まず、第一巻は世界名作劇場のラストを飾るにふさわしい作品だと思いました。
さだまさしさんの歌うオープニングとyoucaさん?の歌うエンディングは歌詞が素晴らしく、歌も上手で心を打たれます。
また、ヴィタリスさんの「前へすすめ」、「泣き虫レミ」という言葉が本当に温かくてなんだか励まされた気がします。
字を少しずつ覚え、ヴィタリスさんの物語に楽しむ話も本当に大好きです。「ナンとジョー先生」のナットが
ロビンソン=クルーソーで字を覚えていく話を思い出してしまいます。本当につらい話だけれども、泣き虫でも
前を進むレミに励まされました。
けれども、第二巻以降はちょっとずつ20数話しかない桎梏が効いてきます…。また、世界名作劇場の24年の歴史を
無理に振り返ろうとするかのような詰め込みすぎのストーリーにも無理があったかもしれません。
10歳ちょっとの女の子に恋愛をさせてしまうのもおかしい気がしますし、いじめ、死なども含めて、
「ロミオの青い空」の数十倍の急展開です…。ちょっと1990年代の世相の影響を受けすぎかもしれません。
主人公を女性に変えた無理が出てきますし、「前へすすめ」が何度も使われて冷めてしまいました…。
「カトリ」「アンネット」など、たいしたイベントも無いのに成り立ってしまうほのぼのさ、主人公への共感が
世界名作劇場のいいところだと思うのですが、ちょっと残念でした。
時代考証もなくなって久しい作品です。
子どもは楽しんで見そうな気がしますが、家族で見られる作品ではないかもしれません。
第一巻のスピードと温かさをそのまま続けて欲しかったです。
また、第1巻も素晴らしかったと思います。「前へすすめ」「泣き虫レミ」といったヴィタリスさんのやさしい
一言に溢れていました。
しかし、この巻から徐々に怪しげな雰囲気が作品を覆い始めます。まず、二十数話しかない話数の桎梏があまりに
急展開なストーリーに反映され始めます。また、無理に主人公を女の子に変え、名作劇場の24話を振り返ろうか、
という展開に無理が出てきます。話の作り自体が『ロミオの青い空』のようなやや単純な造りになってきて、
その中に盗み、火事、いじめ、別れ、再会、恋愛、といった要素が入ってきます。
話が速すぎて心がついていかないし、感動させよう、というのが露骨になってきて楽しめません。
「前へすすめ」の台詞が段々決まり文句になってきて第一巻の感動までもが薄れてしまいます。
大人が子どもに強要する感動になり始めていてリアリティがありません。
主人公レミの性格もかなりブレがあって一定しないし、その分堀江美都子さんの声にも落ち着けません。
また、10歳の女の子にわざわざ恋愛させなくてもいいでしょう。他の作品のように男女の友情ではダメなのか?
せっかくの名作が、作り手の勝手な、大人的な演出によってつぶされてしまった気がします。
『世界名作劇場』は「ナンとジョー先生」で終わりを告げ、そこから全くアニメ的な物語に変わってしまった気がします。
第二巻以降は、現代的な「ロミオの青い空」や「七つの海のティコ」を楽しめる人なら楽しいでしょうし、それでなければ
そうでないでしょう。