今、このように構成員が壊れてしまっている家族は少なくありません。高齢化社会、弱肉強食の新自由主義に基づく社会が進むにつれ、このように「人生の敗者」になってしまっている成員を抱えた家族はますます増加してゆくと思われます。
この小説は「私小説」なのでしょうか? たぶん、作者自身が置かれたプライベートな状況に極めて近いのでしょう。しかし、少なくともむしろ作者一流のユーモラスな筆致によって、その絶望的な状況は緩和されているようにみえます。
しかし、それはあくまでも見かけです。このユーモアはどこから来るのでしょうか? 開き直りなのでしょうか? それとも生への信頼なのでしょうか? たしかに、このような救いようのない状況に対抗するのはこの「ユーモア」しかないのかもしれません。しかしわたくしはそれが極めて無気味に見えます。現実が、そのユーモアの向こうに隠蔽されたようにみえる分、かえって「救いようのなさ」が強調されているように見えるからです。
ということで、個人的にはあまり好きなタイプの小説ではありません。しかし、好悪を理由にこの名作を推さないのは不公平というものでしょう。
今、このように構成員が壊れてしまっている家族は少なくありません。高齢化社会、弱肉強食の新自由主義に基づく社会が進むにつれ、このように「人生の敗者」になってしまっている成員を抱えた家族はますます増加してゆくと思われます。
この小説は「私小説」なのでしょうか? たぶん、作者自身が置かれたプライベートな状況に極めて近いのでしょう。しかし、少なくともむしろ作者一流のユーモラスな筆致によって、その絶望的な状況は緩和されているようにみえます。
しかし、それはあくまでも見かけです。このユーモアはどこから来るのでしょうか? 開き直りなのでしょうか? それとも生への信頼なのでしょうか? たしかに、このような救いようのない状況に対抗するのはこの「ユーモア」しかないのかもしれません。しかしわたくしはそれが極めて無気味に見えます。現実が、そのユーモアの向こうに隠蔽されたようにみえる分、かえって「救いようのなさ」が強調されているように見えるからです。
ということで、個人的にはあまり好きなタイプの小説ではありません。しかし、好悪を理由にこの名作を推さないのは不公平というものでしょう。