まず良い録音から見てみます。
戦前録音:「愛国機」「皇軍の歌」「起てよ一億」
戦後録音:「陸軍行進曲その1」「進軍」「関東軍軍歌」「独立守備隊」
戦前録音のこの3つは珍しい曲です。
特に「皇軍の歌」は、「大日本の歌」のような
壮麗な歌が好きな人にはお奨めと言えるでしょう。
戦後録音は、男声合唱団が歌うと大抵良い録音になります。
殊に「関東軍軍歌」はコロムビアにも戦後録音がありますが、
こちらの方が優れています。戦後録音軍歌全体の中でも白眉です。
これ以外にも「護れ大空」は良い録音です。
これは戦前録音も他にありますが、鈍重な曲でした。
こちらはかなり軽快な曲に仕上がっています。
これだけならいいんですが、残念ながらとんでもない録音があります。
「航空兵の歌」「砲兵の歌」「工兵の歌」「巡航節」の4つ。
珍しい曲ではありますが、元軍人の素人アカペラ合唱です。
資料として価値はあっても、音源としては問題外のもの。
何故このようなものが収録されているのかという経緯は、
「20世紀の音楽遺産 軍歌2」のレビューで書きましたので、
そちらを参照してください。
これ以外の曲は、他のキングの軍歌CDでよく見る音源です。
戦前録音を上げると、「ハワイ撃滅の歌」「大詔奉戴日の歌」の2つだけ。両方とも珍しい音源ですが、なかなかの仕上がりです。ちなみに「大詔奉戴日」は12月8日の開戦記念日のことで、この歌はそれを記念した歌です。
戦後録音はほとんどキングのCDでよくみかけるものなので、すでにCDをもっている方は重複に注意する必要があります。基本的に有名曲ばかりであり、それほど外した録音もないので先ず及第といったところ。珍しいものをあげれば、「戦陣訓の歌」と「アッツ島~」。共になかなかの名録音です。「大東亜戦争の歌」も、この録音はややマイナーかな。
結論。有名曲もおさえつつ、珍しいものも混ぜる。そして下手な録音を紛れ込ませず、優れた録音が多い、といった意味で優良な軍歌CDだといえると思います。手元のCDと音源にダブりがなければ星5つ。ここでは良く見かける音源が多いということで、星4つとしておきましょう。
1枚めはその最初期から、3枚めはジャンルとしての「演歌」が確立されて以降の分からの選曲ですが、ここではまさに高度経済成長期、まだ日本の流行音楽を「歌謡曲」と総称することが可能だった時期の楽曲が中心で、当時を知らない世代には、3枚中では最もとっつきやすいアルバムでしょう(ほとんどがヒットした音源のようですが、「東京五輪音頭」と、バタやんの「島育ち」だけが後年録音し直したもので、これは残念)。
歌謡曲のオムニバスにきわめてありがちなジャケットながら、とりわけ冒頭の「硝子のジョニー」、そしてラストの「バス・ストップ」、この2曲の!!名曲ぶりも手伝ってか、全体の満足度もかなり高かったです(個人的には「君は心の妻だから」の、なかにし礼氏による詞の世界にも注目したい。いろんな意味でかなり高度なテクが駆使されており、あなどれません)。
ちなみに手許の、このCDにあるタイトルはもうちょっと(というか、かなり)長くて、
「20世紀BEST スーパーコンピレーションフェア テイチク大ヒット歌謡曲 Vol.2」、
だそうですが。
・・・・・長すぎ!(笑)