録音がよく、変な処理をしていないので、
アコースティック楽器(ポルトガルギター等)
の魅力も充分に聴ける。
最初の曲から、最後の「時の・・・」まで
どの曲も高い歌唱力を堪能できます。
さいごに「時の・・・」をもってくるあたりの
センスもいい。
流行の(?)ポップな感じのファドについていけない
かたには、とくにおすすめ。
ファドの起源は大航海時代にまでさかのぼる。
その起源としてはポルトガル原産であるという説や、
植民地ブラジルから逆輸入されたという説等、様々な説がある。
しかし、いわゆる現代のファドの形式に完成されたのは
19世紀といわれている。
ファドにおいては、ポルトガル語圏特有の情感
「サウダーデ(Saudade -ブラジルではサウダーヂ-)」が歌われる。
それは、他の言語への訳が存在しない特有の情感で
「かつて存在したが今は無いものを想う甘美な悲しみ」と例えられる。
痩せたポルトガルの土地柄から、
海へと乗り出す男達とその帰りを待つ女達
から生まれた情念と考えられている。
さてアマリア・ロドリゲス(1920-1999)であるが、
彼女こそファドの権化とでも言わんばかりの
ファドを代表する比類無き歌い手である。
貧しい家計の傍ら18歳で当時の一流クラブ、
ファドの家にてデビューし大反響を呼んだ。
彼女は最初から完成されたアーティストであり
その活動を通して歌唱法は一貫していた。
彼女の歌は、詞に込められた情感を表現するのに十分で、
ファドの伝統を継承し永遠のファド表現法を確立した。
とまで言われている。
ライブ音源を交えたベスト盤としてこれほど優れたものは
無いのではないだろうか。惜しむらくはCCCDであることだ。
しかし、PCでハードディスクから聴くことが出来るので
自身それほど不自由したと感じることは無い。
録音も悪くなくお薦めの作品である。