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和書 508066 (80)



大黒屋光太夫 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 大黒屋光太夫の漂流記は、過酷な漂流体験からエカチェリーナU世への謁見、日本への帰国に至るまで実に劇的である。この新書は、そのドラマティックな漂流記を簡明かつ、ポイントを押さえて記している。
 簡明ながらも、次々と仲間が息絶えていく光太夫らの旅の過酷さは余すところなく伝えている。その一方で、献身的な支援を与えたラクスマンとの出会いについての記述も、また見逃せない。賓客でも何でもない(ロシアの貴族は、光太夫を豪商と思っていたらしいが。)一東洋人光太夫らのために、方々に手を尽くして工作に励むラクスマン。その様子を読めば、人間的な慈愛に心打たれずにはいられない。ラクスマンの姿に、ふと我が身を振り返り、身勝手な自分を反省したくなる。
 ところで、興味深いのは、松平定信がロシアとの交易もありだと考えていたフシがあるという指摘である。定信というと、林子平の『海防論』を没収し、処罰したという事件で名高く、外交については閉鎖的だったというイメージがあるが、そうしたイメージを払拭する指摘で、おもしろい。江戸幕府は、『オランダ風説書』を通じて、フランス革命も知っていたというから、案外、幕閣の外交感覚はユニークだったのかもしれない。
 
 




ダルタニャンの生涯―史実の『三銃士』 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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デュマ・ペールの小説ですっかり有名なダルタニャン。彼が実在の人物だったというだけで面白いのに、伝記としてもすっきりとよくまとまっている。失礼だがこの作家は、誰かも書いているように、小説よりノンフィクションのほうがうまいかも知れない。




地域学のすすめ―考古学からの提言 (岩波新書 新赤版 (793))
販売元: 岩波書店

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 著者が各地で行った講演の内容を集めたもの。いわゆる地域学において考古学はどのように役立つかというのが一応のテーマではあるが、それぞれの文章は短く、掘り下げが不足している感が否めない。またそれぞれの文章の間の関連性も薄い。




中央アジア歴史群像 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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とまで言えるかどうかわからないが、なかなか得がたい本であることは確かである。「歴史群像」であるからには、中央アジアの人物を取り上げていることは想像がつくが、多くの人が、植村清二「アジアの帝王たち」(中公文庫)のような、著名なアジアの専制君主や武将を取り上げているのでは、と思うのではないのだろうか。

本書はそうした期待を裏切って、通常あまり日本で名の知られていない人物を多く扱っている。一般的に言って、メジャーな人物は、イブン・シーナ、チムール、バーブルだけ、といえよう。その他は、必ずしもマイナかというと、そんなわけではなく、寧ろ文化人を多く取り上げているといえる。ペルシア詩人の父、ルダーキー、ウズベク文学の祖、ナワーイーやトルクメニスタンの詩人、マハトゥム・クリなどを扱っている。バーブルも、政治家というよりは、寧ろ文化人としての側面に焦点を当てている。バーブルの詩が7ページにわたって掲載されているのである。

 これはつまり、著者が、意図して、文化人に焦点を当てているのではないかと思う。中央アジアに人物がいなかったか、というとそんなことはなく、ウマイヤ朝を倒したアブーバクル、サーマン朝のイスマーイル、セルジューク朝のスルタン・サンジャル、シャイバニーハーンなど幾人でもメジャーな人物を挙げることができる。少し角度は違うが、アレクサンダーに抵抗したソグド人スピタメネスの章では、イリヤソグの小説「ソグディアナ」の筋の紹介があったりと、エッセイ風なところもある。全体としてなんとはなしに、このように、文化的な香りのする「歴史群像」なのであった。




中華人民共和国史 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 中華人民共和国の建国前史から江沢民政権までの約100年を扱うが、そのほとんどをタイトルが示すとおり1949年以降の約50年間の記述に費やされている。
 それにしても1976年までの中華人民共和国史は毛沢東に振り回され続けた歴史といっても過言ではない。
 53年のスターリンの死をきっかけにスターリンと関係の深い高崗を激しい党内闘争の末自殺に追いやる。56年にフルシチョフの「スターリン批判」により個人崇拝批判が行われると、毛沢東の威信を再強化すべく大衆運動を引き起こす。党に対する積極的批判を歓迎する「双百」をあおり、反中共分子をあぶりだすと徹底的に叩く。同時に「独自の方法と意気込みを強調」した「大躍進」を採択する(58年)。大躍進の重大な行き過ぎに20年代からの同士である彭徳懐が私信で意見書を提出すると、早速これを失脚させてしまう。62年に大躍進政策の失敗から「自己批判」を余儀なくされ主役が劉少奇とトウ小平に移ると、実権派打倒へ向けて動き出す。64年におきた「海瑞免官」をめぐる文芸論争を政治問題化させ、66年には「中央文革小組」が設置され文化大革命の基盤を作るとともに、劉少奇とトウ小平を失脚させた(67年)。実権は林彪派と四人組派に移る。69年には党規約に「後継者」とまで明記された林彪だが、その2年度には毛沢東暗殺クーデターに失敗し亡命中墜落死する。両者の関係は「きわめて政治的」であったという。その後周恩来の後継者として毛沢東の合意のもとに73年にトウ小平が復活するが、四人組の暗躍が毛沢東を動かし、76年1月の周恩来の死ととともにトウ小平は再度失脚する。
 毛沢東は同年9月に82歳の生涯を閉じるが、最後の最後までトップにしがみついた尋常ではない執念が見てとれる。
 なお、本書は江沢民時代まで網羅している。




中世に生きる女たち (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 本書は「家」の女性に焦点を当てて書かれている。「家」に包含される妻のあり方を検討なしに中世を論じることはできない。しかし、中世では結婚をして夫婦で「家」を形成できる人は少なかった。中世に生きた女性は、「家」の妻だけではないく、尼になって僧籍に入る女と遊女や白拍子など芸能にたずさわる女と三分割される、と著者は考えている。北条政子、日野富子他、能狂言説話に現れた妻たちを取りあげ、母性・家政・性愛をめぐって縦横に展開される数々のエピソードが興味深い。




中世の奇蹟と幻想 (岩波新書)
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中世倭人伝 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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この本で中心となる視点はマージナル・マン(境界人)である。
現代では中国・北朝鮮・韓国・日本とはっきりと国家によって仕切られた地域。
国家の境界は海の上にも引かれている。しかし、この書の舞台となる中世はそもそも国家という輪郭自体がはっきりしなかった時代。陸地ですら境界がはっきりしない当時、国家権力に服属しない海の民達が国家を意識して行動したか・・・もちろん、意識したわけがない。

朝鮮南部を中心とした地域で活躍したマージナル・マンは倭と総称された。
今では高等学校世界史の教科書でも後期和冦は王直を初めとする中国人が中心であったと記述している。ちょっと歴史をかじった人ならば和=日本人という考え方はしないであろう。
倭とは朝鮮・日本という中世国家の端境に生きる人々の総称であり、国家に属さない自由な海洋人達である。時には漁師、時には農民、時には貿易商、またある時は海賊とその場その場に応じた姿を見せる。

彼らは国家との対応に置いても臨機応変。そのような国家と倭との接点の一つが三浦である。そこでは統制に置こうとする朝鮮王朝、倭の背後にあって影響力の拡大を図る対馬といった政治権力の角逐の場であると同時に倭の自由な海洋活動の一拠点でもあった。三浦の盛衰は倭の興亡とも軌を一にしている感がある。
倭が三浦を失った頃、南方海上ではポルトガルが勢力を拡大しつつあった。日本では戦国時代もいよいよ終わろうとし、大陸では清が着々と勢力を伸ばしていた。
倭とは中世の申し子であった。中世から近世へと歴史が動く中、倭の活動は少しずつ衰退していくことになる。

尚、江戸時代の日本と朝鮮王朝との関係では『倭館―鎖国時代の日本人町』(田代和生著)が参考になる。倭館は三浦の後継者と言えなくもない存在であるが、両者を比較すると中世と近世との違いがよくわかる。




中東現代史 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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ズバリお勧めの本です。期間は第二次世界大戦終了直後のイスラエル建国から湾岸戦争までを扱っています。アラブ・イスラーム世界の動向が注目される今日ですが、テレビ、ラジオ、新聞、インターネットなどのメディアに氾濫する、いまや日本人も無視できない中東情勢の理解はまずその歴史から始められなければなりません。本書は現代の中東問題を解くキーワードが漏れなく解説され、しかも平易な文章で綴られています。中東を理解するために看過できないポイントが明確に示され、この地域に馴染みのない方がはじめて現代史を学ぶための最も手頃な本だと思います。また、かなり詳しい方でも知識の整理に役立ちます。中東の理解はまず本書より始められ、基本知識を身につけた上で学習を深めるのが良いでしょう。




東欧革命―権力の内側で何が起きたか (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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