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和書 554118 (68)



パリに生きた科学者 湯浅年子 (岩波ジュニア新書)
販売元: 岩波書店

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物語として読むなら。まさしく第2次大戦中のパリに留学、戦火の中ベルリンからソビエト経由で焼け跡と化した日本に戻るまで、戦争により自由な研究を欲する湯浅年子の姿はまさに波乱万丈。感動ものの映画に仕立て上げられる要素に満ち溢れています。
また科学者の伝記として読むなら。生涯一貫して研究活動に打ち込みそれを渇望した年子の姿は印象深いものとなるでしょう。反面物理学を学んだ年子は当然広島の新型爆弾を原子爆弾と判断したわけですが、数多くの科学者が悩んだ研究と良心のジレンマ、せめて年子が原爆にどのような感想を持ったのか触れられていなかったのが少し残念。「女性科学者」「海外と日本の科学者比較」「科学と良心」といったテーマは本書に時折顔を出すものの主要なテーマではないと言えましょう。




風景画の出現―ヨーロッパ美術史講義 (岩波セミナーブックス)
販売元: 岩波書店

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美術館で風景画はつまらない。と感じていたり、ただ、なんとなく見ていた人にお勧めの一冊。古代について若干の記述のあと、中世~ルネサンス時代までの幅広い題材を豊富な図版を使い、人物画の脇役から主役に踊り出るまでを解説してある。イタリア絵画はジョット、ドゥッチョ、ロレンツェッティ。フランスはランブール兄弟、ピュセル。北方はファン・アイク、パティニール、アルトドルファー、デューラーを主に取り上げている。イタリアの3人を扱った本は他にもあるが、パティニール、アルトドルファー等は日本語の本には他に殆ど記述がないので貴重な一冊だと思う。




都立大学に何が起きたのか 総長の2年間 (岩波ブックレット660)
販売元: 岩波書店

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星の数は主に、都立の大学の組織変更時の旧東京都立大学側のトップが改革について述べたものだという、著者の立場からくる価値からである。それ以外には読む価値はあまりない。石原都政下で行われた大学改革が少なくとも手続き上はムチャクチャであることはわかった。都から大学側に緘口令が出されたことや議論もなしに積極的に賛同しろと命じられたことなどは特筆に値するだろう。だが、改革の肝心な点に関してはほとんど触れられていない。

大学に限らず改革を議論するときに絶対に外してはならないのは「行うべきかどうか」「行う場合と行わない場合でどちらがよいか」である。この肝心な議論を抜きにして石原都政への批判と旧都立大学(の上層部?)の擁護が行われている。そのため、はっきり言って読むに耐えない内容になってしまっている。正直言って「腹が立ったから書きなぐってみました」という印象を受ける。

新大学の意義のうち都知事がマスコミで述べたものに触れていないこと、政治家や役人よりも教授のほうが大学を運営する能力に長けていると根拠無く仮定していること、労働者の権利を根拠にした改革批判が欠落していることなど、本書の内容に対してはいくらでも批判ができる。単に本書で伝える気が無いだけならまだよい。だが、大学側の認識が本書のレベルであるならば、それは都が「おしつけ」とも言える改革をやったことへの擁護の材料になると思う。




ローマ法王―世界を駆けるヨハネ・パウロ2世 (岩波ブックレット)
販売元: 岩波書店

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 2001年5月刊の岩波ブックレット。55頁の大変手頃な入門書です。
 ポーランド人カロル・ボイティワとしての生い立ち、78年のコンクラーベの様子、「空飛ぶ聖座」といわれた精力的な外交活動、中絶や同性愛などに関しては保守的であった思想まで概観できます。

 ヨハネ・パウロ2世がユダヤ教との和解や共産主義への牽制を進めたのは、母国ポーランドで目撃したホロコーストや共産主義の圧制の記憶があります。本書で改めてそのことに言及している部分を読んで、あることを思い出しました。
 「ローマ教皇とナチス」(大澤 武男著/文春新書)は第二次大戦中のローマ法王だったピウス12世について論じた書ですが、彼がナチズムに対してあまりにも寛容であった理由のひとつに、ドイツで聖職者活動を行なった体験があり、個人的にドイツに強い愛着を抱いていたことを挙げています。また無神論的共産主義への防波堤としてナチズムを頼りにしていたということも指摘しています。
 このように若き日の体験が、各法皇のその後の行動を大きく左右する可能性があるのです。

 だからこそ、今月(2005年4月)のコンクラーベが指名する人物がどんな体験を持つのかを注目するべきだと感じます。
 有力候補の一人に中米ホンジュラスのOscar Andres Rodriguez Maradiaga大司教の名が挙げられています。私も首都テグシガルパのあるパーティでお見かけしましたが、彼は反グローバリズムの立場を取り、第三世界での債務問題などについても積極的な発言をしてきました。またヨハネ・パウロ二世とは逆にキリスト教の教義についてはリベラル派でもあり、彼がかりに法皇に選出されれば、バチカン外交も様変わりすることでしょう。

 いずれにせよ、新法王が引き継ぐことになる前任者がどんな巨人だったのか、その生涯を短時間で知るには適当な書であると思います。




和解への人―教皇ヨハネ二十三世小伝 (岩波ブックレット)
販売元: 岩波書店

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古代への情熱―シュリーマン自伝 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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幼いころに絵本で読んだトロイ戦争の物語に感銘を受け、世間の常識と通説に抗し、トロイは実在すると本気で信じたシュリーマン。本書は、苦境に屈することなく学問に励み、経済的成功を収め、それをもとについにはトロイの遺跡の発掘に成功したシュリーマンの自伝である。

真の意味で「自伝」と呼べるのは「一.少年時代と商人時代」のみであり、残りの各章はシュリーマンの死後、残された妻ソフィアが、シュリーマンと親交のあった研究者らの助力を得て、シュリーマンの諸著作をベースにトロイやミケーネの遺跡発掘の過程やエピソードを描写するものとなっている。第一章におけるシュリーマンの苦難をものともしない情熱や、ギリシア語、ラテン語、ロシア語など極めて多数の言語を次々と習得していった努力と学習方法には、読んでいて触発させられる。一部に事実でない事柄が盛り込まれている点をもって本書を痛烈に批判しているレビューが見られるが、学術研究ならともかく、自伝とはえてしてそういうものであり、その点をもって本書を全否定するのはもったいないだろう。夢や目標に向かう中で時に壁にぶつかったとき、本書は壁を乗り越えるためのエネルギーを与えてくれる一冊になるだろう。




ハリネズミと狐―『戦争と平和』の歴史哲学 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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この書物は一応トルストイの戦争観を中心に述べたものだが、ペダンティック歴史家が書いたものとして、いかにも堅苦しい。英国の歴史家は物事を素直に、語ることをしない。この書物はその典型例である。いろいろのことを語るが、結局何を主張したいのかわからなくなって終わってしまう。
 ハリネズミと狐を対比して、それぞれの作家を割り振るが、分かったようで分からない。翻訳ももとの文体が込み入っているので、訳者も適当に端折って訳している。それ相応の扱いと思われる。





パロマーの巨人望遠鏡〈上〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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この本は今から65年前に書かれている。パロマー天文台が完成する直前である。
実はその日本語訳は昭和20年代に出版されていて、当時の天文を愛する高校生達を湧か
せたのだそうだ。日本が誇る大型望遠鏡「すばる」を構想し、実現化を目指した天文学者
達が若い頃読みふけったのがこの本なのである。一冊の本が、青年の夢を育み大きな力と

なって、すばるを生み出したともいえる。その天文学者の一人成相恭二氏は本書を全面的
に新しい訳に作り変え、2002年に岩波文庫として蘇らせた。通常であれば歴史の中に
埋もれ、消えてなくなっていったであろう本が、21世紀の今日よみがえったのである。

当書はパロマー天文台がいかに構想され、天文学の巨人ヘールによって実現されたかをつ

づった本である。20世紀の学問、技術の進歩と同調するようにパロマーは作られていっ
たのだ。
その反射鏡は耐熱性のパイレックス・ガラスの発明無しにはあり得なかった。アルミニウ
ム蒸着法は、パロマーの鏡のために生み出さされた技術だったのだ。この技術の芽生えだ

けとっても本書は相当に面白い。あるいは鏡を磨いた人たちの物語は超絶的ですらある。

ところで20世紀の物理学の進歩について書かれた本は多い。アインシュタイン、ランダ
ウ、ハイゼンベルグ、ボーア、パウリらの著書がそれである。理論が先行する物理学を検
証する天文学という側面は今も続いている。本書は最新物理学を裏付ける20世紀の天文

学の最先端がパロマー等の巨人望遠鏡によって開拓されていったことを記すが、重力レン
ズや赤方偏倚など良く知られている事象が次々とパロマーによって見いだされていく様子
は読んでいてわくわくするのである。パロマーに象徴される天文観測の進展なくして、物
理学の進歩もまたなかったものと想像される。

天文好きにも、また物理学が好きな方にも、どちらも楽しめる好著である。

復刻の努力をされた、成相恭二氏に感謝したい。




パロマーの巨人望遠鏡〈下〉 岩波文庫 青 942-2
販売元: 岩波書店

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このプロジェクトに参加した全員がプライドを持って時代の先端の仕事をし、また著者もその
ことを記録にとどめておこうという意識が伝わってくる素晴らしい著述だと思う。
仕事は人が行うことであり、その人一人一人が参加意識を持ち新しいことをやり遂げようとするパワー。
天文学者のクールさと、それ以外の人の(例えば軍の関係者)の激しい動きの行動力の違いや
その組み合わせ全体が、かってない200インチのパロマー山の望遠鏡の実現に向かっていく
動き。そしてその時代にめぐり合った素朴な庶民と、いつも変わらぬマスコミの取り上げ方など
最近買った小さな反射望遠鏡を田舎にもって行き星空を探訪している自分には、とても興味深い。
ただ、イラスト・写真は多いが、もう一つ素人に分かり易く増やしてもらえると
子供たちにも興味深く、理科の世界への誘いになるのではと思う。




インターネット投資銀行―私のベンチャー企業成功物語
販売元: 阪急コミュニケーションズ

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 いま(2001年)から思えば、いい時代にいい仕事をした人の話としか言いようがない。米国はベンチャーの国だと信じられ、誰もが投資を買って出る、チャンスたっぷりの「資本主義」と考えられていた。アメリカン・ドリームの時代である。しかし、もはやちょっと事情は変わったのではないか。とはいえ、この本がまったく意味をなさないわけではない。民主的な資本主義が進んでいけば、こうした直接投資の世界はもっと広がるはずだ。人々のマインドが日本でも変われば、可能性はあるのだけど。


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