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和書 467252 (136)



停電の夜に (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

 「その名にちなんで」を読んでから、ジュンパ ラヒリに興味を持ち、この本を手に取りました。どの話も、さしてスリリングな展開があるわけではありません。けれど、登場人物の語り口が新たな人との出会いや別れを、鮮やかで特別な日々として浮かび上がらせてくれます。
 この短編集の中で、私が一番印象に残っている話は、「本物の門番」です。何気ない日常を切り取ることの多いこの短編集の中では、比較的しっかりした結末がある話です。また、話に移民でないインド人しか出てこないところも珍しいです。この話では、物語の最初から様々な伏線によって主人公の老女の人生が転落させられていきます。どんな辛い環境でも、柔軟に生きてきた老女が、結局は偶然の連鎖による予想ができない不幸に飲み込まれる姿は、思い出すだけで涙が出そうになります。作者の観察眼による転落劇の過程の一つ一つが、ただの悲劇以上に老女の人生の哀れを強調していて胸に残り続けます。




天使の記憶 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

ストーリーは面白く、一気に読んだ。
しかし読後「はて、内容は?」と考えると、これは戦争やナチスなどの
惨事のスパイスを大量にふりかけた”ハーレクイン”ではなかったか?
一見立派なディナー、でも実は栗の渋皮のほろ苦さを効かせたお菓子。
といったところか。(もちろん、とてもおいしいお菓子であるのは確かだが)
この、骨太のようで実は骨はなくスパイスとして覆っていただけというのが、
他の方も言っておられる腑に落ちなさであるように思います。

主人公は悲劇によって生み出されたいわば透明な女。存在感十分だし、初めて
幸福と出会ってからの劇的な変化の描写もストーリー運びもとても上手い。
これで、惨劇のスパイスに頼ることなく脇役の描写や設定、最後の悲劇の後
などをもっと丁寧に書ききったら、”ハーレクイン”卒業だったように思う。




遠い音 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

本屋さんで新潮クレストブックスの表紙を見つけると、それがどんな内容かを確認する前に、クレストブックスというだけで読書屋の好奇心がむくむくとわき上がり、レジに持っていってしまう。

そしてこの分厚い本(本編だけで514ページもある!)も、期待通りの秀作でした。

5歳ですべての聴覚を失った少女グローニアの半生を描いた、読み応えたっぷりの力作です。
本国カナダでベストセラーになり、既に20カ国以上で翻訳されているとか。

グローニアに世界の成り立ちを教えてくれた祖母。
ろう学校で出会った親友。
夫となる男性との運命的な出会い。
そして第一次世界大戦の波。

グローニアの研ぎ澄まされた感性と、彼女の夫、ジムが担架兵として体験する戦場の凄惨な描写が折り重なるように物語を編んでいきます。
運命の大きな流れの前に、人間はとても無力で、そして想像以上に強い。
読書の喜びを思い出させてくれる1冊。長い冬の夜におすすめです。





新潮クレスト・ブックス ナターシャ
販売元: 新潮社

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 旧ソ連邦ラトヴィア共和国からカナダに移民した一家を主人公とした連作短編。もちろん、自分とは違う環境での生活や価値観への興味、いわゆる「移民文学」として読むことも出来るけど、普遍的な“普通の人々の物語”として読めてしまうのが、この作品の魅力だ。特に、一人息子マークがこどもから大人になっていく過程の心理なんかは、万国共通と言うか、少なくとも僕は、過ぎ去りし日々を甘く切なく思い出してしまった。
 こどものつく浅はかな嘘とか、人前での親の行動がめちゃ恥ずかしくってしょうがない場面とか、初めての目くるめく快感と幸福感とか...特に、最後に挙げた「目くるめく快感と幸福感」ってのは、永遠に続くものだと勝手に思ってるんだよね、その時は。終わりはあっけなくやってくる訳だけど。そして“初恋”は決して二度とはやってこない。血のつながってない“いとこ同士”っていうシチュエーションも、幼いエロティックな関係でとても良い。ひとつの関係が終わったときの、少年の無力感、いつか変わってやる、見返してやるみたいな瞬間的な思いなんてのも、とってもわかる、というか思い出した。
 あと、このマーク少年をはじめ、一見他人任せ、“なんでも他人に決めてもらいたい”ってタイプの人々に対するシンパシーも感じる。声の大きい人、要領のよい人、人生うまくやってる人のお話は、もう充分って気がする。“普通の人々”の人生もぜんぜん悪くない。この本の中の言葉を借りれば、「世界には使命もなければ意味もない、ただ喜びの可能性があるだけだ」ってことだ。とても素敵な言葉だと思う。




ナンバー9ドリーム (CREST BOOKS)
販売元: 新潮社

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極めて読みやすい軽いタッチで表現された作品でありつつ、ディーテルまでしっかりと統一された素晴らしい作品でした。現実的描写の中ににSF的要素が部分的に混在する、という意味では村上春樹的とされるのも理解できるように思いますが、個人的にはやはり少し違うように思います。同氏の作品を好む人、好まざる人を問わず、読者を惹きつけだけの一つの作品としての独立性や完全性を持っているように思います。読後は筆語にし難い、どこかセンチメンタルな感情を覚えました。星4つとしたのは、主人公の当初の目的の終結の部分は、もう少し別の表し方や厚みの与え方があったのではないかという部分が、どうにも引っかかったが為です。しかし十分に他者に薦めうる良作であると考えています。ぜひ御一読下さい。




逃げてゆく愛 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

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 長編『朗読者』の世界的ヒットが日本でも話題になった、ベルンハルト・シュリンクの短篇集。知的でスタイリッシュな7編が収められています。繊細な男女の愛に、現代のドイツやドイツ人の抱える問題を、さりげなくからめて語っています。たとえば最後に置かれた作品『ガソリンスタンドの女』は、シンプルでありながら深い余韻の残る佳品です。『朗読者』と同じく新潮社から翻訳も出ています。邦題は『逃げてゆく愛』。




ネヴァーランドの女王 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

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灰色の輝ける贈り物 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

8月の東京で冷房もない自分の部屋で読んでいたのですが、読んでいる間はうだる暑さを忘れました。本のタイトルになっている『冬の犬』なんて、まるっきり厳寒の中でのお話で、背筋が寒くなります。

短編集で犬をはじめ、羊、牛、馬といろいろな動物が出てくるのですが、まるでにおいをかげるほど近くにいるような感覚にとらわれるくらい、著者は彼らの生態を絶妙に描き出しています。

人の行動も含めて描写が生々しいのですが、読み終えると何かおとぎ話を読んだ後のようで、とても不思議な印象を持っています。




ハイウェイとゴミ溜め 新潮クレストブックス
販売元: 新潮社

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 ドミニカのスラムとドミニカ人の視点から見たアメリカのスラムの生活が、時間の中を行ったり来たりしながら生々しく描かれた小説。読み始めた最初の頃は、子供たちの早熟さにただただ驚かされた。

 10話の小説は、ほとんどがフェードアウトの形で終わっており、読後に不思議な余韻を持たせる。すっきりした結末ではないので、そういうのが苦手な人には合わないかもしれない。
 欧米人のスラムとはまた違う、ドミニカ人のスラム小説。




パイロットの妻 (新潮クレスト・ブックス)
販売元: 新潮社

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ナレーションは1997年にフィクション部門でAlexander Scourby AwardをとったMary Peiffer。さすが上手。本文が文法的にあまり凝った表現で書かれていないことに加えて、標準的な米語で比較的ゆっくりと読まれているので非常に聞き取りやすい。少し謎が残ったのはテープの構成。テープを裏返すたびに、少し遡って録音されていて冗長な印象が残った。また、最後の6巻目は片面で終了し、暫し呆然。確かにテキストをあとで確認したらそこで終わっていたが。。テープ半分残っていたらもっと展開があるのかと期待するでしょ、しかし。というわけで星4つです。


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