キューバのトローバを下地に、西欧のジャズ、ポップス、R&B
更にはブラジル新世代派の音楽まで取り込んで見事に昇華させた
ジューサの音楽。シンガー・ソングライターとしての才能もだが、
ギターにベース、ピアノそしてヴォイスといった演奏家としての
才能も個性的にして優れているのが魅力。
略歴としては、1973年キューバのブエナ・ビスタ地区に生まれる。
アマデオ・ロルダン音楽学校を経て、女性5人の即興演奏集団
クアジ・ジャズにて活動。後、ドミンゴ・カンデラリオとのデュエット
ジューサ&ドミンゴを経て本作においてソロデビューに至る。
といったところ。
中米と欧米の音楽の融合は珍しくもないが、同時にブラジルという
南米多民族国家の音楽が融合しているところが非常におもしろい。
それも、シコ・サイエンスやレニーニ、カルリーニョス・ブラウン
シコ・セザールといった新世代MPBを引っ張っているアーティスト
の雰囲気を色濃く表しているといったら、ブラジル音楽好きも
垂涎の音ということが出来るのではないだろうか。
そんなジューサの編曲を担当したのはロベルト・カルカセス。
ピアノやフェンダー・ローズ等でも参加していてジューサの
独特の世界観を引き出すのに大きな役割を果たしている。
多くの音楽を取り込んだために野合のような状態となっている。
アルバム全体としてのまとまりに欠けると感じるかもしらない。
しかし、ジューサの持てる才能を遺憾なく発揮した結果であり、
むしろ激しくぶつかり合う野合としてのエネルギーを感じて欲しい。