通信は海外青年協力隊員の国内訓練風景から始まります。スペイン語の特訓や、体力増強トレーニング、地元農家へのボランティア活動など、任地へ向かう前の協力隊に関して知りたいと思う人には貴重な参考資料となることでしょう。
そしてホンジュラスにおける協力活動では、指導先の生徒や教師、そしてホームステイ先の家族と筆者との交流がとても爽やかに描かれています。
現地で出会う人々や事件のひとつひとつに熱心に真摯に取り組む筆者の姿勢は、読んでいて清々しい気持ちにさせてくれます。筆者自身がこの活動を通じてホンジュラスの人や文化、風土に貪欲に接し、心の底から愛していく姿を目の当たりにして、その健全な若さに強い嫉妬を覚えたほどです。もう少し若ければ私も参加したいところだと考えるほど、海外協力隊の活動がとても魅力的に感じられ、ぐいぐいと引っ張られるようにこの本を最後まで読み通しました。
筆者自身は活動を通じて「Siempre lo que sucede es lo mejor.(私に起こることはすべて良いことだ)」という言葉に出逢います。そう、その通り。人生は素晴らしさに満ち溢れている。そう実感できる心を、筆者は2年間の協力活動を通じて着実に育んでいったことが良くわかります。
これほどの良書が、筆者の出身地である沖縄の出版社を通じて自費出版という形でしか世に出なかったのは実に惜しまれます。心底そんな気にさせる本なのです。
本書は、消費者行動研究の歴史をまとめた書が少ない現実がある中、これを実現させた書であり、消費者行動研究の歴史がとてもわかりやすく理解できる良書である。本書は、消費者行動!研究がどのような歴史を辿りマーケティングにどのような貢献をしてきたのかを詳細にレビューしている。そして、著者なりの視点から、消費者行動の新たな包括モデルを提示するに至る。また、消費者行動研究に用いられるマーケティングサイエンスモデルの紹介を行っている。消費者行動研究では、得てしてポストモダンに傾倒していく方が多い中、本書は、これを避けた議論が展開されている点も評価できる。
しかし、包括モデルの提示に関して、既存の包括モデルとの差異が明示的に明らかにされていないのが残念である。また、現代マーケティングにおいて重要な課題となっている欲望のダイナミクス性に関する問題に踏み込んでいない。マーケティングに貢献してきた消費者行動として、今後の展開が楽しみである。