その中のお気に入りは、この書物でも紹介されていますが、
「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」という曲のタイトルからとられたCD、
混声合唱のための<うた>です。
武満が音楽の道に進むきっかけになった最初のきっかけは、歌。
それもクラシックのジャンルではなく、シャンソンだったといわれる。
この書物でも、声を伴った作品がその導入で取り上げられています。
■ ここでは<SONG>の中の「小さな空」に関わって
興味深いお話が紹介されています。
ある児童自立支援施設での音楽の授業で、
この曲を取り上げたときの出来事。
先生がこの曲を子どもたちに歌って聞かせたところ、
子どもたちがしんと、涙を浮かべてきいたという。
いろいろな事情を抱えて施設に入所してくる子どもたちには、
どんな親でも、自分にとって愛情を示してくれた一瞬があるり、
後生大事にその一瞬だけを記憶として携えて生きている子が多い。
「小さな空」には、そういう「一瞬の幸福」を大事にする心がある。
だからこの曲を聞くと涙があふれるんだという。
私にとってこの曲集は、一時“歌を忘れたカナリア”に
なりそうになっていたときに、私の心に静かに寄り添い、
再び合唱の世界へ呼び戻してくれるきっかけをつくってくれた
大切な曲でした。
「誰かがどこかで耳にした音楽的記憶を呼び覚ます」なにかを、
この曲は持っているという。その通りだと思います。
■ この本のどこかにありましたが、
とにかく武満作品、武満音楽を聴くこと。
わかるとか、わからないとかは関係なく、聴いてみること。
そこで何か自分なりに魅かれるものがあれば、
それが“タケミツ・ワ-ルド”への入口だと思います。
「武満徹-その音楽地図」とあるタイトルの意図は、
そんなところにあるのではないでしょうか。
更紗と朱理のらぶらぶな1枚(ピンクのバックでレモンかじってるやつ)とか,11巻の表紙の更紗と揚羽(吹雪の中で抱き合ってるやつ)とか,お好きな方にはツボなイラストもあるので買ってもよいと思いますが,特に買わなくても良いような気もします。
というか,お近くに持っている方がいたら一度見せてもらってください。たぶんそれで満足します。