これは吸血鬼との戦いのなかで、「真実の愛」を目指す、美しい
ラブストーリーです・・・
と、紹介できれば良かったのですが、あちこちに綻びのある、感情
移入しにくいお話でした。
えっと…なんで悪事を働くのは、日本という狭い地域の、たった五人
の吸血鬼なんですか?なんで処女じゃないと、吸血鬼と戦えないん
ですか?etc.etc.…説明不足すぎてなんだか納得いきませんでした。
そのせいか、物語の状況に危機感を持って読むことができず、流し読み
をしてしまいました。
その一方で、イラストレーターさんの絵はかわいらしく丁寧で、もう
これだけのためにこの小説を買ったといっても過言ではないほどです。
女の子たちの特徴が良く出ており、男の子の実直さも絵を通してよく
分かりました。この四谷嘉一さんという方は何か著名な方なのでしょう
か?この方の他の作品があればぜひ買いたいと思いました。
今回は、主人公と二人の女の子が三角関係に陥ってしまいます。
ありがちですし、特にオチもありませんが、女の子の内面の葛藤
の描写は悪くはありません。とはいえ、今回は様々な脇役キャラ
が出て来て、その良さも台無しにしていくのですが…(苦笑
さて、この3巻からはイラストレーター・四谷さんの絵に磨きが
かかっています。
小説でも、内面の描写方法として風景(背景)が内心を表すといった
手法は良く使われますが、今回はそれを絵で表現してくれたといった
ところでしょうか。
こういうイラストを見ると、ライトノベルというものも、レベルの高い
世界なのだな、と感心させられます。
次巻も四谷さんには頑張ってほしいです。
えっと…この2巻では主人公がモテモテになります。
以上。
・・・だって他に言うことがないんですもの。
古今東西、主人公がモテる話はいくらでもあります。
最近の、マンガ・小説などではそうしたものはありふれて
いるぐらいありますし、一千年以上前の小説、源氏物語の
ような古典にすらあります。これらの作品のうち、人気が
出た物は当然、「主人公がモテる」ことのみを理由として
人気になったのではありません。どのような心の機微があって
好かれるようになったのか、そしてその背景はどうだったのか、
などなど、様々な描写が読み手を惹きつけたからこそ、読者に
受け入れられたのではないでしょうか?
しかし、本作では特に理由もなくモテます。
ええと、それではちょっと・・・ね。
ですがやはり、今回もイラストはすばらしい出来です。シャルロット
という、ちょっと年増な吸血鬼が表紙なのですが・・・なぜこんなに
可愛く描けるのでしょうか?
昨今のイラストレーターさんは、若い娘をかわいらしく描くことは本当
にすばらしい技術を持っていると思います。
しかし、年を考慮に入れ、それを崩すことなくかわいらしい絵を描く
ことは難しいと思います。特に女性は難しいでしょう。
これまで日本でお札(お金ね)に女性の絵が描かれなかった一番の原因
は、女性を醜く印刷することなく、お札に表現することが難しかった
からだそうです。
そう考えると、こうしたイラストを描ける四谷さんのイラストは、
なかなか貴重な物に思えてなりません。