本棚を見るのは楽しい。けっこういろんなことを識っていて本も読んでそうな女の子の棚は空っぽだった。本が残るが嫌な性分らしくて、読み終わってこれいいやとなった本は捨てる(売るんでもない!)んだそうで、勿体無いと思いながらも、それはそれで彼女の生き方だと感じた。
反面、本棚を見られるのは恥ずかしい。「昔からトマス・ハリスは」なんて人の本棚に「ジョディの表紙の」があるととたんにこちらのテンションは下がってしまう。が、「初版は実家に置いてる」となるとメーターは一気に上がっていく。
夫婦なんてものでも、本の評価は一致し難くく、おそらくいろんなところで熱いバトルが繰り広がれていることだろう。
そういった本に対する現在の最良の導き手の一人である筆者が、またまた揃いも揃って濃~い強者の人生の縮図を覗いていくのが、この本の趣旨である。
自分の持っている本が並んでたりすると、嬉しかったり恥ずかしかったり、無いものが滅茶苦茶うらやましかったりして今でも、時々読み返しては一人でにたにたしている。
また、その並べ方でその人となりやこだわりが見えてくると共に、「本」が持つ電子メディアには無い嬉しさが伝わってくる。こんなに眺めるだけで楽しいというのは、レコードやCD含めての著作「物」の確固たるアドバンテージなんではないか。HDにおいたデータベースを眺めてニタニタという人が前者を凌駕しないとは言えないが、やっぱり本の楽しさって、この質感を含めてのことなんだと改めてこころから思う。本を愛する人は当然としてなんかこういう風に自分の本棚ってなっちゃうんだよねと持った人は一読お勧めします。
ただし、げっ、あの本欲しかったやつだ、という人の中で不心得者がいて、何らかの事件がおきても当方は一切責任は負いません(笑)