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和書 492084 (204)



中国文明の歴史〈2〉春秋戦国 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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 本書は、もともと今から40年近くも昔に書かれたものですが、今の目で読んでみても決して時代の遅れをとっておらず、むしろ新鮮なイメージすら覚えます。こうした通史シリーズというのは、えてして教科書的な無味乾燥の記述に陥りがちですが、本書の場合には、政治・経済・文化・生活といった各分野に亘り、興味深いエピソードを交えつつ、一般読者向きに分かりやすく語られており、たいへん読みやすく出来ています。

 内容的には、「都市国家から領域国家へ」、「宗法支配から国法統治へ」、「祭祀偏重から実力万能へ」などといった中国古代史のマクロの変遷を前提にして春秋時代と戦国時代の特徴を描き出しており、一言に「春秋戦国」と呼び習わされるこの時代について、たとえば春秋と戦国で何が変わったのか、それぞれの時代が中国史全体の中でどういう位置づけられるのか、といったことについて読者の知的好奇心を刺激してくれます。また、鉄器の普及に伴う生産力の向上が政治に及ぼした影響や、領域国家化や中央集権化に伴う権力関係の変化といった問題についても一通り押さえています。総じて言えば、単なる事実関係の羅列にとどまらず、歴史を学ぶ醍醐味を垣間見させてくれるバランスのとれた好著であると言えるでしょう。




中国文明の歴史〈3〉秦漢帝国 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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 この時代、面白すぎます。秦始皇の天下統一、項羽と劉邦の漢楚戦争、劉秀による漢室復興、衛青・カク去病の活躍、張騫・班超の冒険などなどの物語は、史記などの影響もあってか、東洋史ファンのみならず広く一般に知れわたっています。

 これらのエピソードは本書にも随所に散りばめられており、華やいだ彩りを添えています。他方、逆に言えば、全体としての記述がエピソード中心になってしまっている観があり、各歴史事象の政治的・経済的なインプリケーションに対する考察などには必ずしも十分に筆が及んでいないように覚えます。

 また、時代の社会的・経済的な諸相についても、文帝・景帝期の経済政策や東漢期の豪族社会に関する簡単な記述の外は、些か物足りなさを感じてしまいます。有名なエピソードを省略するわけにいかないのでしょうし、一般向けの概説書としての性格上やむを得ないものがあるのでしょうが、「何とかもう少し」と欲張ってしまうのは小生だけでしょうか。




中国文明の歴史〈4〉分裂の時代―魏晋南北朝 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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 魏晋南北朝、特に五胡十六国と呼ばれる時代は、中国史の中でも特に複雑で、それだけに歴史ファンの興味を惹いてやまないものがあります。両漢古代帝国の繁栄は、外戚や宦官たちの恣意的統治と地方豪族の台頭によって翳りを兆し、三国鼎立と曹家・司馬家の簒奪劇、そして大地をどよもすような戦乱のうちに、統一中華文明の栄華は幕を閉じます。
 そうした中、中国史に新たな駆動力を加えたのが、北族をはじめとする異民族と漢民族との多様にして深刻なインタラクションであり、また、江南開発の過程で地盤と名望を確保し貴族化の路を行く豪族たちの活躍でした。異民族との交流は中華のアイデンティティを拡大・充実させ、貴族制の発展に支えられた南朝文化の開花は、今日にもつながる中国的文雅趣味を定着させるに至ったのでした。
 本書は、この魏晋南北朝期を対象に、込入った事実関係を巧みに整理しつつ、混乱と分裂の中での文明的再生、そして発展というアンビバレントな時代様相を分かり易く説き明かしています。特に、北魏発展の実態や南北朝における仏教隆盛の状況などが比較的詳しく紹介されており、興味をそそられます。
 この時代、三国志の故事以外は、どちらかと言えば我々馴染薄ですが、本書は、そんな一見「マイナー」な時代も実は興味深い事柄に満ちていることを教えてくれます。もともとはたいへん古い本ですが、内容的には、今なお新鮮さを失っていません。多くの東洋史ファンに一読をおススメしたいと思います。




中国文明の歴史〈5〉隋唐世界帝国 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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中国文明の歴史〈6〉宋の新文化 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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中国文明の歴史〈7〉大モンゴル帝国 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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 金朝の帝国的支配の下、長期の分裂・混乱状況に置かれてきたモンゴリアの遊牧諸部族ですが、金の衰退とそれに伴う強圧緩和の中、モンゴル部のテムジンが諸部を統一し、遊牧民に本来的に備わる軍事的ポテンシャルとコスモポリタニズムとを一気に動員・爆発させ、モンゴリアの地は言うに及ばず、中央ユーラシアの東西動脈路の全てを覆いこむ世界的な大統合が成し遂げられたのでした。テムジンの孫の代に至っては、ついに漢地本土の完全攻略に成功を収め、人類史上稀に見る一大帝国が樹立され、人・モノ・文化の世界的な循環が始まることとなりました。しかしながら、こうしたユーラシア覇権の実現は、ハイドゥや東方三王家の叛乱やそれに伴う諸ハン国の去就の不安定化につながり、新たな分裂の幕開けを告げるエポックともなったのでした。
 本書は、今から実に40年近くも前に人物往来社から出版された「東方の歴史」シリーズ中の一冊を中公文庫において復刻再刊したものです。当然、最新の研究成果が反映されているわけではなく、通説的な記述に終始している観は免れません。他方、本書では「モンゴル時代」の政治・経済・社会・文化の状況が総合的かつ平易に説明されており、一般向けの概説書としてのバランスの良さには見るべきものがあると思います。元寇に関して敢えて一章を割いているのも、一般読者を意識したサービスの表れでしょうか。また、巻末に付された杉山正明教授の解説にも一読の値打ちがあるように思いました。
 オリジナルが古いとは言いながら、こんな本、こんなシリーズを文庫で読めるというのは、考えてみればたいへんなことです。「我が国の文化水準もまだまだ捨てたものではないかな」などと、思わず感心してしまいました。




中国文明の歴史〈8〉明帝国と倭寇 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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中国文明の歴史〈9〉清帝国の繁栄 (中公文庫)
販売元: 中央公論新社

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 いつもながら、宮崎市定という人の語り口のうまさにはほとほと感心させられます。マイナーな人名や地名など固有名詞の使用を最小限に抑え、大まかな筋をしっかりつかまえつつ、時代の特徴を骨太に描いていくという感じです。清朝に対する宮崎先生の思い入れは相当のようで、語りたいことがたくさんある中、話題をしぼって迸るように書いているという印象を受けました。初学者の方でも一気に読めると思います。

 内容的にもスタンダードであり、また政治史のみならず、社会・経済・学問・芸術等にもほどよく言及されています。清という時代を全般的に理解するという面から見て、十分星5つつに値すると思います。




中国ペガソス列伝―政治の記憶 (中公文庫)
販売元: 中央公論社

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中国史十話 (中公文庫)
販売元: 中央公論社

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本書は、植村清二が中国史上の興味のある主題をいくつか選んで「学問的で同時に通俗的に叙述を試みた」ものです。殷墟の発見に始まり、稷下の学士、万里の長城、西域都護、出師の表、清談、盛唐の長安、宋の党争、草原の史誌、宦官提督の十話が扱われています。

植村の著作は多くありませんが、どれを読んでも面白い。植村の文は、わかりやすくて格調が高く、すらすらと頭に入ります。西洋史や日本史にも造詣が深く、東西の類似の状況を並べて解説するのが得意です。たとえば、玉門関と陽関の西方を西域と呼ぶのは、日本の王朝時代に菊多(勿来)と白河の関の北方をみちのくと呼んだようなものと説明します。

西域の経営は漢の武帝に始まりますが、後漢の頃には、ローマ帝国のことがシナにも知られるようになり、大秦と呼ばれていました。西域都護班超は、甘英を大秦に派遣します。甘英は、パルチアを通って条支国に至り、大海を臨んで大秦に渡ろうとしましたが、航海が危険だと止められ帰還しました。(条支国について、植村は「地中海に臨んで遥かローマに通ずるシリアのほかにはあるまい」と宮崎市定説を支持しています。)

甘英帰還の二十年後、ローマのトラヤヌス帝は、パルチアを征してチグリス河を下り、遠く漢に通ずる海路を望みました。「われにしてなお若からんには」とは、六十歳を過ぎた帝の嘆きです。植村は、「そして、東西の両大帝国は、直接に相交わることなく、万里を隔てたままに残されたのである。」と結びます。えもいわれぬ余韻の漂う結びです。


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