ファンクがその形を作っていく過程で、多大な貢献をしたグループの一つがこのバーケイズだと言われるが、60年代のソウル、そして彼らがその中にいた当時のメンフィス・ソウルとも違う、新しい感覚と構造の曲をこの中で聴くことができる。例えば⑨を、サム&デイブ版と聴き比べてみるとよく分かる。
とはいえ、洗練された都市のサウンドというわけではなく、リズムはソリッドなグルーヴを持つものの、泥臭く、荒削りな感触で、ホーン・セクションなどにはスタックスらしさが結構出ている。ジャケットにはすごいファッションのメンバーが映っているが、ビジュアルほどヒップでフリーキーなわけではないので注意。
ところで、①がその名の通り、アイザック・ヘイズの「シャフト(黒いジャガーのテーマ)」そっくりの曲で、疑問に思う人も多いと思う。彼らはヘイズの録音にも参加していたわけだし、同じレーベルだし、別にいいのだと言いたいところだが、もっとオリジナリティを期待していた人はがっかりするかもしれない。ブラック・ミュージックにはこんな商売っ気が付きものだと割り切ろう。(もっとも、彼らはこのあと本当に”コピーキャット”路線を突き進むことになる。・・・。)
名曲⑧の8分を超えるフル・バージョンが収録されるなど、価値は高い一枚なのだが、評価星4つなのは、収録時間40分強というのは、今日どうしても物足りないはずだと思うから。最近、同じものが、ビデオやバイオグラフィーなどをおまけに収録した、24ビット・リマスター版で出たらしいので、検索してみて下さい。
Spectrumレーベルらしいツボを押さえた編集で、代表曲がコンパクトにまとまってます。ただし欧州盤なので、US盤に比べるとマスタリングが甘め傾向。弟ルイスのチョッパー・ベースを堪能したい方には、少々低音がゆるいかもしれません(極端に音が悪いというわけではありませんが、Rhino編集盤など聞き慣れた方には甘く感じるでしょう)。お値段が安いので、お手軽に聴きたい方にはお薦め。アメリカ編集のベスト盤「Strawberry Letter 23 : The Best of the Brothers Johnson」も2003年に発売されています。