学生時代の友人との再会をテーマにした「会いたかった人」
別居中に知り合った年下の男性との気持ちを軸に不思議なことが次々起こる「倒錯の庭」
次々に襲う不幸は忌まわしい犬だと悩む主人公の「災厄の犬」
どきどきしながら読み進んでいけるサスペンスですが、会いたかった人、災厄の犬は先が読めてしまうのが残念。
「倒錯の庭」はある程度先は読めても幻に包まれているような読感が気持ちよかったです。
それと巻末の作者のエッセイが面白く、もっと小池作品を読もうと思いました。
土砂降りの中、それぞれの理由でモーテルに入った11人。
1人、2人と無惨に殺されて、死体はきれいに消えてゆく...。
クリスティの二番煎じかなあ、それとも、単なるパニックホラーかなあと思う頃に「いや、ちょっとちがうぞ」という兆しが現れます。あとはその「ちがい」がなんなのか、それがどこにむかってゆくのか、読んで読んで読んでゆくのみ!
読み終えた後、この表紙とタイトルが、より強く鮮明なものになりました。
星5つ! としたいところをあえて4つとしたのは、さて、「映画を見た人にもこれはすすめられるのか」ということ。見ていない私にはわかりません。だからこの一つは保留とさせてもらって、私が確かに言えるのは、この一冊をひとつの推理小説としてどっぷり楽しんだということです。
荘園の領主が死亡し、修道院に預けられていたまだ年端もいかない少年が相続することとなる。子供の祖母はすでに少年の結婚相手までさがしていて、すぐにでも結婚させたい様子。当の本人は、この祖母が苦手で大人になるまで修道院での生活を望む。子供を奪いあって、祖母陣営と修道院陣営とで対立しているうちに、子供が行方不明となってしまう、といったお話し。
この少年の祖母というのがなかなか強烈な人物で、カドフェルや執行長官のヒュー・べリンガーを相手に一歩もひかない女丈夫。その押しの強さにあきれる一方、目的のためならなりふりかまわず一直線、という姿が妙にうらやましかったり・・・。ま、身内にいたら煙たいだろうけど。
子供の行方不明に続いて殺人事件もおきて、いつもながらの鋭い観察力で真相を見つけるのだが、罪を犯した者を断罪するのではなく、人情味のある解決方法をとるカドフェル。このシリーズの魅力の一つだと思います。堅苦しいだけで融通のきかない宗教家なんて、実生活でも小説でも会いたくないですよね。