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和書 529056 (133)



模索する中国―改革と開放の軌跡 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 1943年生まれの政治学者が「前史(1975−78年末)をふくめて改革・開放の十五年の軌跡を現代史として冷静に見直すこと」を目指しつつ、1989年の天安門事件の渦中に執筆した、現代中国の政治闘争・経済政策史を中心とした新書本。共産党支配下の中国は、常に革命(階級闘争を主要任務とした社会主義をめざす継続革命路線)と建設(経済発展を主要任務とした「現代化」路線)という二つの課題の間で揺れ続けている。前者を偏重した「文化大革命」の混乱の後、華国鋒を追い落として権力を掌握したトウ小平は、1980年前後より共産党一党独裁を堅持しつつ、外資導入型工業化、生産請負制等の「社会主義市場経済」を推進したが、それは建設が進めば進むほど革命の成果である共産党支配が危うくなるという、矛盾を孕んだ政策であった。そのため、政権内部での改革派と保守派のバランスは常に動揺し、また地方に根強い文革派や、反共的な自由派による批判も後を絶たない。1990年頃には胡耀邦らにより一層の市場経済化が図られたが、その結果インフレ、貧富の格差、汚職も拡大し、それが上記の政策対立と連動しつつ、天安門事件に代表される学生・民衆運動の高揚と弾圧を招いた。著者は中国の前途の困難を指摘しつつ、筆をおいている。基本的に1989年までの中央の事件史中心の記述(政治家のご都合主義的な政策変更がよく分かる)であるが、2005年頃に頻発している各地の農民暴動の背景を考える上でも有益な本である。同年の反日暴動も、愛国主義自体の危うさ(制御不能性)と共に、こうした多くの民衆運動を背景としていることに注意。巻末に年表付き。




モンゴルに暮らす (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 岩波書店の『図書』の連載に加筆したもの。
 「モンゴルに暮らす」とは言うものの、モンゴル人民共和国ではなく、中国の内モンゴル自治区の話。著者は内モンゴル大学に留学し、モンゴル族の青年と結婚までしてしまった人物。
 内モンゴルでの生活や結婚生活が語られる。モンゴル族が定住化や牧畜、漢族との関係のなかでどのように変化しているか、実際の生活から観察されている。大学院生は学校から結婚の許可を得なければならないとか、驚くような話もあったが、全体としてはお粗末な出来。話の順番が滅茶苦茶でまとまりにも欠けるので、読者にとって不親切な本になってしまっている。日本語もちょっとおかしいし、長い文章(本)を角煮は向かない人なのだろう。




山が消えた―残土・産廃戦争 (岩波新書 新赤版 (789))
販売元: 岩波書店

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保健社会学を専門とする著者が,山砂採取,残土・産廃処分場によって荒廃している自分の郷里の千葉県を精力的に取材している.生まれ育った山野の変貌に対する,一種の怒りが行間から窺える.
インタビューに登場してくる多くの方々は,大きな流れの中で翻弄されている.ダンプの交通事故で家族を亡くした方,過酷な労働のダンプ運転手,山砂採取場になるならまだマシとゴルフ場の開発用地として土地を売る農家など,哀しき人々がたくましく生きる様を生き生きと追っている.
新聞の千葉地方版には,不法投棄のニュースが出ない日はない.建築用の山砂にしても産廃にしても,その排出元は東京など都心部である.都心に近く,それでいてまだ土地のある千葉県は,都会の発展のしわ寄せを受けている.




有事法制批判 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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改憲が秒読み段階の今、改めて読み直した一冊。有事法制は既に成立してしまったが、それでも今なお本書を読む価値は十分にあると感じられた。

各分野の第一人者たちが、それぞれの視点から有事法制の持つ問題点を論じる。特に武力攻撃事態法案の意図、及びそれがどのように機能するのかに関してとてもよくまとまっていると思う。本書を通じて明らかにされるのは、有事法制とは「備えあれば憂いなし」といった無邪気なものでなく、グローバルに展開する米軍プレゼンスを支援する体制の構築を意図したものだということである。

今、日本は米軍再編にコミットし、集団的自衛権行使を意図し、改憲へ突き進んでいる。この政策の根底には、平和や秩序を担保するのは軍事力であるという発想がある。米軍こそが秩序維持の要であり、そこに日本がコミットしていくことこそが、日本の安全保障であり、「国際貢献」である、よって改憲しかない、という発想である。

しかしそこで謳われる「平和」や「秩序」とは一体何なのか、考えてみる必要があろう。対テロと称してイラクやアフガンの人々を犠牲にする「秩序維持」とは何なのか?それは誰にとっての「平和」なのか?

憲法とは規範 である。本書で水島朝穂が指摘するように、日本国憲法は「国際貢献」を否定しない。「軍事力以外のあらゆる方法で、暴力の原因となる貧困や差別をなくす」ことを行動規範として設定しているのである。我々のなすべきことは、憲法の理念を実現すべく現実を変えることにあり、「現実にそぐわない」から憲法を変えようというのは本末転倒以外の何物でもない。

軍事力なくして秩序はありえない、というのは国際政治学を専攻する者に言わせれば暴論でしかない。ベトナム戦争など、「パクス・アメリカーナ」と呼ばれる秩序がいかなる「抑圧」の上にあったか。今こそその点を深く認識し、軍事力によらない新たな秩序を構想する時であると思う。







豊かさとは何か (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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私は流行語の勝ち組、負け組と言う言葉が大嫌いである。弱者にいたわりのない米国型の冷たい国、という印象を受けるからだ。日本は拝金主義が横行し、万事が金もうけに費やされる国である。子供は出世コースを歩むために幼いころより塾通い、会社に入れば今度は不毛な決して勝者のない競争社会である。本書ではこの原因は明治維新にまで遡るという。要するに富国強兵の精神が未だに根付いており、企業内では個人の人権はなく、憲法は企業の門前まで、と書かれている。著者はこの解決には時短、人権意識の改革が必要と唱える。まさにその通りであって、未だに週40時間労働が守られている会社はほとんどない状況である。今でこそ、ワークシェアリングと言われ出しているが、これも実現にはほど遠い現状である。読んでいて、土地の異常な高騰を招き、環境破壊が繰り返され る日本という国の将来を暗く感じる。





豊かさの条件 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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この本「豊かさ」というものに対して、失業、教育、労働者、などさまざまな視点から、作者の日本の豊かさについての意見が述べられている。
これを読んで、私も今日本が抱えている問題と、日本という国が世界的に見て、どれだけ豊かな国なのかを考えさせられた。
貧しい社会では、年寄りも子供も自分で稼がなければならなかった。しかし生産性の高い豊かな産業社会の実現によって、子供はより長く学校に行けるようになり、高齢者も引退の自由を得たのである。社会保障制度問題が今の日本で大きな問題となっている中、私は、子供の世話のたよるのではない自立した引退生活は、豊かな先進国の条件であるように思う。というのは、所得や消費のレベルが一定水準に達していた今、人々の豊かさの感覚は、むしろ生活の選択肢の多さによって決まるようになってきているからだ。一日、一週間、一年間を、どれほど自由意志によって生活できるかという、生活、活動の選択肢である。賃金水準は世界で、トップレベルを誇る日本人が豊かさを実感できないという理由のひとつは、長時間労働やさまざまな規制などのために、所得や消費のレベルは高くても選択肢の少ない生活をしいられているというところにあると考えられる。





ヨーロッパ市民の誕生―開かれたシティズンシップへ (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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ヨーロッパに今、新しい風が吹いている。伝統的に国家は「国民」を対象に福祉などの社会保障を提供してきた。しかしながら旧植民地出身者や非西欧からの移民労働者の流入は、欧州の各国において「シティズンシップ」を共有し得ない人々の増大という事態を招き、欧州各国はEUを軸に、「国民」を対象とした「シティズンシップ」から、より「開かれたシティズンシップ」への道を切り開きつつある。本書はそんなヨーロッパの今を伝える格好の入門書である。

本書における「シティズンシップ」とは、法的概念としての市民権にとどまらない、人々の行為やアイデンティティに関する社会学的なコンセプトである。「私達が一つの社会に生き、その社会の平等なフルメンバーと認められ、自らもそう感じていて、定められた諸権利を正当に行使でき、定められた諸義務を果たさなければならないとき、「シティズンシップ」が成立する」(P2)。

既存の国民国家体系の下で抑圧されてきたカタルーニャなどの地域アイデンティティの再生。帰化を選択せず、「デニズン」化する膨大な数の移民たちの存在。価値観の多様化と新しい家族やライフスタイルのあり方・・・。ヨーロッパは今、画一を求める「近代」の体系から、様々な形のマイノリティを抑圧しない寛容な体系へ、すなわち「開かれたシティズンシップ」の体系へと変容しつつあるというのである。

楽観的に過ぎる感も否めないものの、しかしながら現在のEUを軸とした欧州の変容の方向は可能性に満ちたものであるのは事実である。著者は繰り返し日本の状況との比較の視点を提示しているが、まさにこれからの日本が国際社会の中で生きていくうえでどんな国のあり方を構想していくのか。そんなことを考える上でも欧州から学ぶべきことは多いに違いない。





ヨーロッパの心 (岩波新書 新赤版 (153))
販売元: 岩波書店

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日本人が最も理解しにくいもののひとつが
キリスト教だろう。

著者は、深くそれに肉薄し、自らのものにしていらっしゃるようなので、
日本人のキリスト教受容の体験書として
価値があります。

でも、それ以外に、以下の3点で大きなマイナス面も含んでいます。

1)自慢話の羅列
日本人の多く(特に知識階層)は、ヨーロッパに行ってみないで、
住んでみないで、友を持たずに、
ヨーロッパなるものを語ろうとすることが多い。

しかし自分はいくつもの違った土地に行き、長く住み、
著名人を含む優れた友人を持ち、
多くの感動的なエピソードモ語ることができ・・
という話が、「わたしが」「わたしの」と頻出するので、
読んでいて、低級な思いになる。


2)結論ありきで、断定的にくだされ、基調になっているキリスト教礼賛
十分な説明がなく、なんとも唐突に、ありがたそうに語られるそれには
説得力が何もない


3)これがもっとも重要なのだが、「周辺を切り捨てた、直線的思考と価値観」
著者は、ヨーロッパは、ギリシャとローマとキリスト教でできている
と、何度も断定する。

だとしたら、キリスト教以前に広くその地を被っていたケルトの文化はどうなるのか。
ギリシャの隣にあって大きな影響力を持ったペルシャの存在は。
さらにギリシャの文化を持ち込んで、維持発展させたのは、むしろイスラム圏であり、
かれらの地中海文化への貢献は?
あるいはヨーロッパの母体ともなった森の文化といった地理的要因は・・などなど。

そうしたことがいっさい切り捨てられて、直線的に、3つを結びつけ、
価値観的にもつなげて他のことに口をつぐんでしまうのは、
まったく危険な思考を言わなくてはならない。

では、こういった内容の書物をどういう言葉で形容すればいいのか。

浮かんできたのは、ヒステリーという言葉だ。

すると、キリスト教を深く受容し、それを文化の基盤としたヨーロッパの
異端尋問や、魔女狩り、焚書、
異なる文化の人とその文化全体を抹殺した極端に野蛮な行為なども、
社会全体が引き起こした、ある歴史的文脈の中でのヒステリーなのだったのだなと
思えたりもする。

それがひとつのヨーロッパの心にもなってきたのだという歴史を思う。

キリスト教とヨーロッパを結びつけた書物ならば、
たとえば『ヨーロッパの四季』(饗庭孝男著)のような書物の方が
よほど好ましく、こころ楽しく読める。





ルポ 戦争協力拒否 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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 1957年に生まれアジア各地を訪ねたフリー・ジャーナリストが、2005年に刊行した本。米国は強大な軍事力と二重規準を用いて、自国の都合の良いように世界をつくりかえようとし、虚偽の口実によってイラクを占領し報復テロの連鎖を招いた。小泉政権は盲目的にその米国に追随し、平和憲法を形骸化させ有事法制を整備しながら、イラク占領に事実上加担した。今や日本は「兵站担当という形での米軍への加担→敵からの武力攻撃予測事態→それを口実にした有事体制(軍事優先、秘密主義、基本的人権の制約)」という道をたどりつつある。その尖兵にされているのが自衛官であり、彼らは専守防衛のため入隊したにもかかわらず、命令を拒否しにくい状況下で事実上の海外戦闘地域へ派遣され、家族は不安を感じている(隊内のいじめや自殺も増えているようだ)。しかし既にイラクへは自衛官のみならず民間人技術者も動員されており、有事体制下ではこうした動きは全面化しかねない。政府は日本企業の強力な労働者支配をそのために利用しようとしている。それに対して反発する声も多く上がっており、「制服を着た市民」である自衛官とも意見交換をしたり、良心的戦争協力拒否や無防備地域宣言を合法的に行おうとしたり、派兵違憲訴訟を起こしたりする市民運動も登場した。政府はこうした動きを押さえ込もうと画策しているようで、平和的に反戦ビラを配布していた活動家を長期にわたり拘束するという暴挙も行われている。結局、政治家・幹部自身は安全圏に身を置きながら、無責任な判断で一般民衆に犠牲を強いるという構図ができつつある。著者は現在と戦前をだぶらせつつ、他人を「ネセサリー・コスト」としか考えない人間は自分自身も同様の扱いをされかねないこと、加害者にも被害者にもならず、国境を越えて平和と人権を尊重すべきことを主張している。





冷戦後―同時代の現場で考える (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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