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和書 508080 (217)



レインわが半生―精神医学への道 (岩波現代文庫―学術)
販売元: 岩波書店

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

 有名な「引き裂かれた自己」よりは、こちらがレインの思想を理解するためには適切であろう。レインは「反精神医学」として知られる思想の実践者であった。彼は「精神病者は理解できる、彼らは対話可能な存在である」として、常識であった閉鎖病棟をなくし、社会復帰のための施設を設立したりといった活動を行った。晩年は恵まれなかったようだが、彼の訴えそのものはこの現代においてもアクチュアリティを失っていないと思われる。
 レインが医師になった当時、勿論向精神薬はほとんど使えず、インスリン・ショック療法という危険度の高い治療が盛んに試みられていた。レインはこの治療の非人間性を糾弾する。しばらくすると現代でも用いられている電気ショック療法(ECT)が現れるが、これはある回数を超えると脳を破壊してしまう治療なのだ。レインは患者と向きあっていくうちに、彼らの妄想にもそれなりの根拠があり、理解可能であることに気付いてゆく。そしてその信念が後年「反精神医学」と呼ばれた主張に繋がってゆくのだ。
 薬物療法が発達し、軽症化が進んでいるといわれるこんにちでも、当時と同様の偏見や蔑視は後を絶たない。レインの人間的な対応には教えられるところもまだまだ多いと思われるが、いかがだろうか。




顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理 (岩波現代文庫―社会)
販売元: 岩波書店

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 精神科の診断室にはそれこそいろいろな病例の人が来る。この本にも、7名の病例が紹介されている。それどれが特徴のある症状で、こんなことを本気(もちろん病気だからだろうが)で信じ込んでいるのだろうかと思うような例ばかりだ。
 まず、題名にもなっている顔をなくした女が最初に紹介されている。顔がちゃんとあるのに「ない」と言う。誰が見ても顔はある。しかし、患者には顔が見えない。(というより見たくないのかも知れない。)
 それにしても、あまりにも奇妙奇天烈な話なので精神病院をたらい回しされて大平先生にたどりついたのだ。さすがの大平先生も、それまで顔を覆っていた女性が両手を降ろした時は、何が出現するのかと怪しい胸騒ぎを感じた。
 私は、大平先生は間違いなく優しいと思う。大平先生の書いた本にはにじんでいる。だから、今回もその顔のない女性の話を根気よく聞く。その内に、その女性が顔を無くしていく経過があきらかになっていくのだが---。
 いやー、この本を読むと、人はとんでもないと思うよな方法でもその辛さから逃避するということがよくわかった。
 精神病理に関心がある人に推薦する1冊です。


 




建築家捜し (岩波現代文庫―社会)
販売元: 岩波書店

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社会的責任を負う、プロフェッショナルとしての「建築家」を他者、アーティストを騙うアマチュアとしての自分を「自我」として捉え、社会と自我との諍いを指摘すし、妥協点を見出そうとするエッセイ。




心のくすり箱 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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サンバガエルの謎―獲得形質は遺伝するか (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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死別の悲しみを超えて (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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若林さんがみた遺族の悲しみ,やさしさが
平易な,奥深い文章でつづられています。
こういう文章を書き記すこと自体が
大変だったと思います。
これほど平易でしかも奥深いのは
ご自身の中で体験を血肉にしてきたからですね。
遺族の人生を共有しながら生きてこられた証
という印象を持ちました。




小児病棟の四季 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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~漢字の不得意な私は最初届いた本を手にした時、ふりがながふっていなかったので
これはまいったな、大丈夫かなと思ったのですが、読み始めると読めない漢字が出てきても
十分伝わってくるものがあり、主に電車の中で読んでいたのですが、涙をこらえるのが
大変なくらい胸をうつお話がいくつもありました。
ただやはり字も小さく難しい印象を受ける本な~~ので大人向きと言えます。~




食卓の文化誌 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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 1993年に同時代ライブラリーから出たものの採録。
 著者は太平洋諸島、東南アジア、アフリカと広範な地域をフィールドとする文化人類学者。食の観点から比較文化的考察を行っており、本書でも鋭い指摘が目白押しになっている。たとえば箸を使う文化と、そうでない文化の違いは何か。箸を使うならば食材は細かくなっていなければならない。手元で切って食べるステーキは箸では食べられないのである。こんな感じで、一冊がつくられている。「なるほど」を連発してしまう。
 ただ、どこか生々しさを感じさせられるのも確か。食の根元的な部分が暴き出されており、生理的に落ち着かない気分にさせられる。




生命科学者ノート (岩波現代文庫―社会)
販売元: 岩波書店

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著者は、「人間(広く生物と捉えても良い)とは何者であって、どこから来て、これからどうやって生きていけば良いのか」という疑問を、遺伝子工学理論を踏まえながらも、人間どうしの係わり合いや人間と社会の関係を重視して探求する「生命誌」というジャンルを切り開いた、日本における女性科学者の第一人者。

本書の前半は新聞に掲載されたエッセイを纏めたもの。読者層を意識してか平易な文章で、主に家族や恩師のことを対象に書かれている。これまで中村さんと言えば分子生物学者としての顔しか知らなかったので、母として、嫁として、子供や姑に接する姿に微笑ましさを感じた。やはり、ここでも人間関係の重要性が強調され、遺伝子決定論には否定的な態度を取っている(誤解を招くと困るので書いておくが、著者は遺伝子工学を否定しているのではなく、逆にDNAの総合体であるゲノムを「生命誌」の中心に据えている)。女性が学界の中で生きていく難しさについても触れている。

後半は、物理学者の竹内均氏との対談を交え、専門的な雑誌に掲載したエッセイを纏めたもの。当然、話は専門的になるのだが、内容を吟味すると前半の家族の触れ合いのところ等で述べた内容を、遺伝子工学的に言い換えたものである事が分かる。また、本書中の作品が書かれたのは1980年頃なのだが、既に遺伝子組換えの問題にも触れている。著者の考え方は、遺伝子組換えは例えばコメの品種改良と同様なものでむやみに恐れる必要はないが、それが人間操作等危険な方向に行くことには断固反対というものである。この考え方が、遺伝子工学だけに頼らず人間(生物)の視点で生き方を整理する後の「生命誌」に繋がるのである。

本書は、女性科学者の第一人者である著者の家庭での姿を垣間見せてくれる興味深い本であると共に、著者の生き方がそのまま著者の研究に反映されている事を教えてくれる良書である。




怠け数学者の記 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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戦争末期の疎開先で食べるものがないのに皆良く勉強した、このようなクラスから優秀な数学者が輩出したことから生活環境と学問は相関関係が無いとの話。数学は厳密な論証で展開される明晰判明な学問ということになっている、それなら誰にでも容易にわかるはずであろう。しかしこれほどの数学者でも実に分かりにくいと告白され、自分の専門分野でも理解に多大の努力がいるし、専門外なら理解は到底不可能だと断じています。終いには何か数学書を早く読む方法があったら教えて貰いたいとまで懇願されているのにはおどろきました。この一文を読んだだけでもなんと勇気づけられたことか・・・学習院大のHPで飯高先生の思い出話も必見です。


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