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和書 507216 (259)



愛の輝き〈上〉 (扶桑社ミステリー)
販売元: 扶桑社

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愛の輝き〈下〉 (扶桑社ミステリー)
販売元: 扶桑社

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愛の記憶―Crea due (CREA due)
販売元: 文芸春秋

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愛の危険地帯 (カッパ・ノベルス)
販売元: 光文社

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愛の危険地帯 (光文社文庫)
販売元: 光文社

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愛のキャンセル待ち (カドカワノベルズ)
販売元: 角川書店

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愛の殺人海峡 (天山文庫)
販売元: 天山出版

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愛の殺人気流 (カッパ・ノベルス)
販売元: 光文社

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愛の殺人気流 (光文社文庫)
販売元: 光文社

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愛の旋律 (クリスティー文庫)
販売元: 早川書房

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幼い頃、奇妙な音を発するピアノを「獣」として恐れ(この「獣」に対する言い知れぬ恐怖が、全編を通じたキーワードでもある)、自他共に認める音楽嫌いのまま成長した主人公ヴァーノンは、青年となったある日、従妹のジョーの身代わりに、無理矢理、行かされたオーケストラコンサートで、突如、音楽の持つ素晴らしい可能性に目覚め、作曲の勉強を始めることになる。

そんな中、ヴァーノンは、見違えるほど美しく成長した幼馴染のネルと再会し、彼女との結婚に向けて突っ走るのだったが、貧乏の惨めさを味わってきたネルは、ヴァーノンに対する愛情と、誠実な金持ちの男との結婚話の間で激しく揺れる。一方、ヴァーノンも、あるパーティでオペラ歌手ジェーンに出会い、次第に彼女の危険な魅力にも惹かれていくのだった…。

この作品は、真実の音楽と愛を求めながら、自らに因をなす数奇な運命に、二人の女性を巻き込みながら翻弄されていく天才音楽家ヴァーノンの一生と、二人の女性それぞれの女の愛の在り方を描いた、意欲的な問題作だ。

おそらく、アガサの全長編小説の中でも最も規模が大きいはずであり、旧文庫版より活字が一回り以上大きくなったことによる100ページ以上のボリューム増も手伝い、643ページにも及ぶ大長編となっている。しかし、アガサ特有の軽いタッチの筆運びと、スピーディな場面転換を軸に、ヴァーノン、ジョー、セバスチャンの幼馴染三人同士の変わることのない友情や、生き方に対する価値観の相違によるジョーとセバスチャンの間のかみ合わない愛のエピソードもちりばめながら、後半の波乱の展開からミステリ顔負けのアッと驚くどんでん返しの壮絶な結末まで、長さ、退屈を感じさせることもなく、グイグイと読者を引っ張っていく。

アガサを偉大なミステリ作家としてのみ片付けるのは、もったいない。そう感じさせる好著である。


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