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和書 554314 (91)



深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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とにかく深いインド・ネパール編。第八章の「雨が私を眠らせる」は手紙という表現上も
あわせて本当に淡々と描かれているが、それがまたアンニュイな気持ちにさせて、じめじめ
した気候を想像すると自分がとけていきそうな気がする。
第九章の「死の匂い」の死体焼き場をポツンと眺めてる著者を想像してると、気が滅入るが
そこの描写にあるように不思議な恍惚感が湧いてくる。
インドって国は不思議な国だとは思っていたが、何かこれを気に勉強してみたくなるような
もしくは行って見たくなるような変な気持ちになりました。

それにしても貧困に苦しむ子供たちの姿には胸が痛くなるが、本当にちょっとしたきっかけで
みせてくれる笑顔などというシーンでは心が温まるね。。。

あとラストの対談ではブッダガヤで出会った此経(これつね)さんと懐かしい回想などをして
ましたが、興味深く読めて面白かったです。




深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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このシルクロード編を読んでいると、文中でも使われてる蒼味を帯びた風がスーッと吹いてく
るようなそんな感じを受ける。最初の方の勢いというものが薄れていき、著者自身の内面描写
にスポットが当たる部分も多い。だが迷い迷う姿には誠実さがあるような気がした。

ここでは乗り合いのバスがメインで淡々と進む所があるので、ある種起伏に欠けるが、それで
も一台のバスの中に多国籍の放浪者達が集まる画は想像しただけで何か面白いし、バスの窓か
ら時折覗く景色に非常に心が揺れるね。淡々としてるが、そこここに微妙に違う色があって
感慨深いね。

最初の香港編から物乞いはずーっと出てきたが、ここで登場したロッテルダムの男という青年
が、ほぼ限りなく文無しに近いのに、それでも物乞いの子供たちに自分の金をわけてやる姿に
は感動したし考えさせられたね。著者もそこで衝撃を受けて、ある意味解放されて自由に
なったと書いてるが、ほんとあげるのが良いとか悪いとかの理屈じゃないのね。生きるのも
生きれるのも理屈じゃないと、、、。

ここから旅も冬に突入するのかも、蒼味を帯びた風が吹いたとき、それがどこから吹いてるの
かと前に進めるか、その冷たさに震えて立ちすくむ、もしくは終わってしまう、そうゆう放浪
の旅独特の転機を垣間見た気がした。




深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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旅にも幼年期、青年期、壮年期、老年期とあり、この巻では壮年期にあたる部分を描いている
確かにエネルギッシュに前へ、前へというよりは、何か心の隙間を埋めるように、それを
求めて前へ進んでいる印象を受けました。

個人的にはトルコ編はほのぼのとしていていいなぁ〜と思います。香港のスターフェリーも
いいですが、こちらのアジアとヨーロッパを往復するフェリーは本当に羨ましいなと、、、
朝起きて、朝食を食べ、散歩してから食料を買いフェリーで風に吹かれぼーっとして、また
帰ってくる、たったそれだけの事がものすごく贅沢に思えてくる。

ギリシャ編では、スパルタの廃墟で出会った老人の件が感慨深いですね。年をとって好奇心
が磨耗しても人とだけは関わりたいというのがやっぱり素直な所なんだろうなぁ、、、
散歩してたらいきなりバースデーパーティーに誘われる件も、読んでて癒されます。やっぱ
人と人との繋がりはいいなと。

地中海からの手紙の章では、今までの旅の事をなかば自棄になって顧みてたりしますが、ほ
んと人生の壮年期と同じですよね(笑)。

最後にいったい何を得るのか、次の巻が楽しみです。




深夜特急〈6〉南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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スペインのマドリードで昼は市を、夜は居酒屋をうろつく中で沢木さんは段々、無の感情に
蝕まれていきます。そこで懊悩してる時に、思い出したのがタイで会った夫妻に言われたこの
言葉で、そこに答えを見つけようとする、、、僕はこの深夜特急を最初から読んで、ずーっと
思っていたが、この人は何でこんなに真面目、いや誠実なんだろうと。。表面的な無鉄砲な
ユニークさはあるが、内面は誠実そのもの、常識人だし、大人びてるし、保守的だし、確かに
育った世代もあるかもしれないが、この人は誠実そのものだと思う。
そう考えて振り返ると、深夜特急が何故こんなに面白いと思ったとき、この内面の深さは
結構あるんじゃないかなぁとね。普通(普通の26才、まぁまだ青年だよ)の人にだったら
きっと、もっと表面的、センス的な所、フィーリング的な所が大事だろうし、もしくはもっと
単純か、逆に理屈っぽいかのどっちかだろう。つまり沢木さんが見たその国や街、あるいは
市場や広場、とりわけ人々への内面へ内面への観察力や、もしくはそれが一番大事とする
精神があるからこの本は面白いんだろう。
そしてそうゆう人柄が行き着く先々で縁を作るんじゃないかとね。

だから結局、このいつでも誠実に考え抜いてる人が出した結論が最後、あのような結論じゃ
ないのかな。多分、旅に終わりはないなんてキザな発想じゃなく、そこに道があれば、
考える事、悩むことはいくらでも増えるし、否応なしに対応しなきゃいけない事柄がいくら
でも出てくるその過程、その過程を楽しむもんなんだろう旅も人生も。

それにしても途中からは自分も旅をしてるような気分になってましたよ(笑)。贅沢な時間
でした。






事故調査 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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多分、物事はその始まりにおいて、単純だったと思うのです。しかしそれを私たち人間にとってもっと有益にするために、どうしてもより高度になり、従って複雑にまた厳密になることが避けられません。
そうなるとその高度さ守るために、決め事ができて、さらに複雑に厳密になっていく。
もともと有益にするための手段であった高度さ複雑さ厳密さや決め事が、いつの間にか手段ではなく目的そのものになってしまって、当初の意義は薄れ、遵守できない人間をはじき出してしまうように思います。
この「事故調査」を読んで、そんなことを感じました。
私たちの日常をより有益にすることが目的だったはずの、高度で複雑で厳密な技術、あるいは決め事=ルールが、却って私たちを恐ろしい目に遭わせる。それは、その技術やルールを駆使するのが私たち人間である限り、避けられないのでしょうか。
いつもいつも最初の意義を忘れなければ、その技術やルールの素晴らしさに目を見張った時の新鮮な驚きを忘れなければ、そうはならないのでしょうけれども…。




地獄の季節―「酒鬼薔薇聖斗」がいた場所 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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単に事件の真相を知りたいだけなら、別の本を読むべきだ。しかしわたしにはそこらの小説などよりよほど面白かった。誤解を恐れずに言うなら、ある意味で著者の内的告白というか、内面への旅という気がした。




水平記―松本治一郎と部落解放運動の一〇〇年 (上巻) (新潮文庫 (た-67-3))
販売元: 新潮社

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責任―ラバウルの将軍今村均 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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我が尊敬する帝国陸軍大将の今村均伝としては、ご本人の回顧録の他には土門周平氏、秋永芳郎氏、日下公人氏、そして角田房子氏が書いているが、私は角田房子氏の本書が最も好きである。本書の特徴は、終戦のラバウル、バタビア、マヌス、そして世田谷区豪徳寺の戦後23年の今村将軍の生き方が丁寧に詳述されていること、先妻銀子と後妻久子のことを詳しく触れていること、著者ご自身が今村将軍と縁ある多くの方々との面談内容を記していること、著者ご自身が今村将軍の足跡を追って現地を訪れ記述していること、これらは本書今村均伝を更に内容豊かなものにしてくれた。私が何故に今村将軍を尊敬するか。やはり真のリーダーとして完璧な人物で、圧迫・圧政が当たり前の日本軍南方施政の中で理想的な軍政を行なった唯一の司令官であること、将兵の命を粗末にせず自給自足体制を確立し、10万の兵を無事に帰国させたこと、戦後の部下が収容されるマヌス島への移送嘆願、釈放後も遺族・部下の為に日本国中奔走する元大将の姿、これらは他の陸軍幹部にはいない。陸士19期は元々幼年学校出は採用せず、一般の中学出身者であるところがいい。陸大で首席であった今村将軍を含めて陸士19期は5名の大将を輩出したことでも有名であるが、人間として最も円熟したのも今村大将である。今村均回顧録、続・今村均回顧録と共に本書は何回でも読み直したい1冊である。




セ・パ分裂 プロ野球を変えた男たち (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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大本営が震えた日 (新潮文庫)
販売元: 新潮社

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 私が中学生だった頃、あの戦争に関して教えられた事といえば、日本は周辺国の
侵略を企て、近隣諸国の多くの人々を殺め、苦しめた「悪」であった、その元凶は
暴走した軍部であり、その罪はどの様に償っても償いきれないものだ。日本人は過
去の罪を認識し永遠に忘れてはならない。といったところでしょうか。それ以外
戦争について教師たちは言葉にするのも汚らわしいとばかりに多くを語りませんでした。

 そんな学校教育から開放されて、それと同じくらいの月日が経過しました。
最近あの戦争は何だったのか?という疑問をやっと感じるようになることができる
ようになりました。中学校当時読んだだけで自分が穢れてしまうのではないかとい
う呪縛から開放されたような気がします。幸い日本は戦後の貴重な検証が数百円の
文庫本でそれに触れることができる先進的な文化を有する国でした。

 本作は、昭和16年12月1日皇居内東一のまで開かれた御前会議において、12月8日
対英米蘭開戦の断を天皇が下してから先端を開くに至るまでの1週間、陸空海軍第
一線部隊の極秘行動のすべてを、事実に基づいて再現してみせた作品です。作者の
目は静かでこの種の素材につきまといがちな感傷と批判を抑制し、事実によってす
べてを語っています。読後感はむなしさと徒労感が重くのしかかってきますがその
判断はあくまで読者に委ねられています。

 あの戦争に関して私たちは統一見解など持つ必要はなく、各自が事実を踏まえ
それに向き合って隣国の人々と関わっていけばいいのだと、本作を読み気付かされました。
事実はひとつ、しかしそれはどう捉えるかは各人の判断に任せる。この一見単純な
事が許されている日本に住んでいることの幸福を感じる一作でした。



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