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和書 1094378 (84)



ピカレスク―太宰治伝
販売元: 小学館

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

膨大な資料収集と広範なインタビューによって浮かび上がる、20世紀初頭の時代背景(プロレタリア運動の様子など)のなかで、太宰のすでにかなり知られていた醜聞が緻密に暴露される。そして、その返す刀で、師であるとされる井伏鱒二のあまりよく知られていなかった、換骨奪胎とも呼べるほどの創作の際の醜聞が鮮やかに暴露されていく。

 資料の羅列が単調に続くところと、会話が中心の小説仕立てのところのつなぎの悪さがいくつかあり、さらに「これで終わり?」と思わせるような、最後が尻切れとんぼで終わっているところが気になるが、猪瀬の手さばきはいつものように見事であり圧倒される。読後、面白かったと感心すればするほど、このような資料収集の専門家による史実にのっとった評伝というのは、今まで余りにも書かれなさ過ぎたと思わざるを得なかった。

 もちろん、小説家がどのような動機で、どのような経緯によって文学作品を書き上げたかということにはそれほど関心がない、という者も多いだろう。あるいは、愛読者の視点から作家を分析していくような、好意に貫かれた評論家の手法ならば、ファンにとっても読んでいて気持ちのいいものであり、また問題も少なくていい。

 しかしそれと同時に、この作品でもわかることだが、どの作家が時代を生き残り、どの作品が名声を得るかというのは、その時代の限られた受け手のかなりいい加減なフィルターに頼っているというのも痛感させられる。私たちは「名作」というものに踊らされているのではないだろうか。たとえば、太宰よりも山岸外史の作品に重要さを感ずる者は、いつの時代にもいるに違いない。

 文学作品は書かれた時点ではまだ名作ではなかった。名作の背後には、名作になり損ねた無数の作品が横たわっている。当時の小さな差が、時代の経過とともに多きな差となる。そして、私たちがいざ本を読もうとする際に、文学作品として確立された「名著」がすでに無数に横たわり、その山の中から読んでいくことになる。そこに上田重彦(石上玄一郎)の姿がないのは言うまでもない。
 太宰を特別視しない目で書かれたこの評伝は、時代のフィルターを過信せずにマイナーな作家たちに新たな目を向けようとする契機ともなるのではないか、と私には感じられた。




ピカレスク―太宰治伝 (文春文庫 い 17-13)
販売元: 文藝春秋

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かなりページ数の多い本なのですが、出てくる事実が一々面白く、
ページを繰る手が止まりませんでした。

太宰治の自殺未遂が、都合の割る状況をリセットするための
手段として、そんなにも意図的に行われているのであるとの見立ては、
本書を読む限り本当であったと思わざるを得ませんが、
何となく割り切れないものも感じました。

井伏鱒二の作品の舞台裏は、なかなか迫力がありました。
猪瀬氏の「我こそは記録文学者」との自負を強く感じました。
猪瀬氏の手によって、著名な作物に次々とバツが付く中、
『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』だけが残ったのに、少々ほっとしました。
実は井伏氏の著作で興味があるのは「厄除け詩集」だけでしたので。





湯川秀樹の世界―中間子論はなぜ生まれたか (PHP新書)
販売元: PHP研究所

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~私も、入学した小学校の1年生の教室の正面の黒板の上の年表に、敗戦と原爆の投下の隣「湯川秀樹、中間子論で日本ではじめてのノーベル賞を受賞」と書かれていたのを忘れられない。それほどまでに湯川の名前は印象深かった。本書は、湯川の生い立ちからノーベル賞の受賞までの履歴を、当時の日本および世界情勢、物理学の流れを巧みに取り入れて、読みやすく~~コンパクトにまとめている。湯川の葛藤や性格や生活の様子が、類書以上に、細かく描かれている。昨今の日本は、理数系を避ける人や、自分で考えることを拒否する人が多い。本書のような伝記を、学校の先生や学生に限らず、多くの人に読んでほしい。~




レクイエム・太平洋戦争―愛しき命のかたみに (PHP文庫)
販売元: PHP研究所

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真珠湾、ニューギニア、シベリア抑留などを背景に大東亜戦争渦中の極限状態にありながらも強い絆で結ばれた「家族」をテーマにした感動的な全十話。著者は「男たちの大和」の原作者である辺見じゅんさんです。

戦争とは実際に戦闘に携わった将兵のみならず、軍属、銃後の民間人など様々な人々に影響を与えます。大東亜戦争に関する書籍は数多く、前線に出て戦った兵士のエピソードには枚挙に遑がない。しかし本書は銃後にあっても戦後シベリア抑留などの犠牲となった方々やその家族を中心にしたノンフィクションで構成されており、著者の極限状態での家族の絆への想いがひしひしと伝わってきます。

第1話の「われ亡くも、母よ微笑め」は回天で特攻死した塚本太郎少尉のエピソード。母親に「おかあさん、その着物で僕の座布団を作ってくれませんか?」とせがみ、その座布団を搭乗席に敷いてウルシー湾に特攻、散華したという悲しいお話です。母親の着物で作った座布団で逝く少年の気持ちを思うと哀れでなりません。是非ご一読頂きたいと思います。塚本少尉の名を取り、命日に開業した東京田端の銭湯「太郎湯」は有名。

また第6、7話のシベリア抑留についてはどちらもスパイ容疑をかけられ壮絶なる獄中生活を送られた被害者と家族の物語。私自身シベリア抑留についての知識はまだまだ乏しく、今後多くの書籍を読んで勉強してみたいと思っていましたので興味深く読めました。どちらも一冊の単行本として出版されてもおかしくない内容でありますが、手軽に数々のエピソードに触れられるのも本書の良い点といえるでしょう。短い時間で多角的に大東亜戦争に触れられるおすすめの一冊です。是非どうぞ。




ブリエアの解放者たち
販売元: 文藝春秋

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フィラリア―難病根絶に賭けた人間の記録
販売元: 阪急コミュニケーションズ

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フィラリアが犬だけの寄生虫ではなく、人間の寄生虫だと知らない人が読むとかなりの衝撃を受けるはずです。
フィラリア有症者の写真2点が掲載されていますが、こんな寄生虫病が日本にあったのかと驚かされます。
世界に誇ることが出来る日本医学の歴史を記した本です。

この本の内容以降について書いている同じ著者の「琉球弧にいきる麗しきひとびと」を読むとさらに楽しめます。




フィリッピーナを愛した男たち
販売元: 文藝春秋

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フィリッピーナを愛した男たち (文春文庫)
販売元: 文芸春秋

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夫婦が死と向きあうとき
販売元: 文藝春秋

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深田祐介の憂国十番勝負
販売元: PHP研究所

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各界著名人との対談集。

政治・経済・社会など、日本の抱える問題、どうすればよいか等、いろいろなテーマに対し、熱く語られている。

対談相手は、政治家に加え、各界著名人さまざまな人が選ばれており、幅広い意見が伺えて興味深い。李登輝まで登場しているので、ぜひご一読を。


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