だが、本書を読んで太郎が、朝鮮半島に行ってみるべきだと直感的に感じており、韓国を訪れて、その健やかな開放感を全身で感じ、そこに息づく生命感を楽しんでいることがわかった。さらに再録された「韓国発見」「韓国再訪」を読み、当時の日本人知識人としては稀有に等身大の視点で韓国を見つめていたことを知り、人間としての岡本太郎に改めて驚かされた。
宇宙と大地とをつなぎ、人間の息吹を描くことで芸術を人々の手の元に取り戻そうとしてやまなかった岡本太郎。その彼だからこそ、空高く伸び、大地と人々をつなぐチャンスンや仮面劇、貧しくとも逞しく生きる人々、その中で育まれた躍動する美しさを、素直な眼差しで評価し、韓国独特の開放感を楽しんだのだろう。
そしてその開放感、ユーラシアの風から、目指す芸術に確信を得たであろうことを著者のすぐれた推察から知ることができた。
近年、多く刊行されている「岡本太郎本」の中で、唯一、韓国という視点から岡本太郎の芸術を捉え、そのダイナミックな生命感の源を探って新しい岡本太郎像を見せてくれた。岡本太郎ファン必読の一冊だと思う。
太郎の当時(太陽の塔の製作や本の執筆活動など)の活動を毎日ハラハラ・ドキドキの気持ちで支えた岡本敏子さん(当時岡本太郎の50年の秘書を務め、太郎が亡くなった後は岡本太郎記念館館長として活動)から見た太郎の青春記録(芸術活動記録)でした。
やれ恋愛だ結婚だという世界とは、全く異なる強い愛情と絆の本でした。
「岡本太郎さんの本は難し過ぎる」と思われる人へ、敏子さんから見た太郎さんは分かりやすいので是非おすすめの本です。
岡本太郎といっても私などは、「太陽の塔」と「芸術は爆発だ!」という言葉くらい
しか知りませんし、正直に言えば作品もそれほど好きでは ありません。しかし、
本書を読んで、ひとりの人間として、実に面白く人生を生きた人だったのだと感じ
ました。
岡本太郎といっても私などは、「太陽の塔」と「芸術は爆発だ!」という言葉くらい
しか知りませんし、正直に言えば作品もそれほど好きでは ありません。しかし、
本書を読んで、ひとりの人間として、実に面白く人生を生きた人だったのだと感じ
ました。