1997年8月
今回も、休暇の日程は2週間ほど前になるまで決まらなかったので、航空券の手配はぎりぎりになった。 直行便や欧州経由には低運賃の席が残っていなかったので、大回りだがシンガポール経由で行った。
シンガポールでの乗継ぎ時間は数時間あった。 シンガポールでは乗継ぎ客に短時間の市内観光を行うサービスがあるとのことなので行ってみたかったが、 それに行けるほど長くはなかったので今回は断念した。
乗っている飛行機がカイロ近辺まで着いたのは夜明け前だった。 着陸態勢に入って、着いてからのことをいろいろ考えていると、突然、エンジン全開で上昇を始めた。 霧のため... と放送されたが、よく聞き取れず客室乗務員に聞いたところ、一旦、ロドス島に行き、カイロの天候が回復したら戻って来るとのこと。 そういうこともあって、カイロに着いたのは正午近くになった。
バスで市内に着くと、まず、ガイドブックから選んだ宿に行った。 一階の受付で料金を確認し、料金はOKと答えると、しきりに「Look」「Look」と聞いて来た。 一瞬意味がわからなかったが、どうも「部屋を見るか」という意味らしい。
係員と一緒にエレベータを使って部屋に向かったが、そのエレベータはドアが半分しか閉まらず、ドアを半分開けたまま昇降させていた。 使う人自身が注意すればいいという思想があるのだろう。 部屋に着くと、トイレの水が流れること、シャワーの水が出ること、ベッドの清掃状況を確認し、再び一階に行って手続きをした。 アラビア語は右から左に書く言語だが、右利きの係員がボールペンをどう扱うのか興味があったので、係員の手元を注意深く眺めると、 やっぱりボールペンを押し出しながら書いていた。
翌日、ピラミッドへは、ミニバスと徒歩で行くことにした。 ミニバスは、運賃は通常のバスの2倍だが、必ず座れる上、タクシーよりは断然安いので、かなりの割安感がある。 ただし、ミニバスは路線数が少なく、ピラミッドの敷地の入口に横付けされるものはないので、近くで降りて歩かないといけない。 しかし、歩くといっても数百メートルだ。ミニバスに乗り込むとまだ空席が沢山あった。 ミニバスは、発車時刻が正確には決まっておらず、席がある程度埋まるまで待ってから発車する。 席が埋まったので発車すると、途中で路肩に止まり、運転手の方が客席まで来て集金した。
ピラミッドの近くでミニバスを降り、敷地の入口まで歩いて入場券を買うと、何はさておき、クフ王のピラミッドに行った。 実際に目の前で見ると、想像していた以上に大きい。十階建のビルくらいあるんじゃないか。動力のある機械を使わずに作ったなんて信じられない。
ピラミッドの中に入ると、天井の低い通路が十メートルほど続いたが、突然、天井の異常に高い空間が現れた。
クフ王の部屋に行くと、柩があった。蓋がなくて、当然、中味は空。 柩と反対側の壁の向こうに小さい部屋あるようで、鉄パイプの柵の小さい窓で繋がっており、その中から「ブーン」という音が聞こえた。 ピラミッドの外から引っ張られた電気コードがその窓を通ってその部屋に入っていることから、どうも、換気扇が回っているようだ。 ピラミッドは湿気に弱いと聞いたことがあるが、その対策のために、近年になってから改装されてできたものだろう。
折角来たので、じっくり見ようと、ピラミッド内を何度か往復した。
[注] 現在、ピラミッドの中に入れる人数に、1日あたり何人までという制限ありますので、ご注意ください。