゴマカシがあまりきかない。すべてを確実にピッキングしているのだ。ただ速いだけでなくフレーズがうたっている。
親指と小指が長いのが、フレージングに貢献しているのかもしれない。
リメンバー・ウェスは、モンゴメリーに捧げた演奏で、見事なオクターブ奏法でテーマ部を弾く。ちゃんとベンソンらしく聴こえるところがおもしろい。
サマータイムは、コンサートテイクだが、彼のヴォーカルはさすがに圧巻。ギターとのユニゾンスキャットも見事。ベンソンのコンサートをみたことがある人なら、彼がマイクをくいっと自分のてもとに引き寄せるしぐさを想像してみていただきたい。客席も盛り上がっていて、演奏の上での見せ場になっている。このスキャット、1箇所間違えている。
フロム・ナウ・オンは、サマータイムの興奮を癒すような、ギターのみによる小品。ベンソンの人間性がよく出ているといえるだろう。
ベスト版といいながら、曲の流れも考えられているようで、ただの寄せ集めではない、おもしろい作品集といえそうだ。
超絶技巧でありながら、それが耳に付くことがない。
イージー・リスニングにするには正直もったいないが、心を静めたい人にも、もってこいであろう。